卒業式が終わり、教室に戻った。
HRが終わり、このクラス最後になるので、担任の先生と一緒に記念撮影をする。
新学期はクラス替えがあるので、またしょりと一緒になる保証はない。
僕はカバンを持つと、教室の入り口で一礼した。
ありがとうの思いを込めて
感慨深げになっている僕の手を、しょりがガッシっと掴むと
「良いものみせてあげる」って
イタズラっぽく笑って
走り出す
校門の所まで来たとき、しょりがピタッと止まって身を隠すようにして、道路の方を覗き込むように見た
「なになに?しょり」
こっちに振り向いたしょりが唇に人差し指をあてて、シーッとジェスチャーしてみせた
僕はしょりの隣からそっと覗きこんだ先を見て、思わず声が出そうになった
そこには
桜が満開に咲く木の下で
風磨先輩と健人先輩が、卒業証書の入った筒を手に抱き合って
熱い…熱いキスを交わしていた。
時折、桜の花びらがヒラヒラと
2人の上にふりそそぎ
通りすがる車の振動で地面に落ちた桜が、一斉に舞い上がる
今までみたどんな絵よりもキレイで…
僕はずっと考えていた、しょりへのキモチが今、固まった気がした。
「ねぇ…しょり…僕たちも先輩たちみたいな関係にいつか…なりたいな」
それを聞いたしょりが、僕よりもずっとずっと大人な顔で
「もう、なってるじゃん? 」って
甘くとろけるようなキスを僕にしてきた。
-続く-
※このお話はフィクションです