イソジン吉村のサラ金地獄弁護 | 労人社のブログ

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戦中日記(続労人社だより)220105号

「イソジン吉村のサラ金地獄弁護」

😄いま宮部みゆきの「火車」をイソジン吉村の顔を思い浮かべながら読み終わった。多作で知られる女史の作品の中で、読者ランキングの上位に上がる傑作。山本周五郎賞の受賞作であり、佐々木希主演でドラマ化もされており、中身は多くの人がご存知かと思う。

😴親がマイホームの借入を返済できず、サラ金等から借入れを重ね、多重債務の暴力的取りたてに耐えきれず一家離散、夜逃げをする。それでも、暴力金融のネットをフル稼働し、居どころを探し出される。主人公の彰子は風俗で働くことを強要され、生命を脅かされる。

💤この小説の特徴は、最後まで犯人が登場しないこと。彰子(犯人)はサラ金から逃れるため、単に生き延びるために、他人の戸籍を盗み、別人格・ステルス人物として生きることを望み、殺人を犯す。宮部は「最後の一行に犯人が出てくる」小説を構想したが、同時に、彰子が社会的犠牲者であることを、このステルス性に込めた。

😱火車が発表された1992年、バブルが崩壊し、行き場を失った資本が消費者金融等を舞台に、不法行為におよび、サラ金による暴力的取立ては社会問題となっていた。01年には、男が知人の一家心中を逆恨みし、サラ金大手の武富士支店を放火、従業員を殺害する事件を起こしており、サラ金とその背後の都市銀行の「暴力融資」と「高利・取立て」が社会的批判を受けていた。

😱そこに登場するのがイソジン吉村。社会、マスコミの指弾を受けて業界1の荒稼ぎの座が脅かされた武富士が、記者宅に盗聴器を仕掛けたり、スタップ訴訟を仕掛けたときの顧問弁護士が若きイソジンであった。武富士の倒産が数兆円もの過払い金の返還請求に耐えられないこと。つまりは不法な高金利を暴力的な取立てで、資本蓄積を続けた咎であった。イソジンはこの企業の正義を弁じて、弁護士報酬をせしめた。

😇訴訟は武富士の敗訴。自ら訴えを取り下げた。その際、イソジン吉村は自らは弁護士の業務として、訴え人の最大利益を図っただけ。粛々と金を稼ぐための弁護士業務を行ったと語る。ここには彰子をステルスと捉えて、サラ金地獄にあがく多くの庶民の現状を憂い、一緒の時代を生きる意志は微塵もない。

💢何でこんな輩が政治を志すことができるのか?イソジン吉村の心象は、サラ金地獄は「自分とは関係ない」、「暴力団から借りたりせず、自分で稼げよ」となる。他人に寄り添う気持ちなどさらさらない。なら、どうして政治家になろうとした?自分のため、金儲けのため?だろう。

💦お坊ちゃん菅のヒトラー発言がえらく気に入らないご様子だが、維新の会は紛れもないファシスト集団である。党是の「今だけ金だけ自分だけ」は新自由主義を座右の銘とする政治屋に共通している。この平成令和の新帝国主義は、資本蓄積が停滞した時期の国家形態である。第二次大戦時にナチス、皇国の形態が、今は維新、希望、自公が目指す坂の上の雲と同質のものだ。

😩でも、維新の会の指導層の人格、品格の劣化が著しい。ニンゲンのかす官房長官(元総理)の自助共助公助と共鳴する、(他者との共生)が欠落している。イソジン同様、ハシモトは組織売春の助言者で性差別主義者であり、不味いは笹川に若き日の悪行を揉み消してもらい、恬として恥じない。多様な異論を呑み込んで何かをなそうとする政治思考はない。政治手段がナチスを模倣せざるを得なくなって当たり前なのだ。

✋維新の会は間違いなくファシスト集団である。経済活動が、資本蓄積が停滞した局面で一時的に誕生する政治的寄生虫、またはウイルスである。ただ、問題はコロナ禍のもと、庶民の中にファシズム、全体主義を容認する空気が増していることだ。彰子に、「マイホームなど買わず金など借りずに自分で稼げばよかった」と言える自粛警察官が増えている、ようだ。