臓器ネットワークについて④「骨・骨髄」 | 続・ティール組織 研究会のブログ

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ティール組織が話題になっているが、具現化するにはどうしたらよいか?
その研究を続けるにあたり、さらに次の形態である、続・ティール組織なるものまで視野に入れ、具体的な施策・行動内容を研究・支援する会。

先に、臓器ネットワークのヨコ連携

について記載してきた。今回も「骨」

の続きを記載したい。

 

以下、『臓器たちは語り合う』

丸山優二 NHK出版新書 より抜粋。

 

骨細胞などの「硬い骨の細胞たち」と、

造血幹細胞をはじめとする「骨髄の細

胞たち」は、メッセージ物質でコミュニ

ケーションしているということだ。硬い

骨と骨髄は、決して別々のものではな

く、骨という1つの臓器を構成している。

骨の内部にもネットワークがあると既

に述べたが、それは骨髄にいる細胞

たちも含めた、多種多様な細胞たちが

語り合うネットワークなのである。

人体は「ネットワークのネットワーク」

なのだ。骨以外の臓器の中にもネット

ワークは存在している。例えば、腎臓

の中には20種類以上の細胞が存在

するが、これらもメッセージ物質を使

って会話していることがわかってきて

いる。そして、こうした臓器内部の細胞

ネットワークは、直接他の臓器の細胞

とも連絡している。

 

つまり、臓器をリコー三愛グループの

各社に例えるなら、会社と会社にやり

取り関係があるだけでなく、各従業員

という個人レベルでも直接、コミュニケ

ーションしているということだ。人体の

中では、臓器同士のネットワーク、細

胞同士のネットワークが複雑に絡み

合っていて、しかも、整然と機能を続

けている。今の科学ではまだ全体像

が見えない、神秘の巨大ネットワーク

が、人体なのである!

 

 

造血幹細胞とは

血液細胞はすべて、造血幹細胞と呼

ばれる細胞に由来する。造血幹細胞

は、骨髄内に存在しており、そこで20 

回以上の細胞分裂を経て、赤血球、

白血球そして血小板へ成長していく。

この過程を造血と言う。 

 

すべての血液細胞は、造血幹細胞か

ら造られていく。造血幹細胞の特徴の

一つは、すべての血液細胞を造るこ

とができること、言い換えればすべて

の血液細胞に成ることができることだ。

これを多分化能と呼ぶ。

 

もうひとつの特徴は、まったく自分と同

じ性質をもった細胞を繰り返し造ること

ができることだ。

この能力を、自己複製能と呼ぶ。造血

幹細胞が自己複製能をもつことにより、

生涯にわたり血液を造り続けることが

できるというわけだ。

 

骨髄は骨のなかにある柔らかい組織

であり、ここで造血幹細胞から様々な

系統の血液細胞が造られていく。

血液細胞だけでなく、血液細胞の成熟

を手助けする骨髄間質細胞なども含ま

れている。骨髄は、主に体の中心部に

ある背骨(椎体骨)、胸骨あるいは骨盤

の骨(腸骨)に存在している。

最も重要な細胞だから、硬い骨に守ら

れた一番安全な場所にいるのである。

 

・メッセージ物質を利用する骨髄

移植の新方法
白血病は、骨髄の中で異常が起こり、

血球をうまく作れなくなる病気。治療

のための骨髄移植では、ドナーから

正常な骨髄の一部をもらう。骨に何

度も針を刺して吸い出す必要がある

ため、精神的肉体的な負担は小さい

とは言えない。

最近では、「末梢血幹細胞移植」。

ドナーは「G-CSF」という白血球を

増やす働きを持つメッセージ物質の

注射を数日間にわたって受ける。

すると、数日後、平常時は骨髄の中

にいる「造血幹細胞」が大量に血液

中に泳ぎ出てくる。これを成分献血

の要領で取り出せばドナー側の提

供は完了する。G-CSFの正式名称

は、「顆粒球コロニー形成刺激因子」

とよばれ、顆粒球を増やすメッセージ

物質である。

 

