- 海がきこえる (徳間文庫)/氷室 冴子
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ここのところ新刊や政治経済ネタが多かったので、たまには泡沫ブログの本領を発揮しようと思う。今日取り上げるのは「海がきこえる」です。みなさんご存知ですよね。スタジオジブリによってアニメ化もされました。わたしは多くの人がそうであるように、アニメから知ったのですが、今回は原作の小説のほうを紹介したい。
高知の高校を卒業し、東京に進学した杜崎拓は、ある日、高校時代の友人から電話で武藤里伽子が東京に来ていることを知らされる。地元の高知大学に進学したはずの理伽子がなぜ東京に来ているのか? かつて好きだった里伽子のことを思い出す拓。高校二年の夏、東京から転校してきた里伽子と過ごした日々の思い出がよみがえる。ああ、僕はやっぱり、里伽子が好きなんだ。。。
あらすじを書くのが苦手だということがよくわかった。
アマゾンの書評を見てくださいw
こういうのを読むと、地方で過ごした高校時代を思い出す。多くの地方出身者がそうだったように、東京へのコンプレックスとあこがれがないまぜになったような甘酸っぱい思い出(?)がよみがえってくる。こういうのを疑似記憶というのだろうが、まあ一般的に多くの地方出身者はシンパシーを感じやすい構図になっていると思う。(今じゃ、満員電車に揺られるのも慣れてしまったくらい、首都圏の生活にどっぷり浸かってしまったが。。。)
あと、年取ってから読み返すと、里伽子のわがままさに腹が立たなくなる。
むしろ可愛いと思えるから不思議だw
逆に、拓が大人すぎる気がして仕方がない。
それから、アニメ版だと、父親のマンションから出てきた彼女が不倫相手だって気付かなかったのだが、本だとしっかり書いてあって鈍いわたしにもわかりやすい。他にも何点かあるが、アニメ版の拓はあっさりしすぎて、鈍い人には追い切れない情景描写が多いが、活字だとそのへんがクリアになっていてよい。(わたしなど、鈍すぎてラストシーンまで拓が里伽子のことを好きなことをぜんぜん気付かなかった。ここまで鈍いのはわたしだけだろうが。。。)
しかし、難点もある。やはり初出から時間が経っているせいか、主人公たちの言い回しや風俗が非常に時代を感じさせる。端的にいえば、古くてダサい。やはり、トレンディものは後から見返すと恥ずかしくなる。将来、万が一中二病小説を書くことがあったら、気をつけようと思う。あと解説の宮台真司がうぜぇ。こいつ一体何様だと小一時間。
作者の氷室冴子さんは2008年にお亡くなりになったようです。ご冥福をお祈りいたします。
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