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后前弐時のブランチ

少し特異な体験を中心に書いています。
背中がゾクッとするのが苦手な方は片目で
読む様にして下さい(笑)

今日は暖かかったですね~。雨も降りましたが…。


今日も一日熱っぽいまま、仕事に。顔がずっと赤かった気がします(笑)



やっぱり熱があったのでしょうね…汗だくでした。



この季節は寒くなったり、暖かくなったりと体調を壊しがちです。


皆さんも気をつけて下さいね。



神戸は今日から「ルミナリエ」が始まりました。


そう…。昨日の話の続きになりますが、あの不幸なW先輩が怪我をしたの


もちょうどルミナリエをやっている最中でした…。




W先輩は松葉杖をついて会社に出てきてました。


まだ入社して間もないので、有給もないという状況で、仕方なく松葉杖をつ


いて通勤しているようでした。



夕方、外回りをしていたFと一緒にW先輩に会いに行きました。



骨折はしていましたが、全治一カ月という事でした。


どうやら足場から落ちたという事でした…。



「ちゃうんやー。足を踏み外してな…。別に何かあった訳じゃ…。」


先輩は必死にそう言います。



たぶん、自分に何か憑いているなんて認めたくなかったのでしょうね…。



「今度の日曜日、車で迎えに行くんで、一緒にお祓い行きましょう。」


私はそう言ってW先輩を誘った。



「ホンマに行かなアカンか…。」


「行った方がええと思いますよ・・・。」


Fがそう言った。Fがそこまで言う事は珍しい。


念のためなどという表現をする事はあっても、行った方が良いなどと言う


のは…。



渋々W先輩も了承した…。



日曜日にFと私、友人とW先輩でFの言う生駒の近くの神社に行く事になっ


た。


結局当日はFの車で行く事になり、私はFの家まで電車で移動した。



Fと合流して友人に電話すると、


「おかしいんや…。W先輩の電話が通じんのよ・・・。」


そう言う。とりあえず友人も合流してW先輩の家に向かった。



何度も何度も電話していると、W先輩はようやく電話に出た。


かすれた声でW先輩は、高熱が出て、動けないと言ったそうだ…。



「ヤバいな…。とりあえず、医者かな…。」


先輩の家から先輩を抱えるようにして運び出し、先輩の家の近くの病院へ


連れて行った。



医者は先輩に解熱の注射を射ち、今日は安静にするようにと言っていた。



「安静にしててもアカンで…。」


Fが言う。「これはひどい…。無理矢理連れて行こう…。」


そう言うとW先輩の家から毛布を取ってきて先輩をくるむようにして車に寝


かせた。そのまま生駒まで車を走らせた…。




その神社の名前は私は忘れてしまったが、結構由緒正しい神社の様に見


えた。



駐車場で先輩を車から降ろし、支えるようにして神社に入って行くと、神主


が出てきた。



「何事かと思ったわ…。早くこっちに…。」


そう言うと神社の中に通された。



後で聞いたのだが、神主は我々が近づいてくるのがわかったという。



私たちは椅子に後ろで椅子に座っていたが、W先輩は神主の横に寝かされ


た…。


「誰も入れないように…。」


神主は巫女さんにそう言うと入口の扉を閉めて、自分の横に付けた年配の


助手だけを残してお祓いを始めた。



誰も入れないようにと言いながら私たちは中に残っている…。それは私たち


には少し怖かった・・・。



何度も何度も神主は先輩の周りを回るようにしてお祓いをしていた。


よくTVで見る光景によく似ていた気がする。



先輩の額には汗が滲んでいた。少し苦しそうで先輩の折れた足のギプスが


床にあたりゴンゴンと音がする。


その空間には神主の声とそのギプスが床を叩く音しかしないのだ…。



そして、やけに寒い…。じっとしている私たちは底冷えしていた。



先輩も神主も汗をかいていた…。



たぶん1時間ほどはゆうにかかったと記憶しているが…。



お祓いが終わった…。


TVなどではそれで熱もひき、けろっとして本人も起きあがるのだろうが、先


輩はそうではなかった。また私たちで起こし、神主が案内する部屋へ移った。



