今回はトウカイナガレホトケドジョウの繁殖です。
過去に執筆したナガレホトケドジョウの繁殖記事はこちらをご参照ください↓
参謀長の飼育日記 ナガレホトケドジョウ繁殖編
トウカイナガレホトケドジョウ
Lefua tokaiensis Ito, Hosoya & Miyazaki, 2019
コイ目 フクドジョウ科 ホトケドジョウ属
トウカイナガレホトケドジョウと似た魚に共通の祖先から平行進化したといわれるナガレホトケドジョウがいます。
ナガレホトケドジョウとの違いとして挙げられているのは、
トウカイナガレホトケドジョウには
尾鰭基部に不明瞭な暗色横帯がある
尾鰭後縁はやや直線的
吻部から眼にかけての縦条は明瞭
画像で比べてみましょう。
ナガレホトケドジョウ
Lefua torrentis Hosoya, Ito & Miyazaki, 2018
コイ目 フクドジョウ科 ホトケドジョウ属
吻部から眼にかけての縦条
尾鰭基部
トウカイナガレホトケドジョウ
吻部から眼にかけての縦条
尾鰭基部
ナガレホトケドジョウとトウカイナガレホトケドジョウの比較
ナガレホトケドジョウ
トウカイナガレホトケドジョウ
比較画像は識別点が明確に出る個体群を選びました。
尾鰭基部の暗色横帯と尾鰭後縁が不明瞭な個体群も存在しますので、そこは自分の眼で確かめてください。
動きはナガレホトケドジョウの方がしなやかで泳ぎ回る印象です。
観察ケースに入れるとトウカイナガレホトケドジョウの方が止まってくれるので撮影しやすいですね。
では飼育と繁殖の話に入りましょう。
飼育と繁殖方法はナガレホトケドジョウと同じです。
ナガレホトケドジョウ繁殖編と合わせて読めばより理解が深まるかと思います。
飼育水温:5℃~25℃
容器:底面積の広い容器に入れる
ろ過:スポンジフィルター
換水:汚れたら適宜行う。タイミングが分からない場合は週1回半分換水する。
エサ:冷凍アカムシ、冷凍ミジンコ、人工飼料(食が細いのでエサが腐らないよう少量ずつ与える)
混泳:基本単独種飼育(飼育するだけなら他のホトケドジョウ属との混泳は可)
発情条件:冬期に水温10℃前後の状態で飼育し春に水温17℃に達したタイミングで産卵
備考
飛び出さないよう水位はやや低くする
フタをしてやや暗い環境にする
産卵させる時は屋外なら日陰で人通りの少ない落ち着いた環境におく
底を遊泳できるよう底面積の広い容器で飼う
(衣装ケース・発泡容器・ランチュウ用スリム水槽等)
屋外飼育容器 (縦31㎝ 横40㎝ 高さ20㎝)
ここにオス1 メス2を入れました。
右側の黒いのは採卵器です。
タッパーに鉢底ネットとウィローモス等を乗せ、石で固定したものです。
成熟したオス
オスの精巣
成熟したメス
メスの卵巣
あとはフタをして薄暗くすれば産卵するはず……でしたが、一向に産む気配無し。
なぜだ?
あっ、そうだ忘れてた。 ナガレホトケドジョウのオスは産卵床を中心に縄張りを形成するんだった。
遊泳する広さが足りない。。。
容量を増やしてやり直し。
サイズアップした飼育容器
(縦45㎝ 横60㎝ 高さ27㎝)
採卵器
今回はタッパーのフタを四角に切り取り、洗濯ネットを間に挟みました。
これで網目から下に落ちた卵は食われずに済みます。
産卵床は水質に影響を与えない柔らかくてゴチャゴチャっとした物を入れました。
今回はシュロとアオミドロ。
産卵床近くに投げ込み式フィルターを設置し活性炭を入れました。
あとは冷凍アカムシ+冷凍ミジンコを週に2~3回与えて肥らせます。
エサのやり過ぎには注意。
数日すると1匹が産卵床に陣取るようになりました
ナガレホトケドジョウと同じくオスが縄張り形成しているのか、ただ隠れているのかは不明。
※後日確認するとメスでした。
あとは餌やりのついでに採卵器をチェックします。
水温17℃のある春の日……
産卵しました。
採卵器内の卵
よく見えませんね。
取り出してみましょう。
トウカイナガレホトケドジョウの卵 卵径約2㎜
そこそこ大きい。
ちなみに採卵器無しだとほぼ食卵します。
エサを与えようが関係なし!
魚卵は最優先で狙われる!
次は孵化です。
参謀長の飼育日記 トウカイナガレホトケドジョウ繁殖編② 孵化 へ続く。
参謀長の飼育日記 トウカイナガレホトケドジョウ繁殖編① 産卵
参謀長の飼育日記 トウカイナガレホトケドジョウ繁殖編② 孵化
参謀長の飼育日記 トウカイナガレホトケドジョウ繁殖編③ 仔魚
参謀長の飼育日記 トウカイナガレホトケドジョウ繁殖編④ 稚魚
参謀長の飼育日記 トウカイナガレホトケドジョウ繁殖編⑤ 幼魚