私が、一週間に読んだ証券会社のレポートの中で一番面白かったものを
独断と偏見で選ぶコーナーです。
先週は
大和證券キャピタルマーケッツの大橋俊安チーフクレジットアナリストの
『外資系格付け利用再考の時では?』
です。
4ページの薄いレポートですが、疑問に思っていたことが全部載っています。
昔から国内事業会社の格付は外格(S&P、ムーディーズ)と国内のR&I、JCRの
差が大きな銘柄が結構ありました。
海運とか4ノッチとか5ノッチ差が開いているのもありました。
開いている会社は取り下げることが多く、
会社側も
「高い金を払って低い格付をつけられるのは気に入らない」
と思っていました。
しかし、ムーディーズは昨年の12月13日にリリースを発表し、
「今後はクロスボーダー及びグローバルに重要な発行体の格付とリサーチに注力する旨を表明」
それ以降、日本の事業会社はムーディーズの格付の取り下げが増えている。
レポートによると昨年12月13日より3ヶ月で26%の会社が格付けを取り下げています。
格付を取り下げた会社はA格とBBB格が半分ずつというところでしょうか?
日本板硝子の格付を2ノッチ下げた後、10日後に格付を取り下げました。
これって、板ガラスのほうが
「この格付はヤバイ」
と思って撤回したんじゃないかと思ってたんですけどw
格付を取り下げようとアクションを起こしたのは事業会社でも格付会社とか問題ではないのです。
このレポートに書いているように
「債券格付については投資家のために最後まで格付を全うして欲しい」
これは同意します。
取り下げてもいいですが、一回つけた債券格付けは
非依頼格付(勝手格付)で償還までつけておくのが格付会社の責任ではないかと思います。
話が長くなるので簡単に書きますが、
格付会社は事業会社と利用者の両方から金を徴収するというビジネスモデルはおかしいと思います。
できればどちらかからにしてもらえるとスッキリできるのですが。。。
事業会社から金を取ると低い格付を付けられると撤退されるリスクがあります。
逆に利用者だけから取ると格付会社の存在意義とも言われている経営陣との
ミーティングで非公開情報等を含めた情報が入らず、有価証券報告書ベースで
付与した格付となってしまいます。
なかなか難しい問題ですが、こういう話にスポットを当てた
レポートは好きなので今週のナンバーワンに選出させて頂きました。