NEOS。 アコウクロ -3ページ目

「White snow」 第二章 -虹ー 5

「治療を続けていれば・・・・」


兄の言葉を何度も繰り返し考えているうちに眠りについた・・・


塞ぎこんで思い込んでいた思いとは裏腹に自分にのしかかる大きな問題

本当に治療を続けていれさえすれば大丈夫なのか・・・

分からない事がより不安を誘っていた・・・


「自分で調べてみよう・・・そうすれば解決策なんかも見つかるかもしれないし・・」


ひとみは図書館へ向かう事にした


図書室には病気についての専門誌が沢山あった、その中でも「白血病」について詳しく書かれている物を探した


「あった・・」


本を取り椅子に座り息をのんだ・・・


「何となく嫌な気分だな・・・」そう心の中で感じた


もし、自分が白血病だったら・・どうしたらいいのだろう・・

白血病とはどんな病気なんだろう・・・そしてどうなるのだろう・・・

白血病じゃない病気かもしれない・・

いずれにしても小さな頃から通院を欠かせない以上、体のどこかがおかしいのであるのには変わりないのは事実・・・


「パラ・・パラ・・・」


分厚い本をめくり始めた・・・

専門用語がとても多く、素人には理解に苦しむ内容だと感じながらもあるページで指が止まった


「え・・」


白血病(はっけつびょう、 : Leukemia)は、「血液のがん」ともいわれ、遺伝子変異を起こした造血細胞(白血病細胞)が骨髄 で自律的に増殖して正常な造血を阻害し、多くは骨髄のみにとどまらず血液中にも白血病細胞があふれ出てくる血液疾患。白血病細胞が造血の場である骨髄を占拠するために造血が阻害されて正常な血液細胞 が減るため感染症や貧血、出血症状などの症状が出やすくなり、あるいは骨髄から血液中にあふれ出た白血病細胞がさまざまな臓器に浸潤(侵入)して障害することもある。治療は抗がん剤を中心とした化学療法と輸血や感染症対策などの支持療法 に加え、難治例では骨髄移植臍帯血移植 などの造血幹細胞移植 治療も行われる。大きくは急性骨髄性白血病 (AML)、急性リンパ性白血病 (ALL)、慢性骨髄性白血病 (CML)、慢性リンパ性白血病 (CLL) の4つに分けられる