お茶とお茶菓子を出され、私たちはそれを頂いていた。


神主は普通の服に着替えてその部屋に現れた。




「寒かったでしょ…。熱いお茶飲んで下さいね。」


神主はニコニコしながらそう言った。



寝ている先輩をそのままにして、私たちと神主は話をしていた。


先輩との関係や、その神社に行く事になるまでの経緯などを話していた。



神主は、Fに


「君が○○さんの知り合いか。」


Fがその神社を紹介してもらった人のようだ。


「はい。」


「じゃあ、○○さんのお孫さんやな…。」


Fの祖父ともこの神主は知り合いらしい。Fの祖父は結構有名だという事


もわかる…。



すると、神主は立ちあがり、寝ているW先輩の額に手をあてた。



「もう大丈夫やろうけど…。」


そう言うと先輩の横に座った。



「この人には親子の霊がついてたはずや…。」


神主は説明を始めた。


神主が言うには、


先輩は親子が祭られているなにかをたぶん壊して、そのまま放置したの


ではないかと言う。



私たちは3人で驚いた。



先輩がお地蔵様を壊した話までは神主にはしていない。


たぶん、先輩が壊したお地蔵様は交通事故で亡くなった親子を祭ったも


のなのだろう…。そう思いながら神主の話を聞いた。



「そして、その亡くなった親子もそうだけど、残されたまだ生きている肉親


の怒りも受けているはずや…。」



「死んでしまったもんの怒りより、生きているもんの怒りの方が強いんや。」


神主はそう言って、お茶を飲んだ…。




私たち3人は声も出ない…。ただ寝ている先輩を見ていた…。



「出来れば、この人がその壊した場所に行って、線香でもあげてやったら


ええんやけどな…。君出来るか…。」


神主はFに言う。



「やってみます。早めに行った方が良いですよね。」



「そうやな…。今日納めた怒りが戻って来んうちにな…。」



そう言われ、3人は帰りにでも行こうと思ったはずだ。少なくとも私とFは…。






「この人が起きるまで、ココ使って良いから…。」


そう言うと神主は出て行った。



それからしばらくしてW先輩は起きた。


かなり元気になっていた。



「お祓い終わったんか…。ずっと夢の中で声が聞こえてた感じや…。」


W先輩はそう言いながら座った。



そして、先輩にさっきの神主に聞いた話をした。



「じゃあ俺が壊したお地蔵さんがその親子のために建てられたって事か。」


「そうやと思いますよ・・・。」


Fが言う。「これからその場所に行こうと思うんですけど、場所覚えてます


か…。」


「判ると思うわ…。行こうか…。」



先輩に肩を貸して神社を出る。



先輩と私たちはお礼を言って、お礼をつつんだ封筒を渡し車に戻った。




そのまま先輩が事故でお地蔵様を壊した現場に向かう事にした。




私はFの横で寝てしまっていた…。


それほどにお祓いは周囲の力も奪うようなモノだったのだろうとFは言って


いた…。



事故現場の近くのスーパーにより線香を買った。



その事故現場…。



完全に破損した石のやぐらがあり、お地蔵様も完璧に割れていた。



それを確認し、車を近くのコンビニに停めて、その場所に来た。


先輩も自分で松葉杖をついて歩いていた。その頃にはもう熱も引いていた


様だった。それが解熱剤のせいか、お祓いのおかげなのかは分からない。



ライターで線香に火をつけて、その場所にみんなで置いた。



Fがお経をあげる。


Fのお経は本職のお坊さんとまではいかないが、完璧なのだろう…。


もう辺りは暗くなっていて、その道を歩く人たちは私たちを見ていた。



先輩も目を閉じて手を合わせていた。



それが私には考えられなかった…。あのやんちゃな先輩がお地蔵様に手を


合わせているなんて…。



ものすごく寒い日だった。



私たちはその場に一時間程いただろうか…。手が悴んで痛かった。



コンビニの車に戻り、温かいモノを買って車の中にいた。



「あのお地蔵さんって弁償したら結構するんかな…。」


先輩はそんな事を言いだした。


それにも私は驚いた…。あのW先輩がそんな事を言うなんて…(笑)



