涙の海鮮丼 | MIYUKI&KAMIOのつぶやきと陶芸のブログ

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陶芸家の夫である尾形香三夫は、2022年に他界しましたが、タイトルをそのままにして、今後も夫婦の思い出を交えて、書いていきたいと思います。

           写真:札幌の場外市場より

 

Miyuki です。

年末の忙しい時に書くような内容ではない事は良くわかっているのですが、食いしん坊の私としては、記憶に残るワンシーンなので、書き留める事にしました。

 

札幌で夫が個展を開催していた時のこと。

札幌市内のビジネスホテルは、コロナ禍で閑古鳥が鳴いている状態で、軒並みに宿泊料金が半額が当たり前のようになっていました。

 

ふっと何気にネットで、

 

「○○ホテル、海鮮丼(感染丼ではありません)食べ放題の、満足度1位の朝食付き!!」

 

というキャッチコピーが目に飛び込んできました。

 

毎年のようにテレビで、「朝食満足度1位」ということで、海鮮丼の朝食で有名な函館の某ホテルが紹介されます。

 

あの映像が、頭をよぎりました。
札幌市内のビジネスホテルで、「海鮮丼食べ放題」・・

 

函館の温泉ホテルと札幌のビジネスホテルが、海鮮丼という一つのキーワードで結びついてしまったのです。

 

という事で、個展開催中にここに泊まってみるか・・という運びになりました。

 

頭の中を、あの海鮮丼・・・海老やホタテ、マグロ、イクラなどが溢れんばかりに盛り付けられているあの海鮮丼が、クルクルと回っていました。

 

夕食は付いていなかったので、ホテルの外で食べましたが、その時も私は、

 

「明日の朝食が勝負だから、夜は軽めにしていた方がいいよ、海鮮丼を、お代わりしなくちゃいけないし・・」

 

と夫に注意をする始末。

 

そしていよいよ朝食の会場へ。

 

さすが海鮮丼食べ放題だけあって、列が出来ていて、待たされました!

 

待たされれば待たされるほど、人間というものは、期待と欲望に胸が膨らんでいくものです。

 

「2名でお待ちの尾形様」

 

さあ、いよいよです、いよいよ本番です!

 

会場に入るなり、すかさずバイキングのテーブルに目を凝らしました。

私の眼は完全に血走っていたはずです。

まばたきも忘れて、海鮮丼を探す私!

 

無い、無いではないか!

 

冷静さを保たなければ・・見落としてしまっているのか?・・

 

そんな思いを抱いていた私の横に、スルスルと夫が寄ってきて

 

「ねぇ、海鮮丼はどこ?見当たらないんだけど・・」

 

「ちょ、ちょっと待って・・私も探しているんだけど・・」

 

そうこうしているうちに、夫が

 

「これかも」

と指さす・・・ その方向を見ると、

 

小さな紙のカップに、申し訳程度のイカ、マグロ、甘えび、数が数えられそうなほどの「イクラ」が、置かれていました。

 

目がテン

 

しばしその光景から目が離せませんでした。

 

海鮮丼、食べ放題

 

そのキャッチコピーが、ガラガラと音を立てて崩れていきました。

 

嘘はない、確かに勝手にご飯の上にそれらを盛ったら、海鮮丼!

しかも何杯お代わりをしても文句は言われない・・・

 

自分で盛り付けるのは、それはいいとしても、

 

これが海の幸の宝庫である北海道がしていい事なのか?と思わず言ってしまいたくなるような、惨めさが漂う海鮮たち・・・

 

 

ああ、宿泊料金と、キャッチコピーに目のくらんだ私が悪いのか?

 

涙の、なみだの「カイセンドーン!」