リオ五輪を楽しむ「究極のハイテク観戦ガイド」 | ビジネス人間学

 五輪の標語は「より速く、より高く、より強く」だ。これに加え、今年の大会は「より鮮明に、より大きく、より近く」なるだろう。

 自宅で競技を観戦する人は、競泳女子のメリッサ・フランクリン選手が水しぶきを上げながら泳ぐ姿を超高精細「4K」テレビで驚くほど鮮明に見ることができる。これは今大会で初めて実現することだ。スマートフォンだけでも全競技の全試合、つまり4500時間におよぶリオ五輪のドラマをライブで楽しむことができる。さらに、仮想現実(VR)で飛び込み台にテレポートし、目と鼻の先で高飛び込み代表のデービッド・ボウディア選手がジャンプするのを見ることまでできるのだ。

 リオ五輪は5日に開幕するが、私たちにできることは自宅で特等席を確保するだけではない。テクノロジーの躍進のおかげで、リオデジャネイロにも存在しない座席まで確保できるようになったのだ。

 ホームエンターテインメント機材は急速に変化しているが、五輪大会はこれをリアルタイムでテストする多くの機会を提供する。過去数年間、私たちは「ウルトラHD 4K」や「HDR(ハイダイナミックレンジ)」対応テレビ、「スープドアップケーブル」「ストリーミング(逐次再生)ボックス」「VRヘッドセット」(装着すると間抜けに見える)など、格好良く聞こえるがすぐには役に立ってこなかった機材を買わされてきた。五輪に夢中になれる間は、これらすべての機材を有効活用することができるだろう。

 ケーブルテレビの契約者、ケーブルテレビをやめた人、仕事中にこっそり観戦したい人、写真動画共有アプリのスナップチャットで感動のハイライトを見たい人――今大会はさまざまな人のための五輪が用意されている。さらに、NBCは五輪をテーマにした絵文字キーボードまで作ってしまった。

 少し圧倒されそうな気もするが、ここでは五輪を最大限に堪能するのに必要な機材一式、アプリ、会員契約に関する「虎の巻」を紹介する。

・仕事中(あるいは休暇中)に観戦する

 五輪ファンなら即座にダウンロードすべきアプリの一つが「NBCスポーツ」(正式名は「NBCスポーツ・ライブ・エキストラ」)だ。このアプリは五輪のスポーツイベントとプライムタイム中継を、スマホやタブレット端末を通じて余すことなくライブストリーミング配信する。

 パソコンで観戦したければ、ウェブブラウザーで「NBCOlympics.com」を開いてみよう。(上司が歩き回っている時の対処方として、ウインドウズでは「ウインドウズキー+D」、マックでは「コマンドキー+M」を押せばウインドーを最小化できる)

・ケーブルテレビを介さない観戦方法

 ケーブルテレビの契約から解放されたのであれば五輪観戦は簡単でなくなるが、それでも可能だ。残念ながら、「ネットフリックス」や「HBOナウ」と異なり、NBCは「NBCスポーツ」アプリでストリーミング配信のみ利用できるサービスを販売していない。アプリにログインするにはケーブル契約が必要になるが、あなたが契約していなくても他の契約者から「借りる」ことができる。(ケーブルプロバイダーによっては1アカウントから同時にストリーミング配信を受けられる人数を制限しているところもある)

 このほか、8月だけストリーミング配信のみのテレビサービスを購入する方法もある。居住地によって異なるが、30ドルから40ドルを負担すれば、セットトップボックス「ロク(Roku)」、アマゾン・ドット・コムの「ファイアーTV(Fire TV)」、そしてもちろんプレイステーションでも、クラウドベースのテレビサービス「プレイステーション・ヴュー(PlayStation Vue)」を使うことができる。これにはNBCのケーブルチャンネルが入っており、ストリーミング配信アプリ「NBCスポーツ」にもアクセスできる。

・「ウルトラHD」テレビを持っている人は

 リオ五輪は旧式の高精細(HD)画質の4倍の解像度を誇る「ウルトラHD 4K」で視聴すべき、最初の特大イベントになるだろう。金メダルと銅メダルがほんのわずかな差で決まってしまうことが多い水泳といった競技では、重要な細部を見逃さないために超高解像度が生きてくる。4Kでは陸上のウサイン・ボルト選手の汗まで見ることができ、スタジアムで有名選手の顔を見分けることもできるだろう。

 4Kを視聴するには4Kテレビが必要だ。米国では昨年、600万台の4Kテレビが販売された。この数字は今年、倍増すると見込まれている。ただ、4Kテレビだけでは五輪競技を4K画質で視聴することができないかもしれない。米国で4K映像が視聴できるケーブル会社はコムキャスト、ディッシュ・ネットワーク、ディレクTVの3社だけだ。

 とてもクールな技術をもう一つ紹介しよう。意匠を凝らした新型テレビの中には、明るさ情報の幅を拡大させる高画質化技術「HDR」に対応したものがある。これは生きているような輝度(明るさ)の高低を使って色を表現する、欲しがるに値する技術だ。4KとHDRに対応するテレビを使えば、五輪大会を映す画面が現実とほぼ同じくらい明るく見えることが保証される。

・現場にテレポートしよう

 それほど長くVRを試したことがない人にとって、リオ五輪は絶好の機会になる。想像してみよう。3メートルの高さの飛び込み台から、10メートル高飛び込みの選手が一瞬で通り過ぎるのを見ることができるのだ。また、ボクシングの試合をリングのコーナーから観戦できるかもしれない。審判でさえ、そこまで近づくことはできないだろう。

 こうしたテレポーテーションに参加するには、韓国サムスン電子のスマホ「ギャラクシー」シリーズの最近のモデルとVR端末「ギアVR」が必要になる。ギャラクシーで「NBCスポーツ」アプリを開けば、スクリーンをVR向けに切り替えることができる。この映像を使えばイベントを360度見回すことができるので、回転椅子が欲しくなるかもしれない。ただ、全てのVR映像は1日遅れで利用できる運びだ。

・選手に密着したければ

 競技における最高の視点はアスリートの目線かもしれない。五輪の規定により、アスリートは競技場から動画を配信することができない。ただ、有名選手の多くはフェイスブックやツイッターなどを利用しているため、世界クラスのアスリートとはどういうものかを垣間見る機会はある。

 体操女子のシモーネ・バイルズ選手は、スナップチャットでフォロワーを選手村内部にいざなってくれる。男子競泳のライアン・ロクテ選手は最近、画像共有アプリのインスタグラムに「信頼するコーチ」とのミーティング風景を投稿した。

 このほか、NBCは五輪シリーズ枠を開設するため、コムキャストが出資する新興ネットニュースメディアのバズフィードとタッグを組んだ。

By GEOFFREY A. FOWLER