コマツのスマートコンストラクションが膵臓の役割に近い! | 続・ティール組織 研究会のブログ

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ティール組織が話題になっているが、具現化するにはどうしたらよいか?
その研究を続けるにあたり、さらに次の形態である、続・ティール組織なるものまで視野に入れ、具体的な施策・行動内容を研究・支援する会。

膵臓についてもう少し記載してい

きたい。

 

膵臓こそが、60兆もの各細胞から

のメッセージを受信・発信している

統括器官であると先に記載した。

いったいどういうことか?

これを人体で考えると複雑すぎる

ために、ITという現代技術の観点

から見てみよう。

 

近しい例として、小松製作所が大々

的に展開しているICTツールがとて

も参考になる。こちらを参照

 

コマツが提案する施工ソリューション

であるスマートコンストラクション。

スマートコンストラクションが目指す、

デジタルトランスフォーメーション・

スマートコンストラクションとは、新

IoTデバイスと新アプリケーションに

より、施工全工程をデジタルでつなぐ

『横のデジタル化』を行い、実際の現

場とデジタルの現場(デジタルツイン)

を同期させながら施工の最適化を行

うというものだ。
将来的には1件の施工をデジタル化

することで複数の施工をリアルタイム

に遠隔でつなぎ、最適にコントロール

する「奥のデジタル化」の実現を目指

している。

 

デジタルトランスフォーメーション・

スマートコンストラクションは、実際

の現場とデジタルの現場(デジタル

ツイン)を同期させながら施工の最

適化を行う。

 

 

このスマートコンストラクションは、

コマツが2015年に日本で開始した

建設現場の課題解決のための

ソリューションである。スマートコン

ストラクションの要となるオープン

プラットフォーム「KomConnect」は、

建設現場に携わる全ての人・モノ

(機械、土など)についての情報を

ICTでつなぎ解析、シミュレーション、

提案まで行う。
現場に携わる人は、スマートフォン

やタブレット、建機に搭載された

モニタ、事務所のパソコンから、

いつでもKomConnectにアクセスし、

蓄積された様々な情報を活用する

ことが可能となる。


また、ICT油圧ショベルに搭載の

「ステレオカメラ」は、車体周辺の

地形形状を常に高速、高精度に

計測する。ICT建機は自らが施行

した地形の現況データを、ステレオ

カメラはそれ以外の場所の地形の

現況データを取得し、リアルタイム

にKomConnectに送信・蓄積する。
刻々と変化する地形の現況データ

を、無人ヘリ(UAV)で測量した施行

前の地形データと3次元化した施工

完成図面のデータに自動照合する

ことで施工の効率化と、施工現場

全体の正確な出来高および進捗

の管理を実現している。
 

 

また、ICT建機にはパーツが欠か

せない。今やパーツ事業は全体の

20%にも占める割合になってきて

いるのだから、効率化が必須にな

ってきている。こちらを参照

 

建機の使用期間が長いことが、

パーツの需要を伸ばしていると。

「自動車の総使用時間が約2500時

間だとすれば、建機は約1万2000時

間、掘削機なら約7万5000時間。

その間に交換するパーツの費用は、

建設機では新しい機械1台分、掘削

機では2台分になる」からだ。

 

パーツの種類も多く、事業としても

重要な位置を占めるパーツ。それだ

けに、必要な部品を必要な拠点に、

いつ届けられるかが、従来にも増し

て重要な課題になってきた。

「パーツのサプライ状況を確認する

ために各拠点のメンバーが集まる

グローバル会議を開くなど、泥臭く

時間がかかることもやっていた。

メールも言葉の壁や時差が問題

だった」と。 システム環境にしても、

「日本はシステムを個別に手作りす

るのが大好きだ。従来システムは

バッチ、バッチの連続で情報が1つ

にまとまっておらず、集計にも時間

がかかっていた」。

こうした状況を打破するためにコマツ

は「New Parts System」プロジェクトを

立ち上げ米国拠点から導入を始めた。

その一例として「利用部門がメリットを

感じられるように、これまで複数画面

で操作・確認が必要だったパーツ輸

送のコンテナ情報に、1つの画面で

完結できるようにした」という。

さらにNew Parts Systemでは、「地味

に見えるが、パーツの入荷タイミング

を平準化させられる。たとえばコンテナ

が1度に20個も届いてしまうと、スタッフ

を集め夜間に作業するといったことが

発生してしまう。急ぐ必要がないパーツ

については日程を遅らせて、作業量が

少ない日に到着するようにもできる」と

説明する。

 

