【山本直人氏インタビュー④:成熟期のマーケティングはどうあるべきか?】 | CAネットトレンド研究室ブログ

【山本直人氏インタビュー④:成熟期のマーケティングはどうあるべきか?】

ネットトレンド研究室インタビュー第3弾。

今回は山本直人氏にインタビューしました。
今回が、最終回になります。


山本直人氏については、下記URLをご参照下さいませ。
naoto_yamamoto:自己紹介およびこれまでの経歴について


Q 成熟期のマーケティングはどうあるべきなんでしょうか?

多分、ひとつのヒントは小売で販売力のある業態にあるのでは
ないかと思います。

単に高いブランド商品は既に皆が持ってるから、
そうではない付加価値の生み出し方です。
対話を楽しむというような購買する過程も楽しむものです。

ホテル、レストラン、百貨店にはヒントが落ちているんじゃないかと
思っていたりします。

Q インターネットの例でいうとホスピタリティがあって、
それがmixiとかで広がったり、そういうものが必要ということでしょうか?
自然に広がっていくものでしょうか?

CGMみたいなところでは、ホスピタリティ体験のシェアみたいな
ものは効くでしょうね。
リピーターを捕まえなきゃいけないというのに必死な会社が
今多いんですよ。

マス広告を重視していた会社はリピーターに対する意識が希薄なところが
見受けられる場合があります。
「広告を実施して、売上がいくら」という四半期単位の発想によってしまっている。

ある会社がパック通販の健康食品をされているんです。
ダイエットに有効なとある自然成分が入っている製品なんですが。

そこの会社はパッケージのデザインや写真にこだわっていて、
結局開けた時の満足度とか、そういうものを重視しているようです。

どうやって一度つかまえたお客さんとのやりとりを続けるか、
という考え方です。

そういう意味でいうと、販売を他人に任せてしまっている業種は「売るまで」に注力する思考パターンから抜け出せないですよね。
日用品はスーパーやドラッグストアだし、自動車はディーラーですし。
マンションも結局は売りっぱなしですよね。

テレビはそういう意味で、普及期の限定的方法だったのかも知れないですね。

Q そういった時代になってくると、必要なスキルはどのようなものですか?

これは実際に成績優秀なセールスマンにインタビューをしたことがあります。
それでわかったのですが、正規分布の偏差値でいうと60近辺の優秀さの人達は、
情報力が優れているんです。

お客様のニーズに合わせた情報検索に徹底的に対応できるんですね。
だから「そのニーズだったら他社の方がいいですよ。」とまで勧めることができる。

ところが、上位2.5%くらいの超優秀な人達は、商品知識が全くないんです。
その代わりホスピタリティがずば抜けてあるんですね。人として、好かれるタイプ。

研修のためのインタビューだったのですが、2.5%の人達のように
社員を教育しようというのはあきらめました(笑

人間性を教えるのはとても難しいので。

だから後天的に身に着けるのであれば、偏差値60近辺の
徹底した情報検索性だと思います。

Q そういう意味でいうと、例えばリコメンドエンジンみたいなものよりも
 人の手でそういう能力を磨いたほうがいい?

付加価値を高めるならば、その方がいいでしょう。高価なものほど、匿名によるリコメンドは効果に限界が来るかもしれません。
そういえばアマゾンの例でいくと、アマゾンで私の本が勧められたりするんですよ。
「山本直人さんにオススメの本があります。」っていって(笑

Q これからどういう風になっていくのでしょうか?

いいものを作って誠実にやっている人が得をするという流れでしょうね。
便乗して者を売ってた人、尻馬に乗っていた人はつらくなっていくと思う。
その時、広告会社がどうだったか分かりますよね。

今考えるとマスコミュニケーションが特殊だったんですよ。
コミュニケーションはもともと双方向のものですよね。
それが一方的に言いたいことを言うマスコミュニケーションが出てきただけで。

それが、インターネットで普通に戻ったということなのではないかと
思います。

ま、自ら考えて、知恵を使う者にとってはいい時代なのではないでしょうか。


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