「頂く」考 | ねこままゆうゆ

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保護猫(現在5にゃん)との毎日や
仕事のこと、趣味のことなど
つれづれに・・・

近頃気になることば・・・色々ありますが

とりわけ、違和感を感じるものに

「○○さん、△△して頂く」とか

「○○さん、△△して頂いた××」

という表現があります。


実は、とても身近にいる元局アナさんが

頻繁におっしゃるのですが、他にも

放送でさえ聞くことさえありますので

一度、ここで取り上げたいと思っておりました。


今日は月初め。

もっと心楽しい話題にしたいところではありますが

おゆるしを・・・。


本来、「して頂く」で受けるならば

「○○さん」でなくてはオカシイのです。


もし、「○○さん」と始めたならば

「△△して下さる」あるいは「△△なさる」

という言いかたになります。


決定的な違いは、「尊敬語」か「謙譲語」か

というところです。


尊敬語は、その行為の主や話題の主を

直接敬うかたちのもの。


謙譲語は、自分の側をへりくだる表現にすることで

結果的に対象を敬うかたちになるもの。


「下さる」と「頂く」はよく似ていますので、つい

同じように使ってしまいがちですが、大きく違うのは

「頂く」の場合は、そこにこちらからの「依頼」や「希望」

「申し込み」などがあるということ。


その最たる表現が、「△△させて頂く」です。


最近、あらゆるところで多用されているので、私は講座でも

「乱用して目減りさせないように!」 と訴えています。


振り返ると、介護現場で働こうとする人たちに

「『△△してあげる」ではなく『△△させて頂く』の気持で!」

という教育がされ始めて以降、急速に広まったように思います。


これは、言葉の基本から言うと

その△△について、まず「しても良いですか?」という申し込み

(お伺い)があり、許可があって、初めて

「では、△△させて頂きます」ということになるのです。


そのステップが不要な場合は、もっとスマートな敬語表現

(尊敬語でも謙譲語でも)が色々あるのですから

上手に使いたいもの、と思います。


「頂く」で受ける場合の助詞は、「が」という主格ではなく

「に」という目的格であるのは、その人に対して

「依頼」「希望」「申し込み」の意味があるからなのです。


もし

「○○さんが、△△して頂く」と言ってしまうと

○○さんから申し込みがあったことになってしまいます。


ことばは、時代と共に変化するものですから

間違った用法も、多用されるうちに正しくなってしまうかも

しれません。


でも、この誤用は、まだ市民権を得ていないように思いますが

いかがでしょう。


ゆうゆは古い  ( ̄ー ̄;?