 

これらが膵臓の役割に似ているという

ことである。つまり、各建設現場こそ

が、1つの生命体であるとしよう。

そして、現場で稼働しているICT建機

の1台ずつの主要部品がセンサーや

カメラを掲載しており、リアルタイムで

「KomConnect」に接続し、情報をやり

取りしているという。

 

パーツが故障しそうであればアラーム

を飛ばす仕組みになっており、すぐに

パーツの交換手配が行われ、パーツ

が届いたりもする。

さらに、稼働率が悪い現場は、稼働率

の良い現場と比較し、どの工程で手間

取っているのか、データ分析されて、

工程管理の見直しや、修正が入る。

このような、データ分析もリアルタイム

で可能となっている。

 

まさに膵臓という担当社がネットワーク

である「KomConnect」というシステム

をグローバル展開し、そのシステムに

すべての細胞である人・もの・金・時間

が加わり、データベース化されて過去、

現在、未来の分析が行われるという

具合である。

人体における膵臓も、これとほぼ同じ

ような機能を担っているということだ。

 

 

では、これをリコー三愛グループに

当てはめて考えてみる。

膵臓の役割の担当社は、

リコーテクノロジーズが担っている。

リコーテクノロジーズは、先のコマツ

と同じように、ICT複合機なるものを

管理し、パーツの故障や稼働率の

悪化、耐久性の改善などを設計して

いくことができれば、より良いので

あろう。

さらには、オフィス全体をコマツで

いうところの建設現場と考えてみて、

各オフィスに、複合機だけでなく、

照明器具やモバイル端末、セキュリ

ティーに、無人稼働オフィスの実現

など、あらゆる可能性が広がる。

詳細はこちら

 

これらのオフィス環境をICTにて、

一括で管理するシステムを構築し、

各パーツがそれぞれ自動で受信・

発信をし続け、人・もの・金・時間が

動いていくことを実現できれば、

小松製作所と同じようなICTツール

を構築できた、つまりは膵臓の役割

のツールを構築できた、と言える。

 

しかし、これを実現するには、膵臓

の役割をしっかり認識し、どのような

設計にすれば人体の膵臓の役割に

近づくことができるかを理解し、何を

優先し、何を画面上に表示させない

といけないのか、などを議論していく

必要があるのだろう。

 

単に、インターネットにモバイル端末

や複合機や照明機器や空調機器を

接続したから良いというわけでは無

いということだ。

膵臓が管理しているのは、”役割”と

”過去情報”と”エネルギー”である。

どのパーツがどのような役割を担う

べきであり、それが効率的に行えて

いるのか、他のオフィスと比べてどう

なのか、ということをリアルタイムで

データ分析しながら、情報を表示させ

ていくことが重要なのである。

この視点に気づかないうちは、膵臓

ネットワークを設計できないだろう。

 

なお、これを脳の担当社が行っては

ならないのだ。なぜか?というと、

脳は、思考したり、未来を予測したり、

話したり、文章を考えたりと、やること

が多数ある。いちいち60兆もの細胞

とリアルタイムで通信することに意識

を捕られていては、考えることすら出

来なくなる。そこで、膵臓がその代わり

に、60兆もの細胞とリアルタイムで、

通信する役割を担っているということだ。

脳は脳の役割があり、膵臓は膵臓の

役割があるということだ。

 

 

いかがであろうか。

これが、膵臓の役割の1つである。

決して、これだけではない。これは1つ

に過ぎない。それほど膵臓とはすごい

臓器であり、知られていないのだが、

人体を統括する臓器なのである。

次回は、エネルギーをどう管理して

いるのか?について記載したい。