近頃気になることば・・・色々ありますが
とりわけ、違和感を感じるものに
「○○さんが、△△して頂く」とか
「○○さんが、△△して頂いた××」
という表現があります。
実は、とても身近にいる元局アナさんが
頻繁におっしゃるのですが、他にも
放送でさえ聞くことさえありますので
一度、ここで取り上げたいと思っておりました。
今日は月初め。
もっと心楽しい話題にしたいところではありますが
おゆるしを・・・。
本来、「して頂く」で受けるならば
「○○さんに」でなくてはオカシイのです。
もし、「○○さんが」と始めたならば
「△△して下さる」あるいは「△△なさる」
という言いかたになります。
決定的な違いは、「尊敬語」か「謙譲語」か
というところです。
尊敬語は、その行為の主や話題の主を
直接敬うかたちのもの。
謙譲語は、自分の側をへりくだる表現にすることで
結果的に対象を敬うかたちになるもの。
「下さる」と「頂く」はよく似ていますので、つい
同じように使ってしまいがちですが、大きく違うのは
「頂く」の場合は、そこにこちらからの「依頼