こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、ーオーディション、現場での様子、また独断によるツッコミ等をお届けしています。

 

それまで私のエネルギーの大半を吸い取っていたミュージカルの公演が無事終わり(過去記事参照)、少しゆっくりしようかなぁ~などとヘタレな事を考えていたのだが、現実はそんなに甘くない!…その翌日から、BG仕事が入っていた…もちろん「断固休む!」と強い意志を持っていれば、休みにできるのだが、私にそんな根性があるわけがない…それに実際「リハーサルがあるから」という言い訳で、仕事を断ってもいたので、これはそろそろ働かんとヤバイな…という状態でもあった…シアターのギャラはこれだけ多くの労力とエネルギーを費やすというのに、信じられないくらい安いのだ

 

なので、そのミュージカルの終演後も、若者達は打ち上げに飲みに行く…というのを、私は翌日のコールタイムが早い可能性があったので速攻で帰宅…まぁ、疲れ切ってもいたので、翌日がオフでも若者達に付き合えたかどうか怪しいものだが…

 

ありがたい事に、その翌日の撮影場所は何とうちの近所?!…それも徒歩5分の距離である!…これならたとえコールタイムが朝6時でも5時55分にうちを出れば間に合うではないか?!…いつも大体ホールディングまでの通勤時間に1時間かかる事を思うと、この1時間の差は大きい!…おまけに、やがて送られてきたコールタイムは、朝8時と楽勝である!…無茶苦茶ラッキー!

 

そこでその当日は15分前に家を出て、徒歩5分のホールディングに余裕で辿り着く…

その日の役は、ローカルカジノの客?!…ワードローブの注意事項に「ファッショナブルにならない事」とある…要するになるべくダサい格好で来い…という事なので、普通のカジュアル姿で行った…まぁ、これでも「ファッショナブルすぎる」場合は、何か貸してくれるだろう…と思ったら、ワードローブには「You’re perfect!(完璧です!)」と一発OK…は良かったが、これ私普段でも着てるんやけど…それが「パーフェクトにファッショナブルではない服装」のお墨付きをもらい、何とも複雑な思いを抱いた…

それでも、中々ワードローブにOKが出ない事もある過去記事参照)ので、それが早く終わったのはありがたい…おかげで朝ごはんを食べる時間も取れた…

 

今日はフレッシュジュースもあったので、その場でビーツのジュースを作って一気飲み…それにエッグマフィンがあったので、それにソーセージも追加しよう…と1枚取ったら、なんとすでにソーセージも挟んであった…結果的にダブルソーセージ・チーズ・エッグマフィンの誕生…コレステロールの事は、考えない事にしたい

 

 

その撮影場所は、結婚式や大掛かりなパーティに使われるホールで、控えのホールディングははその大広間…と、無駄に豪華である…

 

 

しかもそこはトイレの内装も豪華絢爛?!…ここはパウダールームと呼ばれる、化粧直し専門の場所で、実際のトイレはこの奥にある…

 

 

カジノのシーンだというから、さぞアジア人BGがいっぱいいるだろうな…と実は予想していた…アジア人、特に中国人のギャンブル好きは有名だからだ…ところが、この日のアジア人BGは何と男女2人だけ?!…その一人は私で、後はほとんど白人のオッサン達である…どうもそのカジノはスロットマシン程度のもので、おそらくアジア人のギャンブラーはポーカーやバカラなど、もっとハイステイクなギャンブルに行くのかもしれない…

そして当然のように、私はそのアジア人男性とペアを組まされたが、この白人BG達に囲まれて、我々アジア人カップルは明らかに場違い?!…これはカジノの常連…というより、どう考えてもうっかり紛れ込んだツーリストやな…と判断し、そのしょぼいカジノの入り口で豪華なシャンデリアをポカンと口を開けて眺める芝居…なんかを入れたりする…もっとも、本物のアジア人ツーリストなら即座にセルフィを撮りまくっている事だろうが、撮影現場でスマフォを出すのは御法度である…(もしスマホが必要な時は、小道具用のスマホが貸し出される

 

もっとも、その日のシーンは1シーンだけだったので、これは絶対ランチ前に終わるな…と予想できた…実際、その後にもう1つ別のシーンが、別のロケーションで行われる事になっており、時間的にもランチはそこで…という感じだったからだ…またその1つ目のシーンもそんなに長くも複雑でもなかったので、これはすぐ終わる!…とほぼ確信を持っていたのだが、どうもそうは問屋が下さなかった

 

一体何が問題で、何に時間を取っているのかわからないが、何度も同じ所を撮り直す…まぁ、同じことを何度もやるのはいつものことではあるが、それはカメラやレンズ、さらに方向を変えてオプションを得る為…というもので、同じショットで何テイクも…というのは実は珍しい…しかもそれが複雑なスタント等の動きのあるシーンだとか、エモーショナルな複雑なシーンとか言うならともかく、どうという事のないシーンである…それに何度もやり直す割には、そのやり直したものとその前との差も我々にはほとんどわからない…かと思ったら、初めてすぐに「カット!」と言われたりする?!…通常、始まってしばらくは我々BGが行き来し、その後にプリンシパル登場…というのがほとんどだが、そのプリンシパルが出る前に「カット!」がかかるという事は、BGの動きが気に入らんのか?!どこまでこだわる監督やねん?!

さらに、撮り終わった後も、通常なら良いテイクかどうか、割とすぐに判断されるのだが、その確認プロセスにもやたら時間がかかる?!…という無駄に待たされる時間がやたら長い…

 

まぁ、それでもそれは屋内撮影だったし、そんなに寒くも暑くもなかったので、別に文句を言う筋合いはない…それに微かにスモークの匂いがする?!…と思ったら、やはりスモークが焚かれている!…こう言う時には「Smoke Pay」というペナルティが支払われる…まぁ、些細な額ではあるが、それがモクモクに煙い時はともかく、この時のように微かに匂う程度なら、そんなにSmokeも気にならないから、ラッキーである!…もっとも、このスモークはこの後もっと盛大に焚かれるようになるのだが…

 

やがて撮影が進み、主役の俳優さんの近くに行く様になると、この撮影がやたら時間がかかる理由が判明した…実は彼が監督も兼任しており、その為撮影の後に一々ビデオを巻き直して、今撮った映像をチェックする必要があったからだ…それはそうだろう…彼自身がそのシーンの中にいるのだから…

そして、その監督は、自分の出番の前のBG達の動きのタイミングにもやたら細かい少しでもBGの出てくるタイミングが遅れると「カット!」となるのだが、そんなにBGのタイミングが大事なら、我々に十分なリハーサルの時間をくれれば良いのに…しかし、BGの為に時間を割くのは時間の無駄だとでも思っているのか、練習なしにいきなり撮るから、何度も撮り直し…となり、かえって時間が掛かるのだ

 

それでも撮影はランチ前に終了し、我々はあっさりWrap…そしてその5分後に私はうちでくつろぐ事が出来たのだから、やはりこの地元というのは大きい…ランチは食べられなかったが、通勤時間が短いとこんなに楽なものか…という事に改めて感動した…

 

 

★過去記事★