夏休み、楽しんでますか。私は休みなしです。少しゆっくり仕事してますが・・・。
今日、神戸駅の構内を歩いていると友人の父上を見かけました。
約20年ぶりに見た気がします。もう仕事も引退したんでしょうかね。頭も真っ白
になってました・・・。声をかけようと思ったのですが、私の事を覚えておられない可
能性もあるのでやめました。そもそもその友人とも少し疎遠になってますので・・・。
そして、その友人の父にまつわる話があるのを思い出しました。
その友人は神戸の少し山手の方に住んでおり、一時期よく遊びに行ってました。
その日も友人たちと三宮で飲んで、その友人の家に行くことになりました。
その友人の家は新神戸よりも少し東で、高台のすごく高そうなマンションでした。
私たちが行くと、友人の母上が料理を出してくれて、冷たいビールとか出てきました。
テレビドラマのようでした。
私たちがリビングで母上の料理をいただいていると、玄関の方ですごい音がしました。
「オヤジやわ。」
友人はそう言って、玄関へ向かいました。
少し玄関で友人とその父上が騒がしく話をしているのです。
しばらくすると友人がリビングへ戻ってきました。
「どうしたん。」
私と一緒に行ったもう一人の友人がそう聞きました。
「オヤジがさぁ・・・。幽霊見たって言うねん・・・。」
時間は深夜の2時過ぎです。どうやら父上もどこかで飲んできたようでした。
「幽霊・・・。どこでやろ・・・。」
私は程よく酔っ払っていて、少ししんどかったので、壁にもたれて休んでました。
「その辺らしいで・・・。」
そんな話をしているとその友人の父上がリビングへ入ってきました。
私たちは父上に挨拶をしました。
すると父上も一緒にリビングのテーブルのところに座り、
「今、そこで幽霊見たんよ・・・。」
と話し出しました。
そんな父上にグラスを持ってくる友人の母上。よく出来た家です。
その父上が言うには、会社の部下と一緒にタクシーに乗り、下の大通りで自分だけ
降りて坂を登ってきたそうなのですが、その途中に小さな公園があり、そこで見た
というのです。
父上は公園の横にある自動販売機でスポーツドリンクを買い、公園のベンチに座っ
て一気に飲んだと言ってました。
その公園。私たちも通った事は何度もありました。小さなブランコがあって、少しだけ
遊具が・・・。
父上はその公園でタバコを吸おうとしたらしいのですが、タバコをくわえてライターで
火をつけようとしても一向に火がつかない。それでイライラしていると、ブランコが一人
でにキィキィと音を立てて動き出したというのです。
父上は火のついていないタバコをくわえたまま、ブランコをみると誰も乗っていないの
にブランコは大きく揺れていたそうです。
不思議に思い、父上はブランコに近づいた。恐る恐るブランコの揺れを手で止めて、
ベンチに戻ろうとした時。
ベンチに制服姿の女の子が座っていたそうです。父上はこんな時間に・・・と思いなが
らベンチに戻り、一言その女の子に言ってやろうと思ったそうなのですが、ベンチの前
に立って、その女の子の顔を見た瞬間に声が出なくなったそうです。
その女の子の顔は左半分がグチャグチャになっていて、片目が無かったそうです・・・。
それで父上はそのまま家まで走って帰ってきたらしいのです。
「酔っ払ってるんやろ・・・。風呂入って寝たら。」
と、相手にしてません。
「お前、親父の言うことも信じられんのか・・・。」
そういいながら父上はマイルドセブンライトをくわえて火をつけました。そしてビールを
一気飲み・・・。
信じる、信じないの話が続きます。友人いわくは、酔っ払ったオヤジの幻覚。父上は、
そんなに酔っ払ってないと言い張ります。確かに見る限りそんなに酔ってない感じで
した・・・。
そこで、その公園を見に行くと言う話になりました。
私もずいぶん酔いも醒めて、一緒に行くことになりました。
一緒に来た友人は、その手の話が苦手で一緒に行くのは無理だと・・・。母上と一緒に
留守番です。
玄関を出る時に、その父上が母上に言った言葉が今でも忘れられません。
「何かあったら、お寺に電話してすぐ来てもらうように言ってくれ。」
病院じゃあるまいし、この時間は寝てるんじゃ・・・(笑)
友人と父上、そして私の3人はマンションを出て、公園まで行きました。歩いても2~3分
の距離。しかし父上の足がすくみ、10分くらいかかったような気がします。
やっとの思いで公園に到着。
公園は何の変哲も無く、静まり返ってました。
しかし、ベンチにスポーツドリンクの缶がありました。
父上の話の通りです。そして、ベンチの前にタバコが1本落ちてました。
マイルドセブンライト・・・。友人の父上のタバコです。
その二つの品で父上は鬼の首を取ったかのように、
「な・・・本当やろ・・・。ここで見たんやって・・・。」
父上はベンチを指差します。
公園の入り口に街灯が一つあるのですが、小さな公園はその一つの街灯ですべてを
照らされているようです。
私は少し気になる場所がありました。
ブランコの奥の方。何か見える訳ではないのですが気味が悪いのです・・・。
友人は、
「で・・・ここに座ってたんかいな・・・。その女子高生は・・・。」
そう言ってベンチに座ろうと手を付きました。すると・・・。
「うわ・・・このベンチびしょびしょやん・・・。」
友人の手は濡れてました。夜露という感じではありませんでした。
そしてベンチが濡れている部分は、父上の話でその女子高生が座っていた部分だけ。
友人は濡れた自分の手の匂いをかぎました。
「なんやこれ・・・臭っ・・・。」
私もその友人の手の匂いをかぎました。その匂いは生臭い魚の腐乱した匂いに近い
でも、魚の匂いとは少し違うもの・・・。
そう・・・よくそういう体験をするときにどこからともなく臭う、不快な臭いでした・・・。
父上はタバコを取り出し、火をつけようとしました。
しかしまた火はつかなかったのです。自宅では普通についていたライターの火。
私は自分のライターを取り出し火をつけてみました。しかし私のライターも付かないの
です。友人にライターを借りて火をつけてみました。しかしこれも付かないのです。
キィ・・・。
その時ブランコが風も無いのに音を立てました・・・。
「帰った方がよさそうやな・・・。」
私は友人と父上にそう言って、公園を出ました。
坂を上りながら、私は公園の方を振り返りました。
ぽつんと光る街灯のポールの影に制服姿の女子高生の姿を見ました・・・。
私も確かに・・・。
そのまま友人のマンションに帰りました。
友人の手の臭い・・・。不思議な事に、マンションに着いた時には無くなっていました。
その日は明るくなるまで、その友人の家のリビングで酒盛りしながら、そんな話をして」
いました・・・。
昼前に私たちは友人宅を出ました。
明るくなって見た公園はまったく普通の公園でした・・・。
奇妙な体験。間違いなく何かの霊なのですが、彼女は何を伝えたかったのでしょうか。
公園では火がつかない・・・。火にまつわる不慮の事故にあったのかもしれません。
後日談なのですが、その友人の父上はそれ以来、心霊体験をよくするようになったと
飲みながら話されたことがありました。
その父上の会社には事故で無くなった社員が毎日通勤してくると言うのです。
そんな話を聞きました・・・。
今日、声をかけていれば良かった・・・と後悔しています(笑)
TODAY'S BGM 「時をかける少女」 松任谷由実