今日は趣向を変えて、時事ネタに少しコメントしてみようと思う。
テーマは、「成人式」。
この時期、毎年のように繰り返される「近頃の成人はなっとらん!」的な演出には、正直なところ、いい加減食傷気味の方も多いのではないか。とはいえ、ここのところテレビを観ていないので、本当にそうなのかどうかはわからない。まあ、極端なサンプルを取り上げて云々するテレビに対し、正面から反論したり怒りを表明したりするのは、すでに何年も前に成人した大人のやることではなかろう。ということで事件云々はともかく、始めからこの手の報道は観ないのが一番大人の対応といえるだろう。
さてWEBのニュースをみる限り、今年は特に何事も無く平穏に式が過ぎたところが多かったのであろう。たいした話題がないため、成人式で検索を引っ掛けたら以下のようなつまらない・・・失礼、当たり障りのない記事にぶつかった。せっかくなのでリンクさせてもらおう。これはオリコンが調べたという、新成人に聞いたアンケートの結果である。
この手の質問をすると、近年の回答傾向をみるに、両親や家族を大切にするという指向がみられるようになったと感ぜられる。いい意味でとらえれば、家族のつながりを大切にするようになった、といえよう。しかし悪く取れば、小さくまとまった人間が増えたともいえる。
私はまだ30にもなっていない「若造」であるが、それでも近年の若者をみるに、実に小物が増えたなという感想を持つ。とくに、20を過ぎても未だ実家暮らしを続け、経済的に、また精神的にも独立が遅れていた人間はそうなっているような気がする。もちろん統計を取ったわけではなく、私の身の回りをみてそう感ずるだけなので、マクロにみてただしい観測かどうかはわからない。ただし、明らかに私の身の回りでは、未熟なまま20代後半を迎えた人間が多い。
なぜそうなってしまったのか、その原因を探るべく、さりげなく生い立ちや学生時代の経験、スポーツの経験の有無などを聞いてみたりするわけだが、その結果、少ないサンプルながら、概ね次のような人間は、未成熟なまま年齢を重ねてしまった可能性が高いと感じられる。一例としてあげてみると・・・(註:男性限定です)
・実家暮らしが長い。または、実家から出ようと思ったことがほとんど無い
・彼女が居たことが無い
・部活動、サークル活動などの経験が無い
・本を読まない
・4年生大学または大学院をストレートで卒業している
要するに、何も考えないで人生を送っているとこうなる、という典型例である。もっとも摩擦の少ない人生であることがわかるだろうか。一人暮らし、アルバイト、彼女を作る、部活動に打ち込む・・・どれも、社会生活を送る上で必須条件ではないことばかりであるが、これらをすべて回避して成長すると、のっぺりとした能力が形成されるのであろう。(いい過ぎだろうか?)
不思議なことに、女性の場合は上記に当てはまっても、それほどでもないことが多い。というより、女性の場合は上記に当てはまる子のほうが成熟しているような気もする。(本くらいは読んだほうがいいと思うが)やはり、男性と違う哲学を生まれながらにして持っているのであろう。しかしここでは女性については深入りしない。
こういう人間はマスコミが作り上げた虚像かと思っていたが、意外にたくさん居ることを知って愕然としてしまった。こういう人間を目の前にすると、さきほどの「尊敬する人、自分の親」などという新成人をみるにつけ、素直に「すばらしい」などと頷けなくなってしまうのである。
20年も生きてきた結果、自分が尊敬できる頭脳や見識を持った人間が自分の親とは、あまりにも視野が狭いといわざるを得ない。もちろん、自分の親がイチローだったりビートたけしだったりすれば話は別であるが、おそらく多くの善男善女の親はどこにでも居るタダの大衆であろう。個別の状況だけ考えれば、自分をここまで育ててくれたことに感謝したり、大学に行かせてくれたりした(のであろう)から、それに対して感謝することは、人間感情としても頷けるものである。しかし、それにしても、ただ育ててくれたこと、それだけを以って尊敬するとは、他に何か考えるところはないのか、といいたくなる。いや、余計なお世話であることは十分に、誰よりも私自身がわかっている。わかっているが・・・
大衆が大衆を尊敬して、大衆を拡大再生産するというのはただしいあり方なのかもしれない。たとえば新成人の尊敬する人第一位が「北一輝」などということにでもなれば、政府は大童であろうw 若者がそうならないように仕向けるのが、エスタブリッシュメントのもっとも優れた政策なのであろう。というようなことを、成人式のニュースをみて感じました。新成人に幸あれ。