阪神大震災のあった日ですが、地震関連で、今回の能登地震ニュースでやってた火傷の子供さんのこと。

元旦の地震の際にストーブの上にのせてたやかんのお湯でやけどして、救急要請するも断られ、自力で病院行ったけど重症ではないという判断で処置のみで入院できず。そして3日後くらいに発熱し急変して、救命できなかった、ということでした。本当に痛ましいと言うしかない状況で、親御さんとしてはもう言葉に言い表せられない感情でいっぱいだろうと思うし、聞いてるだけでも辛いニュースです。

 

時は元旦。そして夕方。

おそらく看護師さんは交代の時間、医師も5時くらいで交代するか、翌朝までの勤務かどちらかっていう感じでしょうが、一年の中でも有数の、最も病院が手薄になると言っていい時間帯に地震は起こりました。それからは、想像ですが被災地の病院は野戦病院のように、次々と負傷者が運び込まれ、外傷者を中心にトリアージをするしか無かったでしょう。

そこで火傷の子が運び込まれた。火傷の治療は平時であってもとても難しく、まずは深達度と範囲を把握し、重症であればすぐさま集中治療に移行、中等症でも急変を考慮して基本的には入院治療が必要です。診療した医師も間違いなくそんなことは分かっていましたが、目の前に雲霞の如く押し寄せる外傷患者がいて、平常心が保てなかった可能性は十分にありますし、トリアージを行った上で一見バイタルが落ち着いてる子供さんは、入院はできないにしても一晩病院内に置いて、著変なかったので帰してよいという判断になったのではないかと推測しますし、それが間違いであったとは言えません。

火傷は細菌感染を起こしやすく、発熱があったということはその後敗血症になってしまったと考えられるけど、コロナ禍以降、発熱があればコロナを除外しないとICUには入れません。そして検査やらしているうちに治療が後手にまわり、一気に負けてしまったのではと思います。

いろいろレビュー読んでて、発熱はやけどのせいって明らかだからすぐにICUに入れるべきだった、って意見をみたけど、全然関係ない症状でコロナ陽性の人なんていくらでもいて、火傷の熱って決めつけてICUにコロナが持ち込まれたらそれこそ、病院の機能が停止してたくさんの命が危険に晒されます。私たちはこの4年、そんな事例を嫌というほど見てきています。それに、酷ですがここですぐICUに入って治療を始めたとしても、恐らくはすでに手遅れで結果は変わらなかったのでは、と思います。

それよりも、もし時間が戻せるなら、初めの段階で、広域搬送で他府県の熱傷センターに移せていたら、命は落とさなかった可能性が高いのでは、とも思います。地震で道もボコボコになっていたらそんなこともむずかしかったのかもしれません。

それも全部結果論。

元旦夕方の医療過疎地での大災害、医療を受ける側としてこの上ないほど悪条件が重なってしまいました。再発防止のために検証は必要ですが、そんなときに最適な医療を受けられるのが当たり前では決してないこと、病院側も被災者であることは決して忘れてはいけません。

医師の肩を持つわけではないですが、医師や病院の対応をただ責めるのはあまりに可哀想で、自分だったらどれほどのことができていたか、被災しながら正常な判断ができていたのか、と自問してしまいます。。お母さんのお気持ちを考えると、本当に胸が張り裂けそうになるのですが。。。

 

今回のことがどうというわけではありませんが、医療も、あるところ以上は善意で支えられているサービスでもあります。日本のように医療アクセスが良いと、24時間365日同じクオリティのサービスが受けられると勘違いしがちですが、決してそうではないということは知っておく必要があります。

 

まだまだ被害状況の全貌が見えず、悪天候も重なって、被災地の方々、本当に大変だと思います。

D-MATやらで現地入りしてきた同僚たちも、悲惨な状況だったって口をそろえていっています。

一刻も早く、一人でも多くの人が、安心できる状態に戻りますように、お祈りしています。

亡くなったお子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

 

 

 

水、買っとかなあかんよね~。

結局10年後に植物に撒くお水になるとしても、絶対備蓄必要!!