『鎌倉殿の十三人』~後追いコラム その85 | nettyzeroのブログ

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『鎌倉殿の13人』~後追いコラム その85

第20回 帰ってきた義経

今回は、武蔵坊弁慶(佳久創)の最期について。

 

鎌倉殿の13人」注目の弁慶は元ラガーマン佳久創!大河ドラマ初出演“源義経”菅田将暉の忠臣― スポニチ Sponichi Annex 芸能

 

 いやぁ~神回でしたね。涙が出ましたが、その中でも弁慶が最後の戦いに向かう場面は笑えました。誰もが知っている弁慶の最期の舞台裏が描かれてましたね。身体中に木板を使った『木板帷子(かたびら)』を身に纏っていたとは。ドラゴンクエストのアイテム『鎖帷子』を思い出してしまった(笑)

 

画像・写真 | 【鎌倉殿の13人】奥州へ逃れた義経… 頼朝が非情命令「生かして連れて帰るな」第20回「帰ってきた義経」見どころ 9枚目 |  ORICON NEWS

 

 『義経記(ぎけいき)』と言う室町時代初期に書かれた軍記物(ぐんきもの:戦を題材に書かれた読み物)がある。義経とその主従たちを描いたものだ。ちなみに、「よしつねき」ではなく、音読みで「ぎけいき」と言うのは、歴史的偉人などを扱う場合、本来の読み方ではなく、音読みでその人物に対して敬意を表している。「よしつね」と言っては、恐れ多いと言うこと。信長の一代記『信長公記』も「しんちょうこうき」と読む。

 

 閑話休題。

 

 『義経記』「衣河合戦の事」に、最後の戦いに挑む弁慶の装束が描かれている。(原文で)

 弁慶その日の装束には黒革威(藍で濃く染めた黒革威(おどし:鉄や革で作った小板(札:さね)を繋げたもの)の鎧の裾金物(胴から下にスカートのようになっている草摺(くさずり)の裾についている金物)平く打ちたるに、黄なる蝶を二つ三つ打ちたりけるを着て、大薙刀の真ん中握り、打板(廊下と廊下の間に橋のように渡した板)の上に立ちけり。

 

 原文に注釈をつけたら、ちょっと読みにくくなってしまったが、いわゆる僧兵の格好(上の弁慶の写真参照)。それが今話では、木製のロボットみたいな帷子の上に、白袈裟で頭を包み、黒の素絹(そけん:法衣)を纏っていた。弁慶の最期は、無数の矢を受けて、蜂の巣状態になって立ったまま絶命する形で描かれることが多い。今話では、義経が、その奮戦場面を持仏堂から覗きながら実況中継するだけだった。ある意味、ナレ死。なので、『義経記』に記された弁慶の最期をいつものチョー適当な口語訳で紹介する。

 

 弁慶は血が出れば出るほど奮い立って、人を人とも思わず、前に流れ出た血は鎧が揺れる度に、鮮血となってほとばしったので、敵は「こいつは何かに取り憑かれたように暴れるので、母衣(ほろ:鎧の背につけて流れ矢を防ぐもの)をつけてるんじゃないか」と言い合った。「あんな不敵な奴に近寄らない方が良い」と言って、近寄らなかった。弁慶は戦に慣れていたので、倒れそうになると起き上がり、河原を走り回り、正面から戦うものはいなかった。(中略)

 

 寄せ手は「敵も味方も討ち死にしたが、弁慶だけがあんなに暴れ回って、死んでいないのは不思議なことだ。どうか鎮守大明神よ、ここに立ち寄って弁慶を蹴殺してくれ。」と呪ったが叶わなかった。弁慶は敵を追い払い、薙刀を杖のように逆さまについて仁王立ちしていた。まるで力士のように。口には笑みを浮かべていたので、「あれを見ろ。あの法師(弁慶)は我らを討とうとここを守っているが、笑っているのはどう言うことか。迂闊に近づいて討たれるなよ。」と言って弁慶に近づく者はいなかった。

 

 ある者は、「剛の者は立ちながら死ぬことがあるという。近寄って見よ。」と言ったが、「私が」という者はいなかった。ある武者が騎馬で近づいていくと、弁慶はすでに死んでいたので、馬に当たって倒れた。弁慶は薙刀を強く握っていたので、倒れざまに薙刀の先が前に振り出すように見えたので、「また暴れ出すぞ」と言って、皆急いで逃げた。しかし弁慶は、倒れたまま動かなかった。(弁慶が死んでいるのがわかったので)その時になって、我も我もと弁慶に近づいたが、これは身の程をわきまえていないというほかない。立ち死にしつつも睨みを利かせていたのは、君(義経)の自害のため、人を寄せずに守るためと思われ、人々(周りの者ども)は、ますます弁慶を誉めたのでした。

 

余談で、大河ドラマでの歴代弁慶を紹介します。

第4回 源義経 | 軍師官兵衛-NHK大河ドラマ-プラットホーム

(初代 緒形拳の弁慶:『源義経』1966)

(二代目 佐藤充の弁慶:『新平家物語』1972)

炎立つ」再見(後)~継子ものがたり: タコ部屋から

(三代目 時任三郎の弁慶:『炎(ほむら)立つ』1993)

滝沢秀明主演】大河ドラマ「義経」2017年11月よりCS初放送スタート! | 歴人マガジン

(四代目 松平健の弁慶:『義経』2005:凄過ぎ!)

青木崇高 | NHK人物録 | NHKアーカイブス

(五代目 青木崇高の弁慶:『平清盛』2012:これもなかなか強烈)

※二代目の最期の写真は見つからず。現六代目の最期の場面は劇中になし。ナレ死)

 

 『義経記』は読み物なので、これが史実だと思わないでくださいね。次回は、義経の最期について書きます。