先にオンボーディング・プロセスに
ついて記載した。当研究会が考える
オンボーディング・プロセスは「役割」
と「ゆらぎ」を体験してもらうことだ。
「役割」について
役割は10もしくは12の役割という、
数字にこだわった方が良い。つまり、
6や7の役割だけに留めても生命体
が動かないのである。逆に、15、16
などのように多すぎても今度は組織
として上手く機能しなくなるという事
で、当研究会では、10もしくは12の
役割にすることを推奨しているが、
基本は12の役割としている。
・10の役割の場合
・12の役割の場合
これら12の役割をそれぞれ体験して
もらうことで、役割のイメージがつく
ようになり、生命体をどのようにして
動かしていけば良いかのイメージを
もってもらうのだ。
それでは、これらの役割を1つずつ
体験するという意味で、見てみたい。
”腸”の役割 こちらを参照。
・たくさんの情報を脳に送っている
腸の神経系は特に発達しているので、
多くの情報が日々得られるのだが、
それを脳にもきちんと送っているのだ。
組織でも同じで、腸の独自の視点から
の情報も脳の担当へ伝えていくのだ。
脳と腸は自律神経系やホルモン、サイ
トカインなどの液性因子を介して密に
関連していることが知られている。この
双方向的な関連を「脳腸相関」と呼ぶ。
脳が腸へ与える影響として、脳からは
腸へ向けて神経が投射しており、精神
的なストレスが消化管に影響を及ぼす
ことが知られている。
腸が脳へ与える影響として、様々な原
因で腸の状態が悪いと、血液を介して
脳が有害物質に曝される危険性が指
摘されている。また腸内で腸内細菌叢
が産生する物質が、脳に影響を与える
こともある。
それゆえ、脳の担当者である社長や
事業部長などと、自律神経系である
脳の指令系統に直に繋がっており、
あうんの呼吸であるかのように、お互
いが意識までをも共有する。
また、免疫系の主担当として、免疫系
が抗原などに攻撃されるとサイトカイン
を放出し、脳や末梢神経に作用させ、
神経-内分泌作用を引き起こし、それ
が免疫系にフィードバックされる。
サイトカインというのはメッセージの
1つであった。それゆえ、抗原という、
非自己的な存在から攻撃されることで、
攻撃されたぞ!とメッセージをそこら中
に放出し、脳や免疫系に知らせるのだ。
オンボーディング・プロセスでは、この
サイトカインの放出プロセスを体験して
もらうことになる。
例えば、12人のチームになってもらい、
脳の役割であるリーダー的存在の人、
そして腸の役割となるあなた、という
設定で、周りで”いじめ”が起こったと
しよう。12人のチーム内で、ある人が
陰湿ないじめを受けており、それを
目撃したあなた。あなたは、腸の役割
なのであるからアラームを発する必要
があるのだ。ちょっと何しているの!!
と、介入していくことになる。その際、
何がわるいんだ?と逆ギレされた際に、
しっかりと自己と非自己の違いを説明
していかねばならない。どんな言動が
非自己に該当したのか、その明確な
基準を設けておかねば、介入できない。
それはおかしいと思う!と大きな声で
主張することで、他のメンバーも介入
してくることになる。そして、”いじめ”が
明るみになり、今後起こらないように、
話し合いがなされる。
このように、腸の役割の担当者は、
抗原による攻撃を受けた際に、真っ先
に反応し、メッセージを放出する担当者
なのである。その際に重要になるのが、
介入すべきか、すべきで無いか、という
判断基準だ。どこまでが自己で、どこか
らが非自己なのかをT細胞という記憶
装置に保存しておき、T細胞を皆にも
分け与え、共有しておくことが必要と
なるのだから、結構難しいのだ。
・腸神経系と呼ばれる独自の神経系を持つ
人間の腸内には、約1億個の神経細胞
があり、網目状の神経ネットワークが
存在している。これは脳の細胞数の次
に多いのであるから、第二の脳とも呼
ばれているゆえんなのだ。
組織でも同じで、腸の役割の担当者は、
独自のネットワークを持っており、脳とは
一線を画すような行動が多い。
そして、腸は思考や情動に影響が与える
ことが多いので、組織の情動を司ることが
多いのだ。感情的なイベントが発生すると、
まずこの腸の担当者が反応し、”落ち着け!
