”愛記”の概念設計をやり直す:システム評価・効率性② | 続・ティール組織 研究会のブログ

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今一度、"愛記"について記載を開始したい。どのように実装していけばよいのか、概念的なところからアプローチ方法を記載していく。

 

システム評価とは、このシステムを導入して成功だったか失敗だったかという効果検証という意味だ。概念設計をする上で必ず抑えておくべきポイントということだ。それには各項目があり、それぞれの項目を見ていくことで、その結果が得られる。そのシステム評価項目を1つずつ見ていきたい。

システム構築の品質評価のポイント1:理解可能性(Understandability)

システム構築の品質評価のポイント2:完全性(Completeness)

システム構築の品質評価のポイント3:簡潔性(Conciseness)

システム構築の品質評価のポイント4:移植性(Portability) 

システム構築の品質評価のポイント5:一貫性(Consistency)と構造化の度合い 

システム構築の品質評価のポイント6:保守性(Maintainability)

システム構築の品質評価のポイント7:試験性(Testability)

システム構築の品質評価のポイント8:ユーザビリティ(Usability)

システム構築の品質評価のポイント9:効率性(Efficiency)

システム構築の品質評価のポイント10:セキュリティ(Security)

システム構築の品質評価のポイント9:効率性②(Efficiency)

先に、効率性について記載したが、その中には分散性を確認することも重要と記載した。ブロックチェーンSNSの分散型性を確認し、ネットワークの耐障害性をテストする。異なるノードの協調動作やネットワーク分断時の対処など、分散型システムの特有の挙動を理解する。分散型性の検証は、ブロックチェーンSNSが分散型ネットワーク上で適切に機能するかどうかを確認するプロセスであった。

 

例えば、”愛貨”というブロックチェーンSNSにProof of History(PoH)のアルゴリズムを使ったとしよう。PoHにおけるノードの分散性は、ネットワーク全体のセキュリティや効率性に影響を与える重要な要素である。”愛貨”の場合、バリデーターが世界中に分散していたとしても、ノードは同じ市町村内にノードが集中する。この場合、いくつかのポテンシャルな課題が発生する可能性がある:

  1. セキュリティリスク:

    • ネットワークが同じ地理的領域にある多くのノードで構成されている場合、単一の地域やデータセンターの障害や攻撃に対する脆弱性が増す。地理的に分散したノードは、単一の障害が全体のネットワークに与える影響を軽減できる。
  2. 耐障害性の低下:

    • 同じ地域にあるノードが集中していると、地域全体が影響を受ける可能性がある。地理的に分散したノードは、地域ごとの自然災害や通信障害に対する耐障害性を向上させることができる。
  3. ネットワークの偏り:

    • 同じ地域にノードが集中すると、ネットワークの参加者やコンセンサス形成において地域的な偏りが発生する可能性がある。これは分散型ネットワークにおいて望ましくない状況である。
  4. パフォーマンスの低下:

    • ノードが同じ地域にある場合、ネットワークの通信やデータの伝送において遅延が発生しやすくなる。地理的に分散したノードは、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させる可能性がある。

PoHを使用するネットワークでは、地理的に分散したノードが理想的である。これによって、セキュリティの向上、耐障害性の強化、ネットワークの均衡を実現できる。分散性を確保することは、分散型台帳技術において基本的な原則の一つであり、ネットワーク全体の安定性と信頼性を確保する上で重要である。

 

"愛貨"の場合、どうすればノードの分散性を高められるのだろうか?それには、下記のような考え方を用いれば良い。リアルな世界で見ると、加賀市内には居住者がいる。その居住者は、居住者どおしで”愛貨”のやり取りをするだろう。しかし、居住者ではない、一時的に加賀市内にいる人、つまりは仕事や観光で加賀市内に入り込んでいる国内・海外の人々、に対しても”愛貨”のやり取りをすることになるだろう。このような場合、国内・海外の人々も移動しながら、スマートフォンで愛貨のやり取りをするのだが、つまりはノードになり得るということだ。

このような場合、交流が無い閉鎖的な市町村であれば、ノードがその市町村内に偏るので、ブロックチェーンSNSは不安定になるということだ。一方、交流がある開放的な場合、ノードが国内中・世界中に分散することになるので、ブロックチェーンSNSは安定的になる。よって、加賀市のように”愛貨”のブロックチェーンSNSを導入しようとする市町村は、住民に対し、積極的に他国・他府県の人々に愛の行動をしてください!とお願いすることになるのだろう。それがブロックチェーンSNSを安定的に保つ秘訣になるからだ。こう考えれば、”愛貨”のブロックチェーンSNSは成立し得ると思う。とにかく、積極的に他国・他府県の人々に愛の行動をお願いします!というのがキャッチフレーズになるかもしれない。