「結構すると思いますよ・・・。」


Fがルームミラーで先輩を見ながら言う。



「ローン組めるかな…。」


そんな事を言いながら先輩も笑っていた。



その時、車の窓ガラスをたたく男性が…。


私たちは何だろうと思いながら、窓を開けた。



「はい…。」



男性は寒そうに手をすり合わせながら、


「さっきそこのお地蔵さんに線香をあげて頂いてた人ですよね…。」


その男性は言う。



「あ、はい…。」


私はそう返事した。


「いや…隣のおばあさんに教えてもらって、お礼を言おうと思って…。」


男性はそう言う。「うちの息子と嫁のお地蔵さんなんですよ・・・。」




正直躊躇した…。その男性の怒りが先輩を苦しめていたのかもしれないのだ。




しかし、先輩はすぐにドアを開けて車を降りた…。


松葉杖もつかずに…。



ギプスの痛々しい足で立って。



「すみません…。あのお地蔵さん事故で壊したの俺なんです…。」


そう言って深々と頭を下げていた。



「息子さんと奥さんのために建てられたモンを壊してしまって…。ホンマにすみ


ません…。」


先輩は何度も何度もその男性に頭を下げていた。



「弁償しますんで…。すみません…。」


なかなか先輩は頭を上げない。



私たちも車を降りて、先輩と一緒に頭を下げた。



「そうだったんですか…。いや…頭あげて下さい。良いんですよ。」


その男性は先輩を支えていた。



その男性の顔も笑っていた。




男性は先輩を車に座らせて息子さんと奥さんを亡くした事故の事を話しだした。



その場所でベビーカーに乗せた小さな息子さんと奥さんにトラックが突っ込ん


できたと言う。二人ともその事故で病院に運ばれたが亡くなったと言う。



「それであの身代わり地蔵を建てたんですけど…。気がついたら事故で壊れて


て…。滅茶苦茶腹が立ったんですけど…。わざわざ線香まであげてもらって。


そんな人一度も見た事ないもんで…。なんかお礼言いたくて…。」



「いや…俺が悪いんで…。」


先輩はまだ謝っている。


とにかく謝る先輩を見た事がないのだ…。



「あの…よかったら仏壇にも線香あげさせてもらっていいですか…。」


先輩はその男性にそう言う。


別にその親子の命を奪ったのは先輩ではない…。


しかし、みんなそんな感覚になっていた…。



その男性は先輩に深々と頭を下げてお礼を言っていた。


「ありがとうございます…。」



「お前ら、ここで待っといて…。」


先輩はそう言うとその男性と一緒に歩いて行った。



私たちもその男性に頭を下げて二人を見送った…。



それから30分程待っただろうか…。先輩が帰ってきた。



先輩は車に乗り込んで、



「ありがとうな…。お前らのおかげやわ…。」


先輩はそう言ってた。



先輩はその後は何も言わなかった…。何かを考えていたのだろう。



先輩の家に着いた。


とりあえず先輩を部屋に連れて行き、松葉杖と毛布を下ろした。



先輩は何度も何度もお礼を言っていた。


何を話したかはよく覚えていないが…。






その後の先輩の話は聞いていない。


しかし、その何年か後に先輩は友人の勤める会社を辞めたと言っていた。



友人が言う。


「W先輩、なんかの職人になりたいってずーっと言っててよー。そのために会社


辞めたんや。」



今はどうしているのか…誰も知らないのだが…。


生きてはいるはずだ…。殺しても死なない様な先輩だったしな…(笑)







TODAY'S BGM 「TOKYO」 THE HEART

またご無沙汰でした…。


月末・月初で忙しい上に、風邪…。


書いている今もまだ熱があり、ベッドの中から失礼しております(笑)



気がつくと12月…。もう今年も終わりですね。


今年は私自身、悲惨な年でした(笑)


経験したことないほどの景気の冷え込みも含めて…。


来年は必ず、良い年にしますよ。前厄ですが…(笑)



