こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子などをお届けしています。

 

訳あってこのところ映画を見まくっているので、それらの中から、私が個人的に心打たれた作品について、独断と偏見に基づいたテーマごとに、引き続き時々ここでご紹介したい。

 

もちろん、これまでも映画の中で「強い女達」は登場してきたし、マーベル作品でも「ワンダーウーマン」のような、女性のスーパーヒーロー達も登場し、ようやくヒーロー界にも男女同権?!…と言われてはいるものの、一般人の世界ではまだまだマイノリティ…これまでは、強い女達は存在したものの、中には色仕掛けも使って積極的に男達を利用する…というのも含め、土壇場ではやはり男達の力を借りて解決…というケースだったり、また女達だけでやる場合も2018年の「Widows」や「Ocean's Eight」のように、やはり数人のグループで組織的に…というケースだったりする場合が多いように思う…ところがようやく、男達には一切頼らず、自力で闘う一匹狼の一般人の女達も登場し始めた。

 

その1つが、こちらPromising Young Womanである。

 

 

 

 

これはクリスマスに公開されたもの…だが、実はクリスマス映画…というようなほんわかしたものとは程遠い…パーティやデートにおけるレイプをガチに扱った復讐劇…しかし一見スリラー風のテンポの良い展開に、どんどん引き込まれる…そしてその中で、まだまだレイプのケースではまず女性の方が責められ、特に犯人が白人の男性の場合、その男性を守る方に傾きがちな社会のシステムその中には女性達も含まれる)が、どんどん浮き彫りになる…この手の主人公は、下手したらサイコパスかモンスター…といった風になりがちだが、キャリー・マリガンの多層的な演技に、彼女の痛みが見るものにもよくわかり、できれば彼女にもなんとか幸せになってほしい…と思わずにいられなくなる…

 

もう1つは、以前別なテーマで少し触れた「I Care a Lot」過去記事参照)で、これも男達の暴力にさえ屈せず、1人で闘う女が登場する…もっとも、主演のロザムンド・パイクは、非常に上手い俳優で「強い女」を見事に演じているものの、それがモンスターに終わっているのが惜しい…ただ、この映画では、脇キャラを演じるベテランのダイアン・ウェイスト過去記事参照)とピーター・ディンクレイジ(「Game of Thrones」でお馴染み)が、素晴らしい仕事をしているので、この人達を見るだけでも十分この映画をみる価値はあるし、映画そのものもこれまた一気に見せる面白さである。

 

ただ、これらの2作品の闘う女達のやっている事は、いずれも犯罪スレスレ「I Care a Lot」に至っては、合法的だが倫理的には犯罪そのもので、そのせいかラストの後味はかなりビターなものである…その分、作品を見終わった後に、そのテーマや提示された問題が、観客の心に長く残り、深く考えさせられる…

それはまた、闘う女達の環境は、まだまだ甘くない…という事でもあるのかもしれない…

 

★過去記事★