皇室の名品 in 瀬戸 | (新)なごやん

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 昨日(7月17日)、不安定な天気という予報が外れ、晴天になったため、午前中にゆっくりと家を出て、名鉄瀬戸線で瀬戸市へ行きました。降車は終点の尾張瀬戸駅です。

 

 ここから上り坂を歩いて10分強の場所に「瀬戸市美術館」があります。

 

 今、開催されている企画展は、瀬戸市美術館開館40周年記念特別展「皇室の名品ー愛知ゆかりの珠玉の工芸ー」展で、宮内庁三の丸尚蔵館から、陶器等38点とこの美術館が所蔵する関連作品16点が展示されています。

 

 宮内庁三の丸尚蔵館へは設立されて間もない頃、一度行ったことがありますが、さすが皇室という作品に圧倒されたのを覚えています。

 

 今回の展覧会では瀬戸の陶器や七宝を中心に、上品な作品がたくさん集められていました。もちろん、もともと皇室にある美術品は、さすがお目が高いというものばかりですが。

 その中でも、私は特に旧秩父宮家や旧高松宮家が所有していた作品に共感しました。加藤土師萌の「孔雀緑鳥文鉢」や「陶板狐」、などです。

 (下図はリーフレットの写真にボカシを入れたものです。)

 

 展示点数は少ないのですが、どの作品の図案も細やかで、壺などは四方から見ないといけませんから、結構時間がかかりました。

 

 この美術館では、現在、アンケートに答えると、今の時期らしく、記念にマスクケースをいただけます。図案は川本礫亭の七宝「青華花鳥文花瓶」の文様展開図です。

 

 この美術館を出た後、駅近くの喫茶店で遅めの昼食を摂りました。「焼きそば」です。

 

 瀬戸は将棋の藤井聡太棋聖の住む街、そして瀬戸自体が「将棋の街」として売り出し中です。焼きそば用の皿と箸置きが、まさに将棋の駒でした。

 

 その後、商店街を歩き、「瀬戸ノベルティ倶楽部」へ立ち寄りました。

 鎌倉時代から続くノベルティ*生産は、特に第二次世界大戦後に米国、ヨーロッパへ進出し、昭和の時代に「瀬戸ノベルティー」として花開き、当時、瀬戸の焼き物の最大の出荷額でしたが、近年衰退の一途をたどっていて、今や瀕死の状態です。

 その瀬戸ノベルティーを守ろうという「瀬戸ノベルティ文化保存研究会」によって、この倶楽部は運営されています。

 第二次世界大戦後、米国占領下にあった一時期に製造された「Made in occupied Japan」と刻まれた作品など、貴重だと思います。

 

 一部の作品は販売もしていて、その収益はノベルティ文化の保存活動に使われるそうで、私も気に入った作品がいくつかあったのですが、「今から新しいものを買ってどうする?今持っているものだけでも処理に困っているのに。」と思い、見るだけにして帰りました。

 

【註】*ノベルティ:いつの頃か日本では企業等が製品の記念品に使うアイテムを言うようになってしまいましたが、そもそもノベルティ(名詞:novelty)はラテン語のnovum(形容詞)に源を発し、フランス語nouveau(形容詞)、nouveauté、novelté(名詞)を経て後期中世英語に入った言葉で、文字通り新しいもの、変わったもの、奇妙なもの等を意味します。形容詞はnovelでnewとほぼ同じ意味です。

 ヨーロッパでは古くから棚や食卓、暖炉の上などにちょっとした飾り物を置く習慣があり、特に新大陸の米国ではその文化を持ち込んだヨーロッパ出身の上流階級の人たちを中心に人や動物、擬人化された動物、物語などを形どった置物がノベルティとして広がりました。いわば、おしゃれな置物です。その中で、繊細に仕上げられた「Seto novelties」はその優良さから確固たる地位を築いたのです。

[参考資料]

 McLeod WT ed: The New Concise Dictionary of the English Laguage. 1982, Collins, London & Glasgow, UK,  p.770

 Chantrell G: Oxford Dictionary of Word Histories. 2001, Oxford University Press, UK, p.346

 

 瀬戸市美術館の「皇室の名品」展は7月31日までの開催です。

 

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