兄に言った「血液の癌のようなものでしょう」と言葉が頭を過った・・・


「白血病にも種類があるんだ・・・」


更に詳しい内容を読んでいくと、白血病の状態、末期の症状などが記載されていた・・・



「嘘・・・」


体がガクガクと震え全身の力が抜けるようになった・・


「嘘でしょ・・・私・・違うよね・・」


何とか心を落ち着かせて本を本棚に戻した


「・・・」


家族は病気の事を本当は知っているんじゃないか・・・

私が知ったら大変だから、あんな風に誤魔化したんじゃないか・・・

お父さんが体を大事にって言ってた・・・

ひとみの体は病気に侵されているから、長生きできないから・・そんなことを・・・


自分は白血病の疑いがある・・症状としては似てたり似てなかったりしてよく判らない事も多いけど

「白血球が少ない」という言葉が気になって仕方なかった・・・


「そうだ・・病院に行ってみよう・・・」


精神的に不安でありった、知りたい気持ちと知りたくない気持ちが入り混じったまま主治医の元へ向かった


「思い過ごしかも知れないし・・勘違いかもしれないし・・・」


病院に付き診察券をだし待合室に座った


「どうか神様・・違いますように・・・」


数分間がとても長く感じた・・・


『ひとみさんどうぞ』


看護婦の呼びかけに心臓が痛くなった


『は、はい・・』


診察に入るといつもの主治医がニコニコしながらこう言った


『今日はどうしたのかな?検診は来週じゃなかったっけ?』


主治医は突然の受診を不思議がっていた


『あの・・先生にどうしても聞きたいことがあって今日は来ました・・』


『私にわかる事かな?』


『先生ならわかると思います・・』


主治医はひとみの表情を見て、少し嫌な予感がした・・少し思いつめているような顔つきと体を小刻みに震わしている


「自分の病気の事かもしれない・・・」そう思った


『話してごらん、色々と抱えるのも体に良くないからね・・』


『先生、私の病気の事なんですけど・・・』


「やはりそうか・・・」

『うん、ひとみちゃんの経過は悪くないよ、ちゃんと通院もしているし薬も飲んでいるだろう、それを私はずっと診てきているからね』


『良くなってきているという事ですか?』


『・・・そうだね・・』


『じゃあ、私の病気は治るんですか?』


『その方向で医学は進んでいるよ』


『医学じゃなくて、私の体です!』


ひとみは無意識に興奮していた・・・


『ひとみちゃん、落ち着いて話そう』


『先生‥実は父が亡くなったことで、家族と色々と話をしました』


『君の病気についてということかな?』


『はい、父が突然の死を迎えたことで、私が患う病気についても向き合う必要があるという事に・・・』


『うーん・・・気持ちは分かるけど・・ちゃんと通院して治療を続ければ治る可能性があるから』


『私、自分の病気のこと、家族から全部聞きました‥』


『そうか・・・』


主治医は何か喉にでも詰まったかのような感じに言葉を止めた


『病気に付いて教えてください。』


『本当に家族と話し合いのうえで病気について話をしたのかい?』


『はい』


『ひとみちゃん、あのね 今の医学であれば、通院・入院・薬・先生との約束を守りさえすれば大丈夫だよ』


主治医は先程と同じ内容の言葉を言った





『白血病‥なんでしょ‥私‥』





小声で言った・・・




『私、家族から聞いて向き合う為に自分で調べました‥自分の体がどういう状態か知りたいです‥家族も先生に詳しく聞きなさいって言ってるもん・・・』


ひとみは小さな嘘を付いてしまった…

少しの後悔と知らなければならない使命感のようなものに感じた・・・


『そっか、わかった。確かに向き合ってこそちゃんとした意味があり、理解ある方向で治療が出来るよね・・知らないで何のための治療かなんて思いながら受けるのは確かによくないよね・・・』


『はい、家族も全てを受け入れる覚悟を持てと言ってました』


拍車が掛かったようについ言葉が出た・・


主治医はその言葉が本当なのかどうなのか・・判断に迷った


『本当に家族と話し合ってきたんだね?』


『はい』


父親の死を直面し、突然の事がないように家族で向き合う事にしたのか・・・

ひとみちゃんの場合は突然という事はまず無いに等しい・・・知っておくことも確かに大事ではある・・


『分かった、では話そう、その代り君はちゃんと病気と向き合い家族と力を合わせて治療に専念すると約束してくれるかい?』


『はい・・』


主治医は今の病状 ・状態 これからの治療 病気に付いて語り始めた…

ひとみは話が進むにつれ 聞かなきゃ良かった思いと恐怖・不安な気持ちに取りつかれた‥

主治医の説明も耳に入らず「ただ・・本当だったんだ・・」それだけだった・・。


『聞いてる?ひとみちゃん だから ちゃんと通院しないとダメだぞ お父さんの気持工面しないとね』


『はい・・ありがとう・・ございました。帰ります』


『約束だよ』


『・・はぃ・・』


聞かなければよかった・・そう思った・・・

主治医からはっきりとした病名として「白血病」とは告げられなかったものの・・内容は白血病の治療としての今後の方向性というものだった・・・病名を本人に伝えるのは酷と感じたのか・・・

それとも、ニュアンスで分かるように伝えてくれたのか・・・



とぼとぼと歩きながら空を見上げた




『お父さん…ひとみ・・死んじゃうかもね・・・』




溢れんばかりの涙がこぼれた・・・