健人side
ハァ…ハァ…ハァ…ッ
校内中を駆けまくり、何とかまいた。。
卒業式も無事に終わり、教室での最後のHRを終え、三年間お世話になった担任とクラス全員で記念撮影をすませたとたんに、他校の女子たちに追われるハメとなった。
風磨と目で合図をし、散り散りになって
"逃げた"
何故逃げるかって?
それは、「第2ボタン」を死守するため。
普段使われてない空き教室の前を通りかかった時、ものすごい力で俺は教室に引きずり込まれる。
ビックリして俺の腕を掴んだヤツの顔を見たら、風磨だった。
「び、ビックリした…」
額から尋常じゃない汗が、床にポタポタ落ちる音が、静かな教室に響く
シーッと唇に人差し指をあてた風磨が
俺の腕を掴んだまま、窓際までつれていき
階下にいる女子たちを指差し
「危なかったな」とヘラッと笑って
握りしめていた"それ"を俺にくれた
"それ"は風磨の体温で温かかった
「健人は?」と聞かれハッとなった
自分の上着を見ると、他はむしりとられていたけど、「第2ボタン」は無事だった。
「風磨…俺も無事だったよ」
俺は上着からボタンを剥ぎ取ると、風磨に手渡した。
三年間一緒に過ごした学校とも、今日でお別れだけど
大学は別々になってしまうけど
きっと大丈夫。
だって、俺たちは始まったばかりだから。
春からはお互いの大学に通いやすい場所に、風磨が部屋を借りてくれて、一緒に住む事が決まっている。
お互いがお互いからもらったボタンを教室の窓から見える、青い空に二人でかざしてみたらボタンの小さな穴から白い雲が、春の風にキモチよさそうにフワフワと流れて行くのが見えた。
俺たちはしばらくその光景を二人でずっと眺めていた。
-続く-
※このお話はフィクションです