- 女皇の帝国 内親王那子様の聖戦 [ワニノベルス] (ワニノベルス)/吉田 親司
- ¥940
- Amazon.co.jp
ああ・・・買ってしまった。
ニコニコ動画で「ひれ伏せ平民どもっ! 」の市場に出ていたもの。ネタのつもりで1巻を買ってみた。(現時点で3巻まで続編が出ている)
これはいわゆる「架空戦記」もので、実際の名前をバンバン使い、実際にあった史実なども便利に使いつつ、話の展開そのものは割と自由に変更するというもの。誰がどう見てもこれは「秋篠宮眞子様」がモデルで、舞台は1941年当時の日本なのだが、いまのわが国では「これはフィクションです」で済んでしまうから、言論の自由を改めて感じた一冊であった。
アマゾンでは割と好意的な評価がされているようだが、私としては、こうした「キワモノ」に対する免疫がないうえ、歴史は好きだが戦史オタクが苦手なので正直、まあこんなものか、という程度の感想をもった。ただ、著者の戦艦や各種航空機に対する造詣の深さや、ライトノベルでありながらあからさまな萌えを追求しない姿勢は、あるいは評価されていいかもしれない。全体的な印象は、奇しくも先日紹介した「マブラヴ」のそれと似ているとでも言おうか。内親王那子様は、ちょうどマブラヴの冥夜に、侍従頭の東雲薫子はさしずめ月詠に相当するだろう。(もしかしたら本作がマブラヴの設定をパクったか、あるいは姫+侍従というのは定式化したギミックなのか) ただ、残念ながらシナリオの書き込み、人物の描写、演出のどれをとってもラノベの域を出なかった。そういう意味では「マブラヴ」のほうがレベル高いかもしれない。
と、酷評したようだが、ライトノベルだと割り切れば読めなくもない。日本史とか世界史とか、ナショナリズムとか右翼とか考え出すとこうした本は拒絶反応を示してしまうが、架空の話(ちゃんと著者もフィクションと断っている)と考えればある種のシミュレーションノベルとしても楽しめるだろう。ただ、その代りと言ってはなんだが、至るところに出てくる安易なナショナリズム、ヒロイズム、ヒューマニズムは蛇足だったかもしれない。これがなければもう少し素直に評価できたのではなかろうか。人物描写に深みが足りないからよけいに白々しさが強調されてしまう。ここは素直に次作に期待したいところだ。ということで、さっそく明日買ってこようw