父親のすすめ | One of 泡沫書評ブログ

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父親のすすめ (文春新書)/日垣 隆

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昨日のエントリに続き日垣さんの本。子育てのノウハウ?が詰まった本。氏は良く知られるように3人の子供を育てた”実績”豊富な父親だ。その氏が自分のノウハウを惜しみなく披露してくれている。

氏は持ち前の理屈っぽさで子どもたちを育てるわけだが、どういうわけかこの理屈っぽい父親の子どもたちは、どちらかというと”のんびり屋”として生まれたようだ。おそらく”普通の”育てられ方をすれば本など全く読まない大人になったことだろう。しかしのんびり屋の子どもたちも、彼の一種独特な教育により、そこらの三下ブロガーはだしの名文を書く子どもに成長したようだ。素晴らしい技術(?)である。

それにしても、文の間からにじみ出てくる”厳しさ”に苦笑せざるを得ない。やはりわが子がリンチ殺人に加わるかもしれない、被害者になるかもしれない、というような危機管理を日常的にやっているからであろう。おそらくテレビが家庭の中心にあるようなご家庭では、こうした発想は相容れない考えなのではないだろうか。シビアな現状把握と自己認識が徹底されている日垣家では、ヘタすると相当に屈折した子どもが育つのではないかと思ったりもするが、文中にある子どもの作文(小論文)を読む限り、どうやらものすごく魅力的な大人に育ったものと思われる。こうした育て方をしたいと思っていたわたしにとっては、非常にうらやましくも心強い話ではある。

子どもがいる人は一度読んでみてはどうだろうか。750円の価値は十分にある一冊だ。