さて、今日の話は悲惨な先輩の話なのですが…。



これも10年近く前の話になりますか…。


ある日、友人から電話があって、


「W先輩って覚えてるか…。」


「あぁ…覚えてるよ。どうかしたの。」


「実は俺の職場に転職してきてな、今、俺の後輩なんやー。」


などと言う。



「今、俺に敬語使ってるよー。」


「へぇ…で、昔みたいな感じじゃないの。」


私はW先輩がかなりやんちゃで喧嘩っ早いイメージが抜けず、どうしても


想像できなかった。



「いや…。それがな…。W先輩って悲惨なのよ・・・。」


友人は私にそう言う。



友人の話によると、


W先輩は前の職場で交通事故を起こし、免許取り消し、そして解雇。さらに


は奥さんと子供が出て行き、両親の住む実家が火事と、悲惨な事のフルコ


ースを味わっている。



「それはひどいな…。」


「何かW先輩に憑いてるんかと思ってな。お前判らんか…。」



いつも言うが私にそんな力はない…。


何が憑いているとか…そう言う相談が一番多いのだが…(笑)



「よく言われるけど、俺はその辺よくわからんのよね…。」


私は電話でそう言った。


「何か気になる事でもあるんか…。」



「犬が吠えるのよ・・・。必ず…。」



「犬…。」



「そうなんよ・・・。」



私は少し気になった…。


以前、人には見えないモノも動物や子どもには見える事があると聞いた事が


ある。



「とりあえず、一回会ってみてくれんか…。」


「W先輩にか…。」


「無理か…。」


「う~ん…。お前には後輩でも、俺には先輩やしな…。」



「まぁ、昔より丸くなってるし…。大丈夫やって…。」


私は渋々会う事にした。




その電話から何日後に会ったかは覚えていないが、そう時間を開けずに会っ


た気がする…。



私の手には負えない事が初めからわかっていたので、とりあえず友人Fにも


連絡しておいた。Fは仕事で遅くなると言っていたので、後から合流する事に。



W先輩と友人は作業着のまま、待ち合わせの居酒屋に入ってきた。



「ひさしぶりやなー。」


昔、前歯がスカスカだった先輩もちゃんと歯をいれていた。


「お久しぶりです…。」


とりあえず私はW先輩に挨拶をした。



しばらく世間話や昔話をして酒を飲んでいた…。



そして、突然本題に入った。


「この数年、ついてないって言うか、不幸が一気に来た感じでよ・・・。」


「あーこいつから聞きました。」


私はそう言って、鞄からメモ用の紙を出した。


「どんな事がいつ頃あったか教えてもらって良いですか…。」


友人から聞いていたが、もう一度先輩から聞く事にした。



先輩は交通事故を4度起こしていた。


その後解雇、離婚。実家の火事。



確かに悲惨な状況である…。



「事故って4回も…。」


「ん…。あぁ…。4回やな…。2年間で…。」



2年で4回の事故は多すぎる(笑)


運転が余程下手なのかもしれない…。



「どんな事故だったんですか…。」



先輩は不味そうに酒を飲む天才だった。


ズルズル音を立てながらチューハイをチビチビ飲んでいた。


「最初の事故は居眠りやな…。対向車に接触して田んぼに落ちた。二回目


は、ぼぉーっとしてて信号無視して接触。そのまま交差点の角にあったお


地蔵さんに突っ込んだ。三回目は…。」


「ちょっと待って下さい…。」


私はお地蔵さんが気になった…。


「それってどこですか…。」


先輩は事故現場を詳しく教えてくれた。大阪の某所だったのですが、私に


は土地勘が無く判りづらかったのですが、友人は判ったようだった。



「その事故と何か関係あんのか…。」



私は少し考えて、


「何か霊的な事が問題ならば、あり得ますよね…。」


と先輩に言った。



「お地蔵さんはどうしたん…。」


友人はW先輩…友人から見ると後輩なのだが…(笑)


