む~かし~
む~かし~
猫屋敷ねこねこは~
水中用ゾンビから助けた亀に~
つ~れら~れて~
“世にも珍しい空に浮かぶ難破船”を見せてもらいに~行~った~とさ~
「この辺りのはずなのですが……」
「どこやどこや? どこに難破船が浮いとるんや?」
「…………」
今回は、別荘でのお仕事をしもべのブリキ人形に任せ……。
“助けた亀”ことカメさんの案内で、“大阪商人”こと旅の商人さんと一緒にとある場所へきています。
「変ですねえ……」
「環状線を降りたらすぐって言うてたやん」
「…………」
とある場所とは……。
通天閣のように立派でアベノハルカスのようにそびえ立つ大きな…………目じるしの塔が見える地元近くの砂浜です。
ここに“世にも珍しい空に浮かぶ難破船”があるということでカメさんが連れてきてくれたのですが、どこにもそんな船は見あたりません
…………。
それもそのはず。
かつて、この砂浜に浮かんでいた難破船は……。
わたしが第二十八話で、木材目当てに解体してしまっていたのです……
…………。
……。
「この砂浜の唯一の名物だったのですが……」
「空に浮かぶ船とか、滅多に見れるもんとちゃうしなあ。ほんま、難儀なこっちゃで」
「…………」
言えない……。
木材目当てに壊して持って帰ったなんて、ぜったい言えない……。
「すみません。助けてもらったお礼をしたかったのですが……」
「かまへんかまへん。なあ、猫屋敷はん」
「そそそそうですよっ。おおおお気になさらずっ」
…………。
……。
なんども頭を下げながら申し訳なさそうに去っていくカメさんを見送ったあと……。
わたしは、旅の商人さんに事情をすべて話しました。
「なんやて!? そら、えらいこっちゃで」
そして。
“世にも珍しい空に浮かぶ難破船”を、こっそりと復元することになったのです。
…………。
……。
だがしかし。
何回も検索ワードを変えながらグーグル検索してるのに、ぜんぜん見つからないのです。
難破船の設計図が……
難破船の画像はいくつか見つけれたのですが、その作り方(つかう木材の種類とか並べる順番とか)が見つからないのです……
…………。
そんな中。
旅の商人さんが見つけてくれたのが、『簡単な船の作り方』を紹介してるブログです!
よつさんが書いている『よつクラ』というブログで、船の作り方以外にもマインクラフトの攻略方法とかいろいろな情報を紹介されています
紹介されてるのは。
“簡単な船”の作り方であって“難破船”の作り方ではないですが、“簡単な船”どころか“貧相でしょぼい船”すら作る能力もセンスもないわたしには本当にありがたいブログ記事です
これでカメさんも喜んでくれるはず……
…………。
……。
というわけで。
実際に作ってみます……!
「わいも手伝うたるで」
「ありがとうございます」
わたしは反射神経がへろへろなのですが……同じくらい“空間なんとか能力”もへろへろなので、平面の設計図を見ながら立体の物を組み立てるのが苦手です
「足りへん部品とかあったら、遠慮せんと言いなはれや」
「ありがとうございます」
何回も間違えて、何回もやり直しながら……
「足りへん部品は、わてが売ったるさかいに」
「ありがとうございます」
なんとか完成~
帆の色は黒にして、海賊船っぽくしました。
すんばらしい
元々あった難破船の1億倍かっこいいです!
「お? ええやん。ごっつええ感じやん」
「ありがとうございます」
…………。
こういうのを、ゼロから生みだせる人を心から尊敬します。
…………。
自宅へ向かうトロッコに揺られながら、月夜に浮かぶ海賊船をながめます。
ニヤニヤしながらずっと見てしまいます
…………。
完成するまで何日かかったっけ……。
今夜は仕事先の別荘じゃなく、自宅に泊まります……。
ぐったり疲れ果てた身体を癒すため、ゆっくり自宅で……
…………
……
あ。
旅の商人さん、砂浜に置いてきちゃった……
つづく