キャッチャー・イン・ザ・ライ | One of 泡沫書評ブログ

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有名な小説だが、いわゆるタイトルは知ってるけど読んだことがないという類の本だった。もちろん手に取ったきっかけは「攻殻機動隊 Stand Alone Complex」の笑い男のトレードマークに、「僕は耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間になろうと思った」(I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes.)という、例のあのネタの出どころを読んでみたくなったというだけ。たまたま村上春樹の新訳が出ていたので興味本位で買ってみたのだ。内容をまったく知らずに読んだので、青春小説だと知って少し驚いた。スタインベックの「怒りの葡萄」みたいなのをイメージしていたのだが、全然違う。

こういう超有名な古典的な作品こそ書評家の腕が試されるわけだが、奥行きのない読書しかしていないわたしには無理だ。だいいち、文芸作品はほとんど読まないので、これが良い作品なのかどうか判断がつかないし、いろいろ引用して蘊蓄を講釈することもできない。ただ、アメリカ人にもこういう感受性が小説として成立するのかというのは一種の驚きであった。どちらかというと日本的な私小説に雰囲気が近いような気がするのはわたしだけではあるまい。私小説の本家本元である日本で同じような作品を挙げればきりがないだろう。(と言って、わたしは文芸的な引き出しがないので一つも挙げることができないが・・・)強いて挙げれば古谷実に近いと思うのだろうが、どうだろうか?(漫画だけどね)

一つ確実に言えることは、30過ぎたオッサンが初見で共感できるような本ではない、ということだ。どう考えても18歳までに読んでおかなければこの作品の本質は味わえないだろう。そういう意味で、わたしにとっての青春小説は「海がきこえる」で十分だw