・ニッチについて
ドナーの骨に針を刺して骨髄を吸い

出した場合でも、受け取る患者側は、

「骨の中」ではなく、「血管の中」に入

れる。患者の血液中に入った造血

幹細胞は、いつの間にか骨に入って

いき、骨髄の中、本来いるべき場所

に定着して、せっせと血球を作り始

める。
胎児の時、造血幹細胞は大動脈の

周辺で生まれ、程なく肝臓に引っ越

ししてきて、血液を作り続ける。そし

て、いよいよ出産が近づき、外に出

るぞという頃になると、いそいそと骨

の中に移動してくる。骨の中で造血

幹細胞を呼び寄せている細胞たち

がいるのだ。

胎児の時あるいは骨髄移植の際に、

造血幹細胞が骨髄まで移動してくる

のは、そこにニッチが存在するから。

ニッチ、居心地がよい環境とは、

「造血細胞が、造血細胞のままでい

られる環境」。造血幹細胞は分裂を

繰り返し増殖し、赤血球や白血球に

分化していくが、分化せず造血細胞

のままで残ってくれる細胞がいない

と大変なことになる。骨の中の細胞

たちが作るニッチに、造血細胞の分

化を止めてくれる働きがあるのだ。

ニッチは、「君は君のままでいて」と

いうメッセージを出し続けていて、

これを受け取った一部の造血幹細

胞たちは分化せず、いつまでも造

血幹細胞のままでいてくれるという

仕組みになっているのだ!

 

 

このように、すべての細胞の中でも

最も大事な細胞といって良いのが、

この造血幹細胞である。

この細胞が1日に作り出す赤血球の

量は2000億個。赤血球は人体の中

で最も多い細胞であり、その数はお

よそ、30兆個。人体の全細胞は40

兆個なので、なんと7割が赤血球で

占められているということになる。

その赤血球を作りだしているのが、

造血幹細胞である。

 

この造血幹細胞が赤血球を作り出す

ことが出来なくなる病気が白血病で

あって、上記のような造血幹細胞の

移植という手術になるということだ。

造血幹細胞の99%が分化していき、

残り1%未満の造血幹細胞だけが、

分化せずに残っているというわけだ。

全ての造血幹細胞が分化してしまう

と大変だから、分化せずに残ってくれ

よと、周りの骨細胞たちがメッセージ

物質を出して、ニッチ環境を作り出し、

脊髄という最も硬い安全な場所での

骨髄の中に、居とどめるのである。

 

この骨・骨髄の臓器ネットワークの

例をリコー三愛グループで見てみる。

脊髄にあたるのが三愛石油であった。

この三愛石油の脊髄という役割は、

頸椎から仙骨、尾骨まで含めると、

かなり広範囲な支柱となって、生命体

全体を支えているのである。

 

その中心部の胸椎あたりの骨髄に、

造血幹細胞が居続けるというわけだ。

以前からT細胞こそが、市村氏の意志

を受け継ぐ三愛精神の源であり、生命

体を構成する全社に届けられている、

精神なのであった。

そのT細胞の大元が、造血幹細胞で

あって、脊髄の役割を担う三愛石油

に居続けるということになる。

 

それゆえ、誰よりも、それが三愛会や

リコーやリコージャパンよりも、他のど

の会社よりも、三愛石油が三愛精神

を全うし続けなければならないのだ。

すべての大元にならねばならないの

だから、大役を担っていると言える。

 

そして、硬い骨という役割と、骨髄と

いう役割は、合わせて1つの臓器な

のであった。よって、血液系である

内分泌系ネットワークを構築し、さら

には、リンパ系である免疫系ネットワ

ークをも構築しているという、極めて

重要な役割を担っているのが脊髄の

役割というわけだ。

脊髄で、赤血球や白血球が毎日休

むことなく膨大な数を作り続けてくれ

ているからこそ、生命体は成り立つ

のであって、ここが止まると、白血病

などの重篤な症状になるのである。

ある種、顔や脳の役割以上に、ティ

ール組織の要の存在と言えるのかも

しれない。

 

脊髄は、脳の役割と共になって、3大

ネットワークである内分泌系、免疫系、

神経系のネットワークを構築し、これら

のネットワークの運営は各担当社が

力を合わせて行っていくという構図に

なるのである。

 

これらのネットワークが生命体全身

で運用されて初めて、ティール組織

という生命体に成れるのである。

3大ネットワークについては詳細は

後ほど記載する。

 

 

いかがであろうか。人体という宇宙

は壮大であり、見事というほかない。

このような仕組みを研究し、会社と

いう生命体に当てはめることが出

来れば、最先端な組織になること

間違いない!