風磨side
「風磨くん……どうかな?」
螺旋階段をコツコツとヒールの音を響かせながら降りてくる松島
レッスン室で見る松島は、いつもカラダを大きく使ってキレのあるダンスをデビューを夢みて汗だくで練習してるけど
今、俺の前にいる松島は本当に同じ人物かと思える位別人だ
「綺麗だよ」と言いたかったが、
性格からか口からは出ず
「行くぞ」
それが精一杯……
俺は恋愛に関しては不器用である
映画館に着く
松島が今見たいという映画を選択し、チケットカウンターに並ぶ前に中で食べるものを買う事にした。
「何がいい?」
すると松島は
「ちょっと高いから、僕はオレンジジュースだけでいいよ」と言った
俺は
「せっかく来たんだから食べたいもの頼めば?
俺が支払うから」
目を輝かせ
「ほんとぅ?風磨くんの奢り?
じゃ、アイス食べたい」
まるでご褒美貰う時の子犬みたいにはしゃぐ松島
チケットカウンターに並んでると
後ろから声をかけられた
「菊池…だよな?」
振り返ると、長い髪の女を連れた中島がいた