「あーそのままか、撤去されたんちゃうかな…。」




お地蔵さんの話をしていると、Fがやってきた。


「おぉー。誰かと思ったらW先輩やん…。」


そう言いながら、Fが席に着く。



今までの話を一通りFに話した。


Fは私の書いたメモを見ながら、先輩を黙って見ていた。



「先輩…。俺にもよくわからんのですけど、なんていうんですかね…。判り


やすく言うと、呪いみたいなもん…。人の怨念みたいなモノが原因ですよ。」


Fははっきりそう言った。




私はゾッとした。人の怨念ってのは非常に怖い…。私もそれは何となくわか


った…。



「犬が吠えるんよ・・・。」


W先輩は不味そうにチューハイをすすりながらあらためてそう言う。



Fは遅れてきた分を一気に追い上げるように食べて飲んでいた。



「とりあえず、犬のところ行ってみましょうか…。」


Fがそう言いだす。


後で聞いたのだが、犬の吠え方である程度の吠える原因がわかるらしい。



4人で居酒屋を出て歩く。


犬というのは探すといないモノで…。


あそこにいた。あっちにいた。と言う曖昧な情報で歩くが、一向に犬はいない。



その時でした。


ウゥーという唸り声の様な犬の声が聞こえてきました…。



そして、W先輩に向かって吠えだしたのです。



確かに尋常ではない吠え方…。




「もうええわ…。とりあえずどこか行こう…。近所迷惑やわ…。」


Fがそう言うので、4人でさっきの居酒屋の近くのお好み焼き屋に入った。




何を頼んだか覚えていませんが、もうお腹もいっぱいで食えもしないのに適当


に頼み、鉄板を囲んで4人で座ってました。



「いいですか…、先輩。あれは先輩に吠えている訳じゃないです。先輩に憑い


ている何かに吠えているんですよ・・・。」


Fはそう言う。


「たぶん、この事故の時に壊したお地蔵さんあたりだと思うんですけど…。」



「普通の地蔵やで…。なにがあるんや…。」




「よく思い出して下さい。犬に吠えられる様になったんって、この事故の後ちゃい


ますか…。」



W先輩は考えていた。


「言われてみれば、その辺りかもしれんな…。」




その日、原因はそのお地蔵様である事を確信し、解散した…。


Fは先輩にメモを渡していた。


お祓いをしてもらうための神社を教えたという…。






私の中ではそれで全部終わった気になっていた…。




数日後、友人から電話があった。


W先輩が仕事中に足を折ったという。



「お祓いってまだ行ってなかったんかな…。」


「今度の日曜に行く事になってたみたいやけど…。」




またW先輩の身に不幸が起こった…。


その日もとにかく寒い日だった…。




つづく。









TODAY'S BGM 「Room201」 スガシカオ

もう11月も後数日で終わりですね。


忘年会などがこれから始まり、夜も忙しい時期に突入です。


昔良く、会社の先輩たちと年末が近づくと麻雀だのパチンコだのってよく


遊んでました。


サラリーマンの時ってあまりお客様の忘年会に呼ばれる事もなく、会社


の忘年会だけ参加すれば良かった様な気がします。



その会社の先輩たちとよく行ってた麻雀屋…いわゆる雀荘ですね。


そこの友人たちと行った事が何度かあり、本当はいけないのでしょうが、


よく徹夜で麻雀してました。もう時効ですけどね…(笑)



事の始まりは、友人の父親。


友人の家で麻雀をしていると、その父が酔って帰ってきて、


「お前ら。良い若いもんが、昼間っからジャラジャラうるさいわ。麻雀する


なら雀荘でやれ。」


って言われました。



友人は、


「昼間っから酔っ払って帰ってきて、何偉そうにゆーてんねん。」


と少し親子喧嘩みたいになり、年末の街に男4人で繰り出しました。



「雀荘じゃ朝まで出来んやんけ。」


などと友人たちは言いだします。



「あ、俺朝まで出来るところ知ってる。」


私のその一言で雀荘へ行く事になりました…。




と、言ってもまだ昼間。


徹夜でやろうと言っても、夜には疲れて終わると思ってたのです。



とある雀荘のオヤジに頼んで、


もしかしたら朝まで…。


と言うとオヤジもOKしてくれました。



何時間やったかわかりませんし、麻雀って時間の感覚が鈍るんで


すよね…。



12時で閉店なので、他の客がどんどん帰って行きます。



私たちだけが店に残りました。


オヤジが暗幕を引いて、後片付けを始めてます。



「気ぃ使わんでえーから、思いっきりやってやー。」


そう言ってオヤジはお茶やコーヒーを入れてくれます。


それどころか近くの牛丼屋に夜食の牛丼まで買いに行ってくれました。


もちろん料金は払いますが…(笑)