状況を整理しよう!”など落ち着き・情動を
示すのである。感情の起伏が収まるのだ。
オンボーディング・プロセスでは、このよう
な情動・落ち着きを司るプロセスを体験し
てもらうことになる。
例えば、必然的にエキサイティングになら
ざるを得ないゲームを用意し、腸の担当者
であるあなたに、情動を司る役割を担って
もらう。ゲームが終了した時点で、チーム
内の皆に、どれほど情動を上手く司って
いたかを確認することで、腸の役割が、
担えたのかそうでないのかを知る。
サッカーの試合で言うとゴールキーパー
のポジションが腸の役割に近いだろう。
熱い試合であればあるほど、ゴールキー
パーがチームを鼓舞したり、落ち着かせ
たりするであろう。バイエルンの守護神で
あるノイアーは、世界最高峰の腸の担当
者であると、当研究会では分析している。
・腸内細菌の状態が向社会性をアップする。
腸内には細菌がおよそ1000種類、100兆
個も生息していることが知られている。
体の健康には、腸内にビフィズス菌や乳
酸菌などの善玉菌が占める割合を増やす
ことが重要だ。善玉菌を増やすオリゴ糖や
食物繊維を十分にとって、同居人である
腸内細菌と協同して健康を作ることが大切
である。
組織でいうと、日々規則正しい仕事をして
いれば、腸の働きも活性化されていくのだ
が、もし不規則な仕事の仕方をしているよ
うでは、組織にストレスが溜まり、悪玉菌
が増えていくのだ。つまり、腸の働きが弱
ってきて、健康を害する恐れが出てくるの
である。
不規則な仕事の仕方とはコンプライアンス
を少し違反するような行動をしてみたり、
決済のルールを無視して独自で判断したり
と、組織にとって悪い行いを続けていくこと
が常態化してくると腸の働きが鈍ってきて、
健康を害するようになるのだ。
オンボーディング・プロセスでは、不規則な
仕事の仕方と、規則正しい仕事の仕方を
体験してもらう。
実際の現場で起こって問題になった事例
などを中心に、規則正しい仕事の仕方を
知ってもらう。これにより、どうしたら組織
にとって良くなり、どうしたら悪くなるのか
が身をもって体感できるのだ。
・体の中にあるドーパミンの50%を生成している。
ドーパミンが不足すると、ドーパミンによ
って保たれてきた、物事への関心や意欲
などが薄れやすくなり、何事にも無関心で
無気力、鬱っぽい症状が現れやすくなる。
組織でも同じで、腸の役割の担当者が出
す”気”などが不足すると、組織は活性化
を失っていき、物事への関心や意欲など
も薄れ、目標達成などの意欲もなくなって
きて、組織が弱体化していくのであろう。
オンボーディング・プロセスでは、このような
”気”を組織に充満させるプロセスを体験し
てもらう。そのプロセスは、気功法と呼ぶ。
例えば、言霊という気を体験してもらう。
10人が縦に1列に並んでもらう。その際、
後ろの人は前の人の両肩を両手で支える。
そして、腸の担当者のあなたが、先頭の人
を押していくとしよう。その際に、何も発さず
に押していくのと、”愛してます!”と言いな
がら押していくのと、では押し込む度合い
が違うことを体験するだろう。単に言葉で
”愛してます!”と言いながら押し込むと、
なぜか力が増し、さらに10人の列にきれ
いに力が伝わり、押し込めるようになる。
他にも気功によって、様々な問題を解決
できることを体験してもらう。これらは家庭
内での問題でも同じように使える。
・イジメなどの問題を無くしたり、
・パワーハラの問題を良くしたり、
・家庭内別居を元に戻したり、
・引きこもりや不登校を良くしたり、
色々な問題を解決する力があるからだ。
前向きで、ポジティブ言葉を使うことで、
結果が出て来るという宇宙の仕組みを利
用しているだけであるから、誰でもレベル
関係なく使えるのが気功である。つまり、
”気”とはエネルギーなので、言葉や思い、
意識、意志、あらゆる形でエネルギーは
存在するが、それらを愛あるポジティブ
な言動で表現し、生命体の全身を満たす
ことを気功と呼ぶ。これら気功法を体験
すると、はじめは半信半疑でやっている
のだが、徐々に効果が目に見えてくると、
本当に気功というポジティブな言動がい
かに大切かが理解できるようになるのだ。
・セロトニンに至っては90%を生成している。
セロトニンは、体のリズムを整えたり、
ホルモンと同じような働きをしたり、睡眠
の状態にも関係している。また、体温の
調整や痛みの認知、食欲の制御や消化・
吸収に至るまで、多くの体の機能に関わ
っているのだ。そして、このように多彩な
役割を持っているセロトニンは、95%が腸
で作られているのだ。
組織でも同じで、腸が組織全体のリズム
を整えたり、感情をコントロールしたり、
情報の消化を手伝ったりしているのだ。
腸こそが組織の感情コントローラーなの
である。このような役割の担当者が組織
に居れば安定するのは容易に想像できる。
オンボーディング・プロセスでは、これら
セロトニンの生成について体験してもらう。
セロトニンの生成には、次の3つのような
言動が大きな要因になる。
➀適度な運動
適度な運動は脳とセロトニン神経を活性
化させる。運動の中でも効果的なのは、
比較的単調な有酸素運動だ。例えば、
ランニングや水泳、サイクリングなどの
単調に身体を動かし、長い時間継続する
運動がそれに該当する。
これらを研修の一環として、日々取り入
てもらい、効果を検証する。
➁感情を動かす
意識的に脳を活動させることでセロトニン
を増やすことができる。日常生活で、喜怒
哀楽の感情をなるべく引き出すように意識
するとセロトニンは増える。感動の涙を流
した時には、自律神経のリセットと同時に
セロトニン活性が起こり、浄化作用がある
そうだ。様々な人と触れ合うことで、心が
動く経験をすることや、映画や小説など
芸術に触れることも効果的である。
これらを実際にやってもらい効果を検証
してもらう。
➂睡眠
脳は、複雑で高度な活動を行う器官なの
で、定期的にしっかりと休むことが重要だ。
寝不足が続くと些細な事でイライラしたり、
気分が晴れなかったりするように、脳の
機能も低下してしまうのだ。また、セロト
ニンが減ると、メラトニンも減少するため、
夜眠くなれなくなったり、睡眠の質が下が
ったりと、弊害が出てくる。
睡眠時間を夜の22時から朝5時という、
7時間程度の睡眠を確保してもらい、
セロトニン生成の効果を検証してもらう。
そして、これらの言動を体験することに
よって、組織という生命体もまた、腸の
役割の担当者が生成するセロトニンに
よって、生命体全体の機能が安定する
という効果をイメージしてもらうのだ。
これによって、自分が腸の役割の担当
者として、まずは自分自身がセロトニン
の生成ができる状態にしておくことが
重要だと気づく。
長くなるので、腸の役割については、
続きを次回記載したい。