こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

9月も半ばとなり、北国NYは急激に秋の気配が濃厚になってくる…少し気温が高い日があっても、その暑さはもはや夏のそれではなく、明らかに秋のもの早くも街路樹は少しずつ色づき始めているではないか?!

そんな今の季節は、おそらく1年中でも数少ない、屋外撮影が苦にならない期間である…その前の夏は暑過ぎて熱中症の危険にさらされるし、この後冬になると途端に氷点下になって命の危険にさらされるからだ…

 

またTVシリーズでは季節を少し先取りするので、夏場に「秋の服装」というのは結構きつかったが、今の季節はそれもちょうど良い…むしろ朝方はかなり肌寒かったりするので、長袖ジャケットは返ってありがたかったりする…なので、その日の屋外撮影も、二つ返事で受けた…

 

しかもラッキーなことに、その日の撮影場所は私の住むエリア内…地下鉄で2駅で、歩いても20分くらいでいける距離である!…さらにラッキーなことに、コールタイムは午前10時過ぎとかなり遅い?!…これはひょっとしたら夜遅くなるかもしれないが、このエリアなら遅くなっても比較的安全なエリアだし、地下鉄からも近い…また実際、その朝も地下鉄がすぐに来たので、何と10分くらいでホールディングに着いてしまった?!

 

コールタイムの30分前…これはちょっと早過ぎたかな…と思ったが、ともかくホールディングに向かう…ホールディングは、教会の地下だったのだが、私は入り口から普通に入ってしまい、もう少しで礼拝中に乱入するところだった?!…そこがギリシャ正教の教会だったので、お祈りも一種独特で、どことなく中東っぽいところもあったので、一瞬立ち止まって聞き入っていたら、入口にいた人が呼び止めてくれたので、中に乱入せずにすんだが、危ないところだった…ホールディングへの入口は建物のサイドにある小さい方のドアだったのだ…

 

さすがにこんな早くに来る人おらんやろ?…と思ったら、結構人がいたのに驚いた…チェックインすると、PAさんが、「もし朝ごはんを食べたかったら、もうすぐクローズするからその前に行っていいよ。」と場所を教えてくれる…実はこの日は、我々のコールタイムはクルーのコールタイムよりもかなり遅かったので、朝ごはんは出ないとみなし、うちで食べてから来たのだが、そう言われると小腹が空いてきた様な気がしたので、急いで朝ごはんを取りに行く…

 

 

少しタンパク質を取らねば…と、ペッパーステーキに目玉焼き、それに好物のポップコーンポテト…さらにヨーグルトとフルーツももらったが、これはさすがに食べきれずに後で食べよう…と思ったら、結局時間がなくてお持ち帰り…

その内ほとんどの人達も到着し、その中に友人達もいたので、またもや待ち時間に退屈せずに済んだ…

 

その日は我々が来る前に、プリンシパルだけのシーンを撮影していたのだが、どうもそれが長引いているようで、しばらく待たされるBGの中には、この待ち時間が耐えられない…という人もいるのだが、正直のところ私はノープロブレムむしろ楽ができてラッキー!と思うような不届き者である…なので、その次のシーンの前に、PAが数人BGをピックアップするのに「セットに出たい人?」と希望者を募った時は、当然そのままサボりを決め込むつもりだった…中には本当に仕事がしたい人もいるだろうから、そういう人達に頑張って貰えば良いのだ…くらいの横着な気分でいたのだが、その時、向かいに座っていた私の友人が勢いよく手を挙げ、さらに私を指差して「彼女もやります!」と言う?!…おい、余計な事言うなや!…と思ったが、彼の「ね、やるよね?」とこちらを見つめる澄んだ目に負けて、私も小さく手を挙げる…が、それはPAに見えるか見えないかのぎりぎりの高さ…であったにも関わらず、PAには容赦なく見つかり、セットに行く羽目になる…まぁ、この為にギャラ貰っているのだから、仕事せなあかんわな…と、己の横着さを反省、やる気満々の友人の後に続いて渋々現場に向かった…

 

まぁ、この日呼ばれていたBGはそんなに多くなかったので、多かれ少なかれ全員使われることだろう…それなら早い方がいい…時間が遅くなると、南中高度も高くなって、日陰のないところを歩かねばならないから、それなら午前中の今のうちに働いておいた方がいい…と自分に言い聞かせる…

 

外に出ると、まだそんなに気温も上がっておらず、朝方曇っていた空も青空になり、日陰は空気もひんやりとして実に気持ちいい…これなら教会の地下より、外にいた方が気持ちがいい…と少しポジティブな気分になる…

 

その友人とまたペアを組まされ、日陰がスタート地点だったのも嬉しかったのだが、このシーンがまたべらぼうに長い?!…その日は通行人役だったので、ただ歩いていれば良かったのだが、シーンが長いのでかなりの距離を歩かされる事になった…しかも、「カット!」の声がかかり、リセットする度に、またその長い距離を元の場所まで戻らねばならない…まぁ、それが仕事だし、2回食べた朝ごはんの分を消化しよう…とひたすら歩いたが、カメラのフレームの都合で長い距離をひたすらまっすぐ歩かねばならなかったので逃げ場がない?!なるべくゆっくり歩いて戻る距離を少なくしよう…と姑息に試みたが、そんなことぐらいでどうこうなるものではない結局その日歩いた距離は1万歩を軽く超えていた

 

 

 

しかし、それはまだ苦労の序の口に過ぎなかった

 

(後編へ続く)

 

 

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