前回の記事は、こちら─、
『 スタイルは破られるためにある!』
スタイルのすべてを破壊してしまうのは、
単なる破壊であり、決して創造的行為ではない。
そして─、
スタイルは、それに影響を受けた側と共有される。
スタイルは、微妙に破られるべきである。
確立されたスタイルから、
ほんの少しだけ離れたところに、
新しい「 何か 」は存在するはずである。
そして─、
スタイルを少しだけ破るためには、
まずは、スタイルを確立しなければならない。
どこからどこまでが確立された、
スタイルなのかを、
まずは、はっきりと認識する必要がある。
僭越ながら私は─、
コード進行から、様々なスタイルの伴奏を、
アレンジするソフトウェアなども開発しているが、
このようなソフトウェアを開発すると、
「 このソフトウェアは ○○ の場合にはうまく動かない 」
という反例攻撃にあうことがある。
もちろん─、
すべての場合に当てはまるように形式化することなど、
到底、無理であるということは百も承知である。
このようなソフトウェアを開発することは、まさに、
スタイルを明文化し、境界を定める作業にほかならない。
ソフトウェアを開発すれば、
そのソフトウェアが扱える範囲が、はっきり決まる。
そして─、
この場合、「 新しい音楽 」とは、
そのソフトウェアでは扱えないところにあるということだ。
【 参考文献 】
『 bit 別冊 コンピュータと音楽 』