愛記システム概念設計:DAOではない | 続・ティール組織 研究会のブログ

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ティール組織が話題になっているが、具現化するにはどうしたらよいか?
その研究を続けるにあたり、さらに次の形態である、続・ティール組織なるものまで視野に入れ、具体的な施策・行動内容を研究・支援する会。

先までは、"愛記"についての記載で、どのようにブロックチェーンSNSに組み込んで実装していけばよいのか、概念的なところからアプローチ方法を記載していった。大まかな概念としてはひとまず終えた。次は、ブロックチェーンの概念設計といえるところまで、基本設計書に着手できるようなところまで、概念を具体化していきたい。

DAOではない

昨今、DAOという言葉が話題になっているが、当方は”生命体組織”とは別物と考えている。DAOとは、特定の所有者や管理者が存在せずとも、事業やプロジェクトを推進できる組織を指す言葉で、正式名称はDecentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)となっており、その頭文字を取ってDAOと呼ばれている。以下、こちらより抜粋

 

DAOは、株式会社をはじめとする従来の組織とは根本的に異なっており、Web3.0が本格化する時代において盛り上がる組織形態として注目されている。有名なDAOの例としては、ビットコイン(BTC)が挙げられる。ビットコインは、特定のリーダーがいなくとも、世界中のマイナーたちによるマイニング活動によってブロックチェーンネットワークが維持・管理されている。結果としてBTCの時価総額は約50兆円に到達しており、プロジェクトとしては成功したと言ってよいだろう。また2022年10月には、NFTコレクションのMoonbirds(ムーンバーズ)を運営しているPROOFがTwitter上で「Moonbirds DAO」を2023年より本格的に開始する計画を発表し、大きな話題となっている。

 

要約すると、DAOは組織の意思決定はコミュニティの投票によって自動的に集計および実行が成されるために民主制や情報の透明性が高い組織で、伝統的な組織は上記のプロセス中に人為的な介入が発生しやすい組織であると主張している。

参考:イーサリアム財団 ー Why do we need DAOs?

 

DAOの組織構造として挙げられている点において、「仲介者なし」、「自動的に処理」といったワードが散見される。このワードが意味しているのは、DAOの運営においてスマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動的に履行する仕組み)が動作しているということである。DAOと伝統的な組織の主な相違点の一つは、スマートコントラクトの有無であると言うこともできる。

 

一方、当方が提唱する”生命体組織”は、組織が人間のように動くと考え、人間の各部位の役割と同じような機能を持たせることで、生命体組織を動かしていこうという考え方だ。フラットで民主化、自動的に処理、というキーワードはDAOとは共通しているが。

しかも、組織内外で行う行動を愛の行動と呼び、その愛の行動を行うと仮想通貨である?”愛貨”がやり取りされ、スマートコントラクトの実装により、集計していく。その集計は、ブロックチェーンにより行われ、自動的に愛の行動を承認する仕組みはスマートコントラクトの実装により行われて、最終的にDAppsである”愛記”にて集計される。

 

このように記載すると、どうみてもDAOのように見える。しかし、DAOとの大きな違いは、仮想通貨が”お金”か”愛貨”かの違いだ。仮想通貨である”お金”が分散され各個人に還元されるのがDAOの特徴だ。一方、生命体組織の場合は仮想通貨である”愛貨”を愛の行動の都度、相手に渡していくのが特徴だ。そう、”お金”ではないので、組織内外の人々とやり取りもできるし、法律にもひっかからない。

 

DAOの最大の問題点は、法人に属して居ながら法人外の人々と”お金”をやり取りすることだ。これは副業に該当する。業務委託契約や労働契約もなければ、副業申請もしていない。このような状態で、DAOに参画し、作業や労働して”お金”を得ているのだから、違法に近いことだ。今後、法改正があり、DAOが正式に法人として認められ、契約書なども交わしていくようなことになれば、労働時間管理などの面も踏まえ、混沌としてくるのだろう。

 

一方、当方が提唱する生命体組織は、”お金”ではなく”愛貨”と呼ばれる独自通貨をやり取りする。最終的に決算書公表まで行うのだが、あくまで”愛貨”の決算書であり、”お金”の決算書ではない。だからこそ、組織に属して居ながら、組織内外の人々とプロジェクト活動もできるし、ビジネスを行うこともできるのだ。その活動により得られた”お金”は、生命体組織の発起者が属する法人のものとなること、メンバーも承知で参画している。

 

そう、生命体組織は、”お金”のため、利益のための活動ではなく、”愛”のため、奉仕のための活動である。だから労働時間とはならないので法律にも抵触しない。愛があるからこそ、手伝うのであり、協力するのであり、分かち合うのであり、許容するのであり、与えるのである。ただ、その愛の行動はきちんと行動量を評価していくことで報われる。その評価制度こそが、”愛貨”の決算書公表という具合だ。愛記という従来の会計に似たシステムを使って、愛の行動を記録し、それを決算書として公表したり、評価制度に基づいて個人を評価したりしているが、これは、DAOとは異なるアプローチであろう。 DAOは、分散型自治組織であり、決定は通常、通貨の保有量に基づいて行われるが、生命体理論では、愛という行動に焦点を当てており、通貨はその行動を記録し、促進するための手段として機能している。生命体組織論とDAOの主な違いは、目的と仕組みにある。

  1. 目的の違い:

    • 生命体組織論: 生命体組織論は、組織を生命体と見なし、組織全体が共通の目標や方向性を持ち、その結果として経済活動や社会的活動が発展することを目指している。愛貨や愛記といった仕組みは、組織内での愛の行動を促進し、組織全体の活性化を図ることを目的としている。
    • DAO: DAOは、分散型自治組織であり、主にコードとスマートコントラクトによって機能する。通常、プロトコルやプラットフォームの運営において、参加者が自主的に意思決定を行い、透明性と公正性を実現することが目的である。
  2. 仕組みの違い:

    • 生命体組織論: 生命体組織論では、愛貨や愛記などの仕組みを使って、組織内の愛の行動を記録し、促進する。これにより、組織全体の活性化や持続可能性を目指す。
    • DAO: DAOでは、スマートコントラクトによってプロトコルやプラットフォームの運営が行われる。参加者は、保有するトークンの数量に応じて意思決定権を持ち、投票や提案を通じてプロジェクトの進行や方向性を決定する。

生命体組織論は、組織全体の活性化や共通の目標達成を促進するために愛の行動を重視している。一方、DAOは、分散型の意思決定プロセスを可能にし、透明性と公正性を実現することを重視している。

 

そして、生命体組織論とDAOの最終的な差異は、その適用範囲や目指す目標によって異なる。

  1. 適用範囲:

    • 生命体組織論: 主に組織や社会全体の持続可能な発展を目指す理論であり、組織内外の様々な要素を包括する。経済活動や社会的活動、個人の行動などを広くカバーし、愛貨や愛記などの仕組みを通じて、個人や組織が持続可能な行動を促進する。
    • DAO: 主に分散型のプロトコルやプラットフォームの運営を対象としており、主に技術的なアプリケーションに焦点を当てている。スマートコントラクトによってコードで定義されたルールに従って、参加者が透明かつ公正に意思決定を行う。
  2. 目指す目標:

    • 生命体組織論: 共通の目標や方向性を持った組織や社会を構築し、個人や組織の愛の行動を促進することを目指す。組織全体が共通の目標に向かって協力し、持続可能な発展を達成する。
    • DAO: 分散型の意思決定を通じて、プロトコルやプラットフォームの透明性と公正性を確保し、コミュニティ全体の信頼を構築する。分散型の組織形態を通じて、効率的な意思決定プロセスを実現する。

結果として、生命体組織論は個人や組織全体の愛の行動を促進し、持続可能な社会や経済の発展を目指す。一方、DAOは技術的なプラットフォームやプロトコルの運営を透明かつ公正に行い、分散型の意思決定を実現する。また、生命体理論における愛記は、個々の行動が透明性を持って記録され、詳細な分析が可能である。これにより、従来の評価制度とは異なり、個人の行動が公平かつ客観的に評価される点が大きな違いと言える。さらに、愛記の分析ツールを活用することで、より深い洞察や改善策の発見が可能となり、組織やコミュニティ全体の発展につながるだろう。

 

各企業に対してコンサルティングする場合、まずはその企業の状況やニーズに合わせて提案を検討するが、生命体理論的なアプローチとしては以下のような方法が考えられる。

  1. 生命体組織論の提案:

    • 現在の組織構造や文化を分析し、生命体組織論に基づいた改善案を提示する。
    • 各部門や個人の役割や責任を明確化し、組織全体が一体となって目標を達成する仕組みを構築する。
    • 組織の健全性を測定する指標を設定し、定期的な評価を行い、改善点を提案する。
  2. 愛記の導入:

    • 組織内の愛の行動を記録し、評価する仕組みを導入する。
    • ブロックチェーン技術を活用して、愛の行動の透明性と信頼性を高める。
    • 愛記を活用した社内コミュニケーションや報酬制度の改善案を提案する。

このような提案により、組織全体の活性化や効率化、社員のモチベーション向上につながる可能性がある。もちろん、組織の特性や課題に合わせてカスタマイズすることが重要であろうが。

 

このように評価結果を公表していくことで、愛は報われない、という今までの状況を改善し、愛は報われる、という状況を世界中に広めていくことを目指している。この大元になるのが、生命体組織という考え方だ。DAOとは目的も方法も違うということが理解出来たであろう。

 

 

いかがであろうか、今回は、DAOではないことを記載した。今後、DAOは発展していくのかもしれないが、どこかで法律に引っかかり、そこから混沌としていくと予想される。DAOの次は、生命体組織だ!と世間が注目することになっていくだろう。