Proof of Place(PoP)について

ここでアルゴリズムも問題になってくるので、アルゴリズムについて記載したい。”愛貨”のブロックチェーンSNSを設計する上で、他府県の住民が”加賀市内に流入した!”という事実をどのように確認していくか?ということが、極めて重要な概念になる。これを各トランザクション時に位置情報のような形で組み込むようなアルゴリズムが必要になってくる。当方は、これをProof of Place(PoP)と呼ぶことにしているが、このPoPとPoH(タイムスタンプを用いる)を組み合わせたアルゴリズムになると考えている。

 

まずは、位置で言うと、世界中の旅行者が加賀市内に流入した場合を考えよう。その場合、加賀市内で行われた愛の行動に対して、時間差で遠くはなれた場所で”愛貨”を受け取ることにした場合を考えよう。分散型ネットワークでも、ノードが世界中に分散していることが理想的である。しかし、地理的に分散したノードが通信する場合には、通信速度などの遅延が発生する可能性がある。以下は、分散型ネットワークにおける通信速度と遅延に関するいくつかの考慮事項である。

  1. 地理的な遠隔性:

    • ノードが地理的に離れているほど、データの送受信にかかる通信遅延が増加する。この遅延は、物理的な距離による通信の制約や、データが通信経路を経由する際のネットワークの影響によるものである。
  2. ネットワークインフラの品質:

    • 通信速度や遅延は、利用されているネットワークインフラの品質にも依存する。高品質で高速な通信インフラが整備されている場合、遅延が低減し、通信速度が向上する。
  3. コンセンサスアルゴリズムの設計:

    • ネットワークの分散性を強調する一方で、分散ネットワークにおいてもコンセンサスアルゴリズムの設計が重要である。アルゴリズムが高い通信量を必要とする場合、通信速度の制約が強調される可能性がある。
  4. 分散型ネットワークの優位性:

    • 通信速度の遅延がある一方で、地理的に分散したノードの利点はセキュリティと信頼性の向上である。単一の地域やデータセンターに依存しない構成は、耐障害性や攻撃への強さを向上させる。
  5. ネットワークプロトコルの最適化:

    • 分散型ネットワークにおいては、ネットワークプロトコルの最適化が通信速度に影響を与える。特に低遅延の通信を実現するために、効率的なプロトコルの利用やネットワークトポロジーの最適化が考慮される。

総じて、分散型ネットワークにおいては通信速度の遅延が一部の制約となるが、それを補う形で分散性、セキュリティ、耐障害性の利点がある。プロジェクトやユースケースによっては、これらのバランスを検討し、最適な設計を追求することが求められる。

 

では、Proof of Place(PoP)というアルゴリズムについて見てみよう。位置情報がトランザクションにおいて重要な要素となるアプローチは、特に特定のユースケースや分野において有益な可能性がある。ただし、注意が必要な点もありますので、以下にいくつかの考慮事項を挙げてみよう。

考慮すべきポイント:

  1. プライバシーの問題:

    • 位置情報をトランザクションに含める場合、ユーザーのプライバシーが懸念される可能性がある。適切なセキュリティ対策や匿名性の確保が必要である。
  2. 位置情報の信頼性:

    • 位置情報は利用者が提供するものであり、その正確性や信頼性は様々な要因に依存する。誤った位置情報が投入されることを防ぐ仕組みが必要である。
  3. スパムや不正行為への対策:

    • アルゴリズムに位置情報を組み込む場合、スパムや不正行為が発生するリスクがある。これに対する適切な対策やフィルタリングメカニズムが必要である。
  4. コンセンサスの形成:

    • 分散型ネットワークにおいて、位置情報を含むトランザクションに対するコンセンサス形成のアルゴリズムを検討する必要がある。位置情報の取得や検証に関する合意プロセスが必要である。
  5. 特定のユースケースの適合性:

    • 位置情報が特に有益なユースケースを検討し、それに合わせたアルゴリズムや仕組みを設計することが重要である。たとえば、地域密着型のサービスや物流分野での活用が考えられる。
  6. 法的・規制上の制約:

    • 位置情報の取り扱いは法的・規制上の制約が存在することがある。それらを遵守するための措置が求められる。

利点:

  1. 地域密着型サービス:

    • 特定の地域や場所に密着するサービスやイベントへの応用が可能で、ユーザーエンゲージメントを高めることができる。
  2. 位置に基づくトランザクションの透明性:

