凡人起業 | One of 泡沫書評ブログ

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凡人起業―「カリスマ経営者」は見習うな! (新潮新書)/多田 正幸
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神戸のオジサンが書いた非常に庶民的な本。さいきん、「セルフ・コンフィデンス・バイアスw」の強いエリートたちばかりの本を読んでいたので、こういう庶民的な本を読むと非常に安心する。


しかし、読者は見誤ってはいけない。著者は周到に謙虚な姿勢で自らを「凡人」と称すが、実際は大阪大学を卒業し、丸紅に入社、そのまま脱サラするも一度目の起業に失敗し、友人と学習塾を経営した後に再び会社勤めをし、今は税理士として独立しているという、とても「凡人」とは思えない「非凡」な半生を過ごしている。だいたい、丸紅に入るあたりが既に凡人とは程遠い。こういう人を「凡人」というなら、一体わたしなどは明日から何と称せばいいのか。「凡人未満」か、「愚人」とでも言わなければならないだろう。


確かに、著者には先日紹介した楽天の三木谷さんや、我らがホリエモン、ユニクロの柳井さんのような「変態的」な才能はないだろう。ああいう人たちは違いがありすぎて、いちいち嫉妬する気も起きない。しかし、こういういかにも手が届きそうな人は、逆に嫉妬してしまう。「何だかんだ言ったところで、結構バイタリティに溢れて、結局独立に成功してるんじゃないか」と。


まあそういう意味では、これから起業を志す人にとっては非常に役に立つ生、というより、等身大の情報が満載であることは間違いないだろう。著者も断っている通り、初めから楽天みたいな会社を興そうという人は本書を読んでも得るものはないだろうし、逆に、そういう「変態的」な人はこういう庶民的な本を読んだりしないのではないか。これは、本当にサラリーマン以外の生き方を模索している「凡人」が、同じように自らを「凡人」と称する「非凡な人」の足跡を追うことのできる稀有な本だ。


合わせてこちらも読んでみた。こちらはベストセラーだから、読んだ人は多いのではないか。わたしは「サバイバル」だけを読んでみたが、示唆に富む内容だった。


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