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2011年10月6日、Steve Jobsが亡くなった。ネット上にはかれに関するものすごい数のブログやニュース記事、つぶやきが溢れたが、その中でも何度も参照されたのは、2005年のスタンフォード大学において行われたこの講演だろう。
今更わたしが引用するまでもないだろうが、たぶん多くの人の心をうったのはこの部分かなと思う。
When I was 17, I read a quote that went something like: "If you live each day as if it was your last, someday you'll most certainly be right." It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I've looked in the mirror every morning and asked myself: "If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?" And whenever the answer has been "No" for too many days in a row, I know I need to change something.
(意訳)わたしが17歳のとき、こんな一節に触れた。「これが最後の日だと思って一日一日を生きることができれば、いつかきみはきっと正しい道を選ぶことができる」わたしはこのことばに大きな影響を受け、それ以来わたしは、33年間、毎朝鏡の前で自分にこう問いかけた:「今日が自分の人生の最後の日だとしたら、今日、やろうとしていることは本当に自分がやりたいことなのか?」と。そして、その答えが何度も続けて「いや、これは本当にやりたいことじゃない」になっていたら、わたしは何かを変える必要がある。
拙い訳は間違っているかもしれないので、英語が達者な人はぜひ原文にあたってほしい。「これが最後の日だと思って毎日を生きる」というのは、どちらかというと仏教の教えに近い気がする。聞くところによれば、かれは禅の修行をどこかで受けたことがあるというから、ここに反応するのは日本人的な感覚なのかもしれない。(根拠はない)
さて、そんなどうでもいい前振りは置いておいて…といいたいところだが、実はわたしも、死を意識したときに「このままでいいのだろうか?」という悩みに耐えきれず、変化を求めて中途半端な行動を起こしてしまったのだが、その結果、実に中途半端な結果を引き起こしてしまった。
この一件で、自分の中途半端さを厭というほど思い知らされ、深い自己嫌悪に陥ってしまった。頭で考えていることと、実際に自分で経験、体験することの間には大きな溝がある。いくら自己啓発本を読んでも、深い問いかけと、地道な努力を伴わない行動は、中途半端な結果にしかならないという大きな教訓を得た。
そこで、敢えてもう一度自己啓発本を手に取ってみることにし、栄えあるその一冊に選んだのがこの本だ。南氏のことは存じ上げていたが、きっかけとなったのは、ダイヤモンドオンラインでやっていた成毛さんとの対談である。その後、成毛さんが南氏を評して「この男は幅が広い」とおっしゃっていたので、ちょっと読んでみようと思ったのだ。そして、たまには、本で読んだことを実行してみようと思ったのだ。
…ということで、書評と大きくずれた「自分語り」をしていたら紙数が尽きたようだ(笑)。最後にまったく文脈を無視して思うところを書いておく。自己啓発本は何冊も読んでうんうん頷いていても全く何も変わらないばかりか、莫迦が勘違いして逆に悩みの原因になりがちであり、読まずに越したことはない。わたしのように、救いようのない莫迦は変な影響を受けて取り返しのつかない失敗をしてしまうだろう。自戒も込めて言うが、自己啓発本の取り扱いには十分気をつけてほしいものである。