こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

撮影現場で思わず老化についてしみじみ考えさせられた過去記事参照)その同じ週に、今度は映画のBG仕事をした…

実は、その映画の仕事はこれが2度目だったりする(過去記事参照)…映画の場合、一度仕事した人が再び別の役で呼ばれる事は余り無いのだが、まぁ、前回私はずっと後ろを向いてヌードルを食べていただけなので、特に問題ない…という事なのかも知れない…

 

また前回はものすごく朝早いコールタイムだったが、今回は10時半と極楽である…もっとも早いコールタイムの人達もいるのだが、私はラッキーにも遅い組…その分朝ごはんは食べられないが、その分ゆっくり家で食べられるから、別にいいや…

 

ホールディングに着くと、その日も多くのアジア人のBG達が呼ばれていて、また同窓会状態…時間が来たのでワードローブのチェックに行く…その日私が着ていたのは、深いグリーンのトップにグレーのジャケット、それに濃いめのグレーのパンツ…絶対に目立ってはならないBGの「Mute tone(抑えた色調)の服装である…が、どうやらワードローブさんには、その地味な色合いが気に入らなかったのか、代わりに「これを着て」と渡されたのは、鮮やかな赤みがかったオレンジ色のジャケット?!…その下に着るのはやけど、ええんか?!…と思わず二度見していると、「対照的な色彩の方が効果的なのよ」と、ワードローブさんは言う…まぁ、そのジャケットは結構暖かかったので、そのまま素直に着たが、この色の組み合わせは何かを思い出させる…それが何なのか、すぐにはわからなかったが、やがて判明…これ、どう考えても「柿」やんか?!…それに気づいた瞬間、柿が食べたくてたまらなくなった

 

着替えも終わり、ラインナップの写真も撮って、あとはひたすら待つ…しかし一向にセットに呼ばれる兆しはない…そうこうする内に、ケータリングがランチの準備を始め、あっという間にランチの時間?!まだ働いてないんやけど…ホールディングで待っているだけでもお腹は空いたので、ランチは例によってテンコ盛り

 

ランチの後は、これでもういつ帰ってもいいわ…と思わず言いそうになる…まだ働いてないやろ?!…それでもランチの後、ようやくセットに呼ばれた…

 

そこで例の柿色のジャケットを着てセットに行くが、どう考えてもこの色、目立ちすぎやろ?!…これは多分使われないだろうな…と思っていたら、真っ先にピックされた?!…こんな目立つ色でもええんかい?!

もっともこの日も、カメラを背にして歩いて行き、ある時点でプリンシパルとすれ違う…と言うものだったので、顔は映っていないはず…と言う事は、また声がかかるかも?!

 

ところが、このすれ違うタイミングが問題で、最初セカンドADから「Actionの3秒後に歩き出して」と言われ、その後すぐに「やっぱりActionの後すぐに歩いて」に変わった…かと思ったら、その2分後に今度はファーストADから「Actionの2秒後に歩いて」と言わる?!…こんな風に、現場でいきなり色んな人から全く違う指示を出される事は決して珍しくない…覚えておかなければならない指示その都度アップデートする必要があるだけである…

 

そしていよいよ撮影に入る…一番最後の指示が「Actionの2秒後」だったので、そのようにすると、ADからは「タイミングはいい」と最初言われたが、その数分後に、「もう少し入り口の近くですれ違うようにして」と言われる?!…という事は、こちらで大体どのくらいのタイミングでプリンシパルがそこを通るか推測し、そこに同じタイミングですれ違えるように行かねばならない?!…それもぶっつけ本番で?!勘弁してくれ~と言いたくなる程ややこしいではないか?!

 

しかしそれも我々の仕事なので、やらねばならない…幸い私の歩き出しはカメラのフレーム外なので、最初から出口の方を見て、プリンシパルが外から入口のガラスドアを開けようとしたら即スタート…後はこちらの歩く速さを調節して、指定の場所ですれ違うようにする…

BG仕事でこんなにドキドキしたのは久しぶりだが、何とかぶっつけ本番で、指示通りのタイミングですれ違うことができた!と思う…が、それに関しては特に何も言われなかった…という事は、それで良かったのだろう…すれ違った後は、カメラはプリンシパルを追って移動するので、私はフレーム外…音を立てないようにだけ注意していればいい…

それだけの短いシーンだったが、一体何が問題なのか、何テイクも撮り直し、その度に我々も同じことを繰り返す…やっていくうちにタイミングも掴みやすくなり、毎回ピタリと同じところですれ違えるようになる…我ながら職人芸ではないか?!…とちょっと自己満

はっきり言って、映っているかどうかも定かではないが、この際そんな事はどうでも良くなる…やがてそのシーンが終わり、次のカメラの位置へ…

 

その後は、「念の為」とずっと待たされたものの、結局出番のないままWrap…しかし、その時間は8時間ギリギリ…という、BG達が一番嫌うパターン…というのも、8時間までは基本給だからだ…でもまぁ、もうさすがに二度とここの仕事をする事はないだろう…

 

…と思っていたら、いきなりキャスティングから、また別の日の打診?!…よっぽど働きたい人おらんのか?!…さすがにこれは近すぎるだろう?!…と思ったが、なぜかリリースされたという連絡がまだ来ない…

 

 

★過去記事★