浜辺での船作りが終わって……、昨夜はひさしぶりに自宅で寝ました
船を作ってる間ずっとブリキ人形にお仕事を代わってもらっていたので、みんなに挨拶をしたらすぐブリキ人形の居る別荘へ戻ります。
…………。
まずは、小麦畑でキタキの巣を避難させているアイアンゴーレムに
「伊400~、おはよう~」
「ピー……ン♪ カララン……コロン……カラン♪」
「うん。また別荘に行くんだよ。みんなのこと、お願いね~」
「ポー……ン♪ コロン……カララン……コロロン♪」
「ん? どうしたの?」
伊400が言うには……。
『テーマパーク跡地のとなりの村』を守っているアイアンゴーレムが何か困っているみたいなので、話を聞きに行ってあげてほしいとのこと。
「わかった。行ってくるよ!」
いつも自宅とそこに暮らす家族みんなを守ってもらってるので、お返しをする良い機会です。
二つ返事でOKしたわたしは旅の仕度をするため、さっき出てきたばかりの自宅に戻りました。
…………
……
一方、別荘では……。
「ご主人様、遅いなあ……」
健気にひとりで働き続けるブリキ人形の姿が……。
……。
別荘のあるエリアはやたらめったら略奪者が来るのでちょっと気になりますが……、わたしのしもべたちは何気にみんな最強クラスの戦闘力を持ってるので心配ないでしょう
参上! 必勝! 至上最強!! なのです
「おみやげ買って帰るから、もう少し留守番お願い~」
…………
……
跡地とはいえテーマパークを通るので……メイクしたり髪を巻いたり服を選んだりしていたら、自宅を出るころにはすっかり日が落ちてしまってました
……。
ぜったいイライラしてる伊400の視線を背中に感じつつ……。
いざ、テーマパーク跡地のとなりの村へ
…………
……
日付が変わる少し前。
カラフルなテラコッタで彩られたテーマパーク跡地に到着しました。
「あらら。ガイコツがなんか揉めてるよ」
ネズミの耳のカチューシャも持ってきてるので、頭に付けて最前列で観覧します
どっちも負けるな~
…………
……
深夜未明。
キラキラきれいな夜景が見えてきました。村は、もう目と鼻の先です。
でも。
こんな時間に行っても迷惑だと思うので、今夜はこのあたりで野宿することにします
もっと早く出発してたら、明るいうちに着けたのに……。
急にお願いしてきた伊400のせいです
…………
……
夜が明けて。
さっそく、伊400の知り合いのアイアンゴーレムと会いました。
「ポー……ン♪ カラン……コロン……カラン……♪」
「ふむふむ……なるほどなるほど……」
…………。
この村のアイアンゴーレムが言うには……。
住宅が増えて村人が増えたのはうれしいけど、自分たちアイアンゴーレムは身体が大きいので住宅街を歩くのが大変で困っている……とのこと。
よく見たら、アイアンゴーレムの身体のあっちこっちにこすった傷や小さなへこみがあります。
たぶん建物の壁や柱にぶつかった跡でしょう
…………。
……。
実際に村をまわってみると。
たしかに……建物が密集した住宅街は道もせまく、この村の守り神であるアイアンゴーレムたちは行き交う人々の邪魔にならないように村のすみっこでジッとしていました。
アイアンゴーレムは身体が大きいから怖いとか危ないとか、自分勝手なことを言う村人もいます。
もしアイアンゴーレムが小さくてひょろひょろだったら、この村はすぐにモンスターに襲われて消えちゃうのに……
…………。
……。
「う~ん……」
どうしたら良いのか、さっぱり分かりません
「う~ん……う~ん……」
…………
……
悩み悩んだ末。
しもべのライオン天使にバトンタッチ。
屈辱です。
村の外からではなく、村の上空から状況をチェックするライオン天使。
さすがです。
ライオン天使が目を付けたのは……、住宅密集地とは反対側のエリア。
村の拡張工事をするそうです。
こっちが、これまで村を囲っていた柵で……。
こっちが、あたらしく村を囲うことになる柵です。
…………。
徹夜の工事で、あたらしい柵の設置が完了!
これまでの柵を撤去して……。
村の敷地が広くなりました!
逆に……、ゾンビたちが暮らす敷地はせまくなっちゃったけど。
…………。
なにはともあれ。
村がグーンと広くなって、アイアンゴーレムたちも肩身のせまい思いをしないで暮らせるようになりました
良かったね
そして。
すごいぞライオン天使
つづく