夜中の3時頃、雀荘のオヤジは奥の席で横になりました。


「少し寝るから…。用があったら起こしてなー。」



「はいはいー。」



私たちもぼぉーっとしながら、返事をしたのでしょう。




1局終わって、誰かがトイレに行くと言い出しました。


しばらく休憩です。


全自動卓は休みなく打ってしまうんですよね…。その分回りも早いので


すが…。



その時でした…。



「うわぁー。」


と、声をあげて一人の友人が立ち上がりました。



「なに。」


私たちもびっくりしてその友人を見ました。



「今、入口に女がおった…。」


私ともう一人の友人は入口を見ました。


しかし誰もいません。



「寝ぼけんな。」


そんな事を言われながら友人は解せない顔で座りました。



本当にその時は見間違いだろうと思ったのです…。




トイレから友人が戻ってきて、再開されました。


少し入口を気にしながら…。






麻雀を続けていると、私の後ろの卓でカチャカチャと音がするのです。


初めは卓の電源が入ってて、中で何か動いているのかと思っていた


のですが、音は不規則にカチャカチャとするのです。




私は後ろを振り向きました。








その卓に、一人の女性が座っているのが見えました…。


そして、その女性は人ではない…。



私の背中の後ろにいる女性…。


もちろん私以外の友人からの方が見えるのです。


しかし誰も女性の事は口にしません。




また1局終わりましたので、私は背伸びをする振りをしてその女性を見


ました。



しかし、そこに女性の姿はなかったのです。




ただ、雀荘のオヤジがきれいに磨いてそろえた麻雀牌が幾つか乱れて


いました…。




「どうしたんや…。」


友人の一人が私を見てそう言います。



「いや、なんでもない。続けようか…。」



そのまま麻雀を続けました。朝まで電車もなく、少なくとも始発までは麻


雀を打つしかありませんし…。






しかし、その女性はまだ店の中にいたのです。





寝ているオヤジの近くに立つ。


暗幕を揺らして外を見る。


入口の近くに立ちこっちをじっと見ている。




私は何度かその女性を確認しました。



一人の友人の肩に手をかけて、私たちの卓を覗きこんだリしていました。




ただ、その女性には誰も気がつかないのです…。



結局、朝まで麻雀を打ち、オヤジも自然に起きてきました。



朝7時頃だったでしょうか…。


「やめようか。」


友人の一人が言いだし、お開きになりました…。



私たちは店を出て、外で冷えた空気を吸っていました。


雀荘のオヤジも出てきたので、



「モーニングおごりますわー。」


と言って、雀荘のオヤジも一緒に近くの喫茶店へ行きました。




「自分ら、好きやなー。こんな長い事よーやるわー。」


なんてそのオヤジは言って笑ってました。




「でもよー。ホンマに入口に女が立ってたんやで…。」


友人がそう言いだしました。



雀荘のオヤジの顔が曇ります。



「それなぁ…。誰にも言わんといてな…。」


オヤジはコーヒーを飲んで真剣に言ってました。



朝の喫茶店で、男5人が頭を寄せるようにして話をしています。


傍から見たら変な集団です(笑)




「いやな…俺も聞いた話なんやけどな…。」


オヤジの話が始まりました。




私は、店の中にいたと言う事を言いだすタイミングを完全に逃してしまい


ました…。




「俺があそこに入る前は、パーマ屋やったらしいねん。でもなんかそこの


経営がうまくいかんかったらしくてなー。あの店で首吊って死んだらしい


んや…。火曜日の朝方によう見るらしいんやけどなー。俺は見た事ない


んやけどな…。」



その日は確かに火曜日の朝でした…。



「何人かお客さんは見てるし、外を通りかかった人にも言われた事がある


わー。火曜日店に行くと、ちゃんとそろえてた牌がグチャグチャになってた


りするんよ。たまにやけどな…。」




オヤジはそう言ってました。




他の友人たちには見えなかった…。それだけが救いかもしれません。




その日、私たちはそのまま徹夜で今度はパチンコ屋に行ったと記憶してま


す。



もう正月まで後1~2日だった気がします…。







数年後、その雀荘を通りかかると、もう店がありませんでした。


そしてその場所はパーマ屋になっていました。



最近も良く通るのですが、今はそのパーマ屋も変わり別の店になっている


はずです…。



まだいるのかもしれませんね…。








TODAY'S BGM 「もっとうまく好きと言えたなら」 森口博子