NEOS。 アコウクロ -4ページ目

「White snow」 第二章 -虹ー 4

幸人は迷った・・ひとみが本当の病名を知ったうえで正面に病気と向き合う事が出来るのか・・

絶望の淵に立ち再びふさぎ込んでしまうのではないか・・・


父の死をようやく乗り越えようとしている妹に対して実に酷な事なのかもしれない・・・

だが、何れ知り、向き合わなければならない・・・知ったうえで行動する方が本人の為でもある

ひとみは一人で何もできないような子供ではない、今後の生活の上で知り考えた行動を取る方が本人や家族も安心出来るのかもしれない・・・


このタイミングだとは思えないが、ここまで来てしまった以上隠す方が不自然だし過酷であろう・・・


幸人はそんな風に感じていた



『ひとみ、お前の病気は父さんのものとは違う・・・それは判るな』


『・・・うん』


『聞いたうえで、家族を批難したり父さんを恨んだりしないでほしい』


『しないよ・・・』


『病気と向き合い、今後家族で協力して生活していくと約束できるか?』


『・・うん・・』


ひとみは下唇を噛みながらそう答えた・・


『母さん、俺、伝えるよ・・』


『もう少し落ち着いてからのほうが・・・』


ひとみは真実を知る事が出来る・・・この瞬間を何度も考えた・・・

父親が生きている時も今も・・・常に疑問を抱えていた・・・

生まれつき体が弱い、そんな病名はあり得ない・・だけど、いつもそう話され無理やり納得してきていた・・


本当の事が知るのが怖い・・・本音はそうであったが、この機会を逃すと知ることが出来なくなる・・

そんな気がしてならなかった・・



『教えて、お兄ちゃん・・ひとみ大丈夫だから・・』



『ひとみっ!』


『わかった・・・』



母親の反対を押し切り幸人はひとみに病名を伝えようと思った・・




『ひとみの体は・・・普通の人より白血球が少ないんだ・・・』





『白血球が少ないって・・』





音が静まり返り時間が止まっているような空気が流れた・・・





『だから・・お前、ちゃんと病院に行くようにって・・・父さん・・・』




『白血球が・・少ない・・って・・それって・・死ぬんじゃないの・・嫌・・死にたくない・・』




ひとみは気が動転し、目の焦点が定まらなくり倒れこんでしまった




『ひとみ!ひとみ!』



ひとみの意識は朦朧とし体を小刻みに震わせていた


幸人はひとみを抱きかかえた


『母さん・・亜衣・・ごめん・・今じゃななかった・・』


二人はひとみの急変に驚き一瞬何が起きたのかがわからなかった



『幸人・・いずれ・・ひとみが向き合わなければならない事だから知るいい、タイミングは良かったのかはわからないけど・・・・妹が可愛くないの・・こんなにも傷ついているのに・・更に・・』



『・・ごめん・・ごめんよ・・今日から・・俺が父さんの代わりになるよ』



幸人はこうとしか答えることが出来なかった・・・


親父のように、ひとみを守る・・・それしかない・・そう思っていた


幸人はひとみを抱きかかえひとみの部屋へ行きベッドで寝かせた


薄暗い部屋の窓の外からは月明かりが照らされて雪がちらついていた・・・


『ひとみ・・俺、頼りない兄ちゃんだけど・・親父の代りにお前を守るよ・・・今日は本当にごめん・・・』


意識を失ったひとみに語りかけた・・・





しばらくするとひとみは意識を取り戻した





『あれ・・ここは?・・あっ・・そっか・・倒れたんだ・・・』




『・・ひとみ・・大丈夫か?あの・・その・・ごめんな・・でも・・お前のは・・そんなに・・あの・・酷いものじゃないらしいんだ・・父さんが・・そう言ってた・・』



自分で聞きたいと言った事に対し兄が後悔を感じているように感じた・・



『・・・おにちゃん・・白血球が少ないって・・白血病の事・・?』 


『ちゃんと薬を飲んで病院に行けば大丈夫だ・・・』


『白血病って・・・血液の癌みたいなものじゃないの?』


『俺は医者じゃないからよくわからない・・でもちゃんと治療をしていけば大丈夫だと聞いている・・・』


幸人は精一杯だった・・・


『うん・・今日はごめんね・・お兄ちゃん・・・沢山心配かけちゃったね・・・』


何か喉の奥に引っかかるような思いで幸人は聞いた・・


『気にするな大丈夫だから、俺達家族で力を合わせれば何でも上手くいくよ』


『うん・・・』


『ごめん、今日はもうこのまま休む・・・』


『あ・・あぁ、その方がいい・・何かあったらすぐに呼ぶんだぞ』


『うん・・』



幸人は部屋を出た・・・



「どう接していいのか分からない・・・兄として父の代わりとして・・・」





『治療を続けていれば大丈夫・・・・もう何年も続けているよ・・・お兄ちゃん・・・』



ひとみは幸人の言葉が頭の中を何度も繰り返されていた・・・