年々増える外国人居住者ですが、
人種の違いはただの見た目です。
もし、仮面舞踏会のようにマスクで顔を覆い、
翻訳機を通して話せる世の中が来るとすれば、
肌の色など関係無しに、友達になれるのでは?
判断基準の約八割は、視覚によるものです。
ですが、目は、時に偏見を持って判断します。
昔の人はよく言ったものですね。
「人は見かけによらぬもの」と。
入管理官に、人種的偏見を持つ人が多いのは、
ウソかマコトか、悲しい事実のようですね。
本来、それに反目する人がなるはずですが、
なぜか逆の心理が働くのが世間のようです。
アトランタでアメリカへの入国を果たした夜、
私はそれまでには経験したことのない嫌悪を、
入国管理官から感じることとなったのです。
Properな査証を持たなかった私にも非はあります。
しかし、その白人の管理官の言動は、
どう考えても納得できなかったのです。
査証に問題がある場合は、学校に問い合わせます。
夜中であったために、それは不可能でした。
入国記録にやましい部分はなく、
それだけでも拘束はできません。
所持品に怪しい物がある場合は、
大抵はその場で御用になります。
ですが、私の手荷物にそんな物はありません。
なぜか躍起になったその白人男性は、
今度はスーツケースに目を付けました。
スーツケースを開けて、中身を見せろと言うのです。
赤外線検査では「白」でした。
挙動不審なわけでもありません。
彼は、何か私を検挙したくて仕方が無いようでした。
スーツケースを開けると、中身が落ちないように、
ゴムバンドのストッパーが付けられていますよね。
それを外して内側を見せるのですが、
手が滑ってバンドが飛び開きました。
すると、それを見ていた管理官が言いました。
「もし、このバンドが私に当たったりしたら、
おまえはどうなるか分かっているのか?」と。
脅しとも聞こえるその言葉に、
内心ムカムカしていました。
白人男性がどこかに連絡に行っている間に、
黒人女性の管理官がいたので訊いてみました。
Does he always treat a visitor like that?
彼女から返ってきた言葉は、
Well, you'd be better behaved yourself.
でした。
どうやら、いつものことのようでした。
逆らっても損をするのは私でしかなく、
ここは少し大人になろうと考えた私は、
それからは従順に対応していました。
しかし、白人男性の追及はさらに厳しく、
何と、一時間以上も拘束されたのです。
物的証拠が見当たらないことに諦めたのか、
彼はようやく私を開放することにしました。
もし、イタチの最後っ屁と言うのがあるとすれば、
それはこのときの管理官の態度に違いありません。
彼は、私のパスポートを没収したのです。
帰り際に、シワシワの小さな紙を渡されました。
そこには、ある住所が書かれていました。
私が住む町の、Local immigration officeだったのです。
家に帰って次の日でした。
休みも返上で、事務所に出頭です。
ところが、待ち構えていたのは思わぬ結末でした。
通っていた大学が有名であったことと、
成績がちょっとばかり良かったことが、
自身の形勢を逆転してくれたようです。
(自慢してるんじゃないんですよ~)
むしろ、管理官の態度がどうだったのか、
精神的なダメージは無いかなどと訊かれ、
直ぐにパスポートを返してもらいました。
おそらく、私を追い込んだ管理官のほうが、
要らぬ審議を受けることになったようです。
他人に親切にすることに、間違いは無いようです。
これは、エピソードの極一部です。
まあ、入管とか、警察とかにはご縁があり、
色々な経験をさせてもらったものでしたね。
(悪いことをしたからではありませんよ)
また、機会があればお話します。
では、今日はこの辺りでお別れです。
ごきげんよう、さようなら。