- 成功の法則92ヶ条/三木谷 浩史
- ¥1,680
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この手のビジネス書では、初めてハードカバーで買った。成功した人の自伝は読んでウンザリ見てガッカリなことがほとんどなので、新刊で買うなんてあり得ない。が、三木谷さんは例の薬事法改悪の件で厚労省に盾ついた
のが結構カッコよかったこともあり、つい買ってしまった。
内容は、まあ、こんな感じかな、というところである。本当に、良くも悪くも、王道のビジネス本である。92カ条、ひたすら彼の成功哲学が書かれている。そのどれもが、大切なことというのはよくわかるのだが、残念ながらお行儀が良すぎて、正直にいえば、内容が頭に残ってない。感銘を受けるところもあまりなかった。なんというか、少し、ずれている気がする。陶酔しているような部分も多々ある。詩的な表現も多い。先日読んだ、柳井さんの本に比べてもスピード感が足りない感じが否めない。
しかしこれは、三木谷さんが劣っているということではない。彼は、興銀のエリートでありながらMBAを取って辞め、起業し、今現在その事業を成功させているというスーパーマンだ。一見、「エリート」街道まっしぐらのようだが、本当の「エリート」は、わざわざ興銀を辞めて起業したりしないだろう。そういう意味でも、ただのエリートではなく、アントレプレナーとしての馬力も備えている稀有な人材である。楽天は創業12年(2009年12月期)で既に売上高2,500億円超の見通し であり、成長率で言えばファーストリテイリングと同じくらいか、それ以上だろう。大企業といっていい。大成功の事例である。
しかし、それなのに、考え方が少しオッサンくさく感じてしまうのだ。説教くさいのも、昭和っぽい香りがする。これはどうしてなのだろうか? 誤解してもらいたくないが、オッサンくさいから悪いというのではない。そうではなくて、今をときめくECサイトのパイオニアとして、しかも現役でもっともノっている年齢だと思うこの時期に、なぜこんな引退後の老人みたいな感じがするのが不思議なのだ。わたしがずれているのだろうか。