勝利side
「なぁ、マリウス、そろそろ着くよ!
起きてったら!」
新幹線の車内で、俺の方にもたれるように眠ってるマリウスを揺り起こす。
「あっ…うーん…ごめんね。僕寝ちゃってたね。もう着くの?」
と、目を擦りながら大きな欠伸をし、長い手をグーっと伸ばした。
「降りるよ」
スーツケースを引っ張り、ホームに降り立つ。
改札を抜けると、柱にもたれるようにサングラス姿の長身の男二人が、こちらに気づいて軽く手をあげて合図した。
「お久しぶり。元気だった?」
そう、俺たち4人は長いstay homeの期間中、会う事が出来ずこうして揃うのは3ヶ月ぶりなのだ。
横に来た風磨君に
「準備は?」と聞くと、ニヤリと笑って親指を立てた。
指定駐車場に行くと、風磨君の愛車が止まっていて、トランクにスーツケースを入れたら、風磨君が
「中島ァ、運転代わってくんね?俺、ねむっくってさ」と、健人君に振ると
「運転!!僕したーい!」とマリウスが目をキラキラさせて、ポケットから真新しい免許証を出した。
「え〰️〰️〰️〰️💦マリウスが運転?
ヤバくね?」
でも、マリウスはみんなの心配など完全無視で風磨君に、
「かーぎ🧡」と天使の微笑みで催促し、受け取ると運転席にスルリと乗り込んだ。
俺は助手席に、健人君と風磨君は後部座席に乗り込み、俺は膝に置いた手に力が入った。
だ、大丈夫かな?
後ろの二人もまるで免許取り立てのムスコを心配するような夫婦みたいに
「あんなに小さかったマリウスが…もう車運転するような歳になったのか…」と感慨深げで。
まっすぐ前を見つめ、ハンドルを握るマリウスが運転する風磨君の愛車は
俺たちが一番会いたい相手がまつ場所目指して走り出した。
-続く-