こんにちは。NYで役者やってます、まみきむです。

 

前回のお話: 夢の落とし穴(1)

世界中から夢を持つ人達の集まるNY…しかしそこには、そういう夢見る人達を食い物にするプロの詐欺師達が、あちこちで網を張り、言葉巧みに犠牲者を絡め取ろうとする…そういう詐欺師達の見分け方(Red Flag)をいくつか紹介します。

 

事務所

さて、そういう偽タレント・エージェントから、街中やメールでスカウトされたり、あるいはネットで広告を見かけて応募してしまったりした場合、次の段階は「一度事務所の方に面接に来い。」という事になるだろう。逆に、メールでアプローチされた場合、もし一度も本人と会わずに、メールのやり取りだけで話を進めようとするようなら、それこそRed Flag、100%怪しいと思っていい。

 

その面接の場所だが、もしそのアドレスが一般のアパートなら、特に若い女性はなるべく一人で行かないようにするか、あるいは、誰かに頼んで、もし1時間以内にこちらから連絡がない場合は、こちらに電話してもらうか、場合によっては警察に連絡してもらう…などの安全対策が必要かもしれない。もっとも、これはあくまで最悪の場合を想定しているだけで、まぁ、そこまで悪質なケースは少ないと思いたいが、ここはNYである…もっとも、「ブティック・エージェンシー」と呼ばれる小さな本物のタレント・エージェンシーやマネージメント・カンパニーの中にも、個人のアパートを事務所にしている場合が少なくないので、それだけでは必ずしも怪しいわけではない。ただし、その場でもしアルコールなどの飲み物を勧められたら、これはRed Flag…その場合はそこで出されたものを絶対に口にしてはいけない。中に薬が入れられている場合もあるからだ。繰り返すが、ここはNYである。

 

また、事務所に来させるのではなく、スタバなどの公共の場で会う…というシチュエーションもRed Flagだ。まぁ、個人のアパートよりは安全かもしれないが、外で会うという事は、事務所や会社そのものが存在しない可能性があるからだ。もし本物のタレント・エージェントなら、仕事柄、事務所がないという事はありえない。なので、もし事務所がないようなら、それは間違いなくRed Flagである。

 

事務所がちゃんと存在し、そこに呼ばれた場合は、その事務所の状態もよく見た方がいい。

もしその事務所が、他の会社の事務所を間借りしているような場合は、これもRed Flagである…本当の事務所や会社は存在しないか、あるいは、独立した事務所も持てないくらいビジネスがうまく行っていない(つまり、タレントに仕事が取れていない)か、または、まだ始めたばかりで、ほとんどこの業界(キャスティング・ディレクター達)に知られていない…という可能性があるからだ。

 

さらに、独立した事務所が存在し、一応その業界では長くやっている…という場合も、その事務所の中の状態、特にタレントの情報管理をどのようにやっているかという事にも、注意が必要だ。例えば、もし机の上や棚の上に、ヘッドショット(宣材写真)がごちゃっと山積みになっているような状態なら、自分のヘッドショットもすぐにその山の中に埋もれて終わり…だと思った方がいい。ようするに新しいタレントを入れても、それを活用する気がないという証拠なので、これもRed Flagである。

 

さらに、そのタレントの情報が、デジタルで管理されているかどうかも重要だ。現在は、NYでもオーディションのサブミッション(応募)のほとんどはデジタル化されているので、もしそこのタレントの情報管理は、8x10のヘッドショットが入ったファイルだけ…という古風なやり方をキープしているなら、そこは、少なくともここ10年以上は、ほとんど機能していないと考えて、まず間違いはない…これもRed Flagである。

 

これらのRed Flagに気づいたら、その場で席を立って、速攻で帰った方がいい。曲がり間違っても、その相手にソーシャル・セキュリティ番号などを渡してはいけない。

 

では次に、契約に関するRed Flagを御紹介しよう…

 

(その3に続く)