地下鉄駅構内の掲示板には、様々な広告に混じり美術館の案内が貼ってあります。このうちのひとつに行ってきました。
<名古屋市営地下鉄掲示板>
場所は名古屋の隣り、日本で最も若い(住民の平均年齢)市、長久手市にある名都美術館です。私がよく行く美術館で、これまでもたびたびブログ記事にしてきました。
今回の企画は「色のいろいろ」+「小山硬~潜伏キリシタンを描く」です。
<本企画のリーフレットと入館券>
色のいろいろはこの美術館の所蔵絵画から「色」という視点で日本画材に迫ったものです。
そして小山硬展は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されたことを記念して開かれました。
伊藤深水、片岡球子、田渕俊夫、東山魁夷、前田青邨といったそうそうたるメンバーです。熊本生れですが、現在は愛知県日進市に住んでおられる小山硬さんのこのコーナーでの作品は「飛翔」です。北海道の広大な空にはばたく鶴を描いた作品です。
平山郁夫の作品も3点ありました。
<平山郁夫「永平寺の森」>
この展覧会が始まってから亡くなられた堀文子の作品は「紫の雨」と「赤い花を尋ねて」の2点が展示されていました。
小山硬に大きな影響を与えたとされる新潟県西蒲原郡吉田町(現 燕市)出身の横山操の「朱富士」は展示作品の中でもひときわ目立っていました。
<横山操「朱富士」>
小山硬さんのコーナーでは、彼の作品の中から九州、特に天草地方の潜伏キリシタンを描いた作品が16点展示されていました。
また、私が行った日には小山さんご本人による「アーティストトーク」がありました。
小山さんはいくつかの作品について、その背景等を語ってくださいました。
<小山硬「天草(礼拝)」>
最前列で礼拝するご本人と後方の母親をイメージした「天草(崎津教会)」は、ご自身が潜伏キリシタンの子孫であることを知ってから描かれたそうです。
<小山硬「天草(崎津教会)」>
大作「廿六聖人殉教図」に書かれた古いポルトガル語「LOVVAD SEIA O SÃCTISSIM SACRAMENTO(Louvad seja o sanctissima sacramento)(いとも尊き聖体の秘研蹟ほめ尊まれ給え)」が印象的です。
<小山硬「廿六聖人殉教図」>
この絵から私は長崎にある舟越保武によって創作された「日本二十六聖人記念碑」を思い出しました。二十六聖人というのは1597年2月5日に豊臣秀吉によって処刑された26名のカトリック教徒のことです。
<舟越保武「日本二十六聖人記念碑」>
私が特に印象付けられたのはこの絵です。私自身は特に信じている宗教を持っていないのですが、信者にだけ見えるマリア像をを描いたこの絵は、迫害を受ける悲惨な状況の中で救いを求める信者の心情を生々しく表していると思いました。
<小山硬「雲仙(マリア出現)」>
ミュージアムショップにあったこの画集は昨年の展覧会に際に発行されたものですが、購入し、アーティストトークの後、中表紙に小山さんにサインをしていただきました。
<小山硬-画業60年の軌跡をたどる->
この展覧会は3月17日まで開催されています。
3月10日にはこの美術館の学芸員(多分、跡部祐子さん)によるギャラリートークが予定されています。
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