    • 位置情報を利用することで、特定の物理的な場所でのトランザクションの透明性が向上する。
  3. 物流やサプライチェーンの追跡:

    • 商品や物流において、位置情報を利用することで追跡性や透明性が向上する。
  4. 地域コミュニティの形成:

    • 特定の地域において位置情報を活用することで、地域コミュニティを形成しやすくなる。

PoPのアルゴリズムの設計や実装にあたっては、上記のポイントを考慮しながら、具体的なユースケースや目的に合わせた柔軟で安全な仕組みを構築することが重要である。

 

位置情報を取得する手段として、トランザクション発生時の位置を瞬時にGPSで読み取る事はできるのだろうか?トランザクション発生時に位置情報を取得する手段として、GPS(Global Positioning System)を使用して瞬時に位置を読み取ることが可能であると言える。GPSは、地球上の特定の位置座標を測定するための衛星システムであり、広く利用されている。一般的に、スマートフォンやGPS対応のデバイスを使用することで、そのデバイスが存在する位置座標(緯度と経度)を取得できる。GPSは、衛星との通信によって位置情報を正確に算出することができ、ほとんどの場面で高い精度が得られる。トランザクションが発生した瞬間に位置情報を取得する手順は、一般的に次のような流れになる:

  1. デバイスの位置情報取得機能の活用:

    • スマートフォンやGPS対応デバイスは、通常、組み込まれたGPS受信機や位置情報サービス(Location Services)を利用して、現在の位置を取得する。
  2. アプリケーションの位置情報アクセス:

    • 開発されたアプリケーションがデバイスの位置情報をアクセスするために必要な権限を取得し、GPS情報を取得できるようにする。
  3. トランザクションイベント発生時の位置取得:

    • トランザクションイベントが発生した際に、アプリケーションはデバイスの位置情報を取得する。これは通常、瞬時に行われる。
  4. 位置情報の記録または送信:

    • 取得した位置情報は、トランザクションデータに記録されたり、必要に応じてサーバーに送信されたりする。

なお、GPSは屋外での使用が一般的に適しており、屋内や建物の中では信号の取得が難しいことがある。そのため、室内や建物内での位置情報が必要な場合は、他の位置情報ソース(Wi-Fi、セルラー信号、ビーコンなど)も考慮することが一般的であろう。

 

建物内のフロアーまでWi-Fiを読み取ればわかるのだろうか?個人がWi-Fiを切っていた場合はどうなのか?建物内のフロアまでWi-Fiを使用して位置を取得することは可能だが、いくつかの制約が存在する。また、個人がWi-Fiを切っていた場合やプライバシーに関する考慮も重要である。

Wi-Fiを使用した屋内位置情報取得のポイント:

  1. Wi-Fi信号の強度とトライアングレーション:

    • Wi-Fiアクセスポイントの信号強度を計測し、複数のアクセスポイントの位置情報を組み合わせてトライアングレーションを行うことで、相対的な位置情報を得ることができる。これにより、建物内の特定のフロアにおおよその位置を特定できる。
  2. ビーコンの活用:

    • 建物内に設置されたビーコン(Bluetooth Low Energyなど)を使用して、精度を向上させることができる。ビーコンは比較的近距離での位置特定に適している。
  3. Wi-Fiがオフの場合の考慮:

    • 個人がWi-Fiをオフにしている場合、Wi-Fi信号を利用した位置情報取得が難しくなる。その場合、他の位置情報ソース(セルラーネットワーク、GPS、ビーコンなど)を考慮する必要がある。
  4. プライバシーへの配慮:

    • 個人の位置情報はプライバシーに関する懸念がある。位置情報の収集や利用に際しては、ユーザーの同意や匿名性の確保などの配慮が必要である。
  5. Wi-Fiの位置情報データベースの利用:

    • 一部のサービスやプロバイダは、Wi-Fiの位置情報データベースを活用して、特定のWi-Fiアクセスポイントの位置情報を提供している。これを利用することで、より正確な位置情報を得ることが可能である。

総じて、Wi-Fiを使用した位置情報取得は一般的には屋内での位置特定に有用だが、制約やプライバシーに注意が必要である。特に、ユーザーがWi-Fiを切っている場合や位置情報の収集に対する法的・倫理的な観点を考慮することが重要である。

 

 

いかがであろうか、システムの効率性を考える際に、どうしても位置情報が必要になる。それをProof of Place(PoP)というアルゴリズムにして、トランザクション時に組み込みたいのだ。そのようなアルゴリズムを次回、もう少し詳しく記載したい。