- 新版暗号技術入門 秘密の国のアリス/結城 浩
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結城浩氏という方がいる。プログラミングの世界では結構著名で、代表的な著作に「増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門 」などがある。わたしも何かの強迫観念にかられて、このデザインパターン本を購入したがさっぱり読まず、そのまま誰かにあげてしまった。今考えると非常に不勉強であり汗顔の至りだ。だが今更デザインパターンを学んだところで、仕事で使うところがないのだから致し方ない。まあそんなわたしのトホホ話はさておき、本書はそんな(?)結城浩氏の書いた暗号の解説本である。理系書籍やコンピュータ関連書籍は、たいていアメリカ人の書いた英語のドキュメントが優れており、日本人の書いた本はイマイチであることが多いのだが、結城氏の場合は例外的に、非常にいい意味で「国産化」された文章で、かつこの業界の人が好む「ユーモア」も適宜交えられていて、大変好評である。
暗号、などと聞くといかめしい印象があるが、インターネットがこれほどまでに発達した現在、暗号技術は日常生活において、なくてはならないものとなっている。たとえば、https~で始まるURLは安全だといわれているが、なぜかと考えたことはないだろうか? ベリサイン社は、何を安全だと主張しているのだろうか? 本書はこうした一見難しい(いや、実際難しいのだが)暗号技術をじつにわかりやすく紹介、解説した入門編である。内容は第二次世界大戦で使われた「エニグマ」や、有名なポーの「黄金虫」暗号などを導入に、暗号技術の成り立ちから現在のインターネット技術を支える公開鍵暗号、メッセージダイジェスト、デジタル署名、SSL/TLSまで幅広く記述されている。本当に難しい部分はさておき、こうした技術をさまざまなたとえ話を用いて平易に説明してあり、初学者、特にコンピュータや数学を知らない人にも大変親しみやすい。とはいえ実際はこのコンピュータ業界に従事する専門職を対象にした本であろう。畑違いでこの本を理解できる人は相当賢いので、自信を持っていいと思う。
余談だが、わたしはこれほどまでにさまざまな分野を渉猟する結城氏の実在を実は疑っている(笑)。個人でここまで完成度の高い仕事ができるものなのだろうか? と。もしかしたら、「結城浩」という名前に仮託して、裏に多くの人間が控えており、その著者グループを代表して「結城浩」というヴァーチャルなペンネームを使用しているのではないか、などと思ったりもした。(実際は、個人でプログラミング、ライターなどをこなす方のようです)
- 増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門/結城 浩
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値段を見てビックリ・・・なぜ手放したんだろうか? 最初の"Iterator"だけ、なんとなく覚えている。