貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する | One of 泡沫書評ブログ

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貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する/橘 玲

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きっかけは、「金融日記 」で藤沢Kazuさんが紹介していたから。電車内の広告でも宣伝されていたので見かけた方もいるだろう。その道では知らない人はいない(当たり前だ)、ファイナンシャル・リテラシの伝道師(?)こと橘玲(たちばなあきら)氏の人生設計指南本である。ろじぱらワタナベさんも読んでいる ようだ。この本は出たその日ぐらいに買って、すぐ読んだ。


確定申告をしたことがない、というような根っからのサラリーマンは、本書を読めば衝撃を受けるだろう。言うまでもなく、わたしも相当ビビった。


これは「マイクロ法人」という方法を使った節税のすすめである。一時期流行ったというから、リテラシの高い人には「よくある節税対策」という感じなのだろうが、当然、わたしは初めて聞いた方法だ。しかし、これは日本ではやりたくても出来ない類のものだ。今やっている業務と同じことをしながら、法人格を手に入れて、家族に給与支払いをしたり、費用を損金処理するなどして、社会保険料を安くあげ、税金をゼロに近づけて可処分所得を増やそうという試みなのだが、これをやるには、今、勤務している会社が同じ条件で「わが社」に発注してくれないといけない。これがいかに荒唐無稽な話であるかは、いまさら説明するまでもないだろう。


アマゾンのレビューの多さが分かる通り、著者は大変人気者だ。みんなの意見も、「実現可能性はゼロに近いが、こういう方法があるということを発見し、実践しているのはスゴイ」というものだ。わたしも同じである。実際、この本に書いてあるようなことを現実にやっている人は皆無だろう。(やっているとしたら、もとからフリーランスなのではないだろうか) しかし、こういうことは、知識として知っているだけでもずいぶんと違うものだ。何より、サラリーマンという生き方しか知らない人は、こういう生き方があるというのを知るだけでも世界がずいぶんと広がるだろう。



以下は著者の過去のベストセラーだそうだ。本書に影響を受けて一応買って読んだが、こういうのは実際に実地でやってみないと知識が身に付かないものだ。橘さんに影響を受けて、この手の本は他にもずいぶんと読んだが、いまだに税務署にすら行ったことがない。確定申告もできないのに「黄金の人生設計」も何もあったものではない。わたしは当分「奴隷」の生活を続けることになるだろう。


関係ないが、講談社プラスアルファ文庫の装丁が格好いい。

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」/橘 玲
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「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計 (講談社プラスアルファ文庫)/橘 玲
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