【山本直人氏インタビュー③ 電博決算を読む】 | CAネットトレンド研究室ブログ

【山本直人氏インタビュー③ 電博決算を読む】

ネットトレンド研究室インタビュー第3弾。

今回は山本直人氏にインタビューしました。
全4回に分けてマーケティングについてのお話をお伺いしました。


山本直人氏については、下記URLをご参照下さいませ。
naoto_yamamoto:自己紹介およびこれまでの経歴について


Q 電通と博報堂の決算が発表されましたが、いかがご覧になられましたか?


全体で広告費は微増、電通が連結で6.7%伸びて博報堂が2.0%減少だったので
「明暗くっきり」というような論調もあるようです。

しかしながら、これはもう少し深堀できるのでは無いかと思います。

電通は確かに連結で6.7%売り上げを伸ばしましたが、広告会社である
電通単体の売上を見ると実は1.6%しか伸びていません。

電通の粗利率も同様で連結の粗利率は16.6%、
でも単体は13.5%なんです。

ということは、電通は本体より収益性の高いものをグループに
取り込んでいるんですよね。

これを見ても分かるんですけど、広告ビジネスの形が変化して
いっているんでしょうね。その中で電通は何かしらを見つけて
それに向けて変わろうとしているのかもしれません。

Q どういう変化をするべきか、仮説をお持ちですか?

引き算の商売をやめた方がいいというか。

広告のマーケットは6兆円くらいと言われていますけど、
7割くらいがメディア費なんですよね。
ということはこれはメディアの媒体費の時価総額みたいなものなんですよ。

広告会社を外から見ても付加価値という概念がないですよね。
仕入れて売って、引き算でいくらというやり方で。

広告会社が生み出している付加価値の部分はごくわずかという
ことになりますよね。

90年代、改革の変化の遅さからtoo litte,too lateと金融は
揶揄されていましたが、今の広告会社もそうでは無いかと思います。

話は少し変わるのですが、電通はゼネコンに近いですよね。

昨年不調だった原因をついても、「ワールドカップや万博があったが、選挙もモーターショーもなかった」と書いてあるんです。
税金を含めた、公的なお金が流れてこないとプラスに転じない仕組みです。

また、構造的にメディアを押さえてそれを売っているわけですから
抱えているマスメディアが不良債権化する可能性はありますよね。

売るに売れないところが残ってしまうというような。
しかも、競合には渡せないから手放せない。
暴落が起こるともっと大きな変化が起こるのでは無いかと思います。

ゼネコンのコンはコントラクター(契約者)のコンなんですよね。
だから、クリエイティブもメディアも一括で契約して下流に仕事を
渡すという意味では電通はゼネコンですよね。

いい悪いありますけど、やっぱり機動性は低いと思います。

*電博決算については、山本直人氏のブログにさらに詳細な
分析が掲載されています。

 naoto_yamamoto : blog

【関連】

【山本直人氏 インタビュー①:マス広告が不調な理由】|CAネットトレンド研究室ブログ
 


【山本直人氏 インタビュー②:マス広告が不調な理由 後編】|CAネットトレンド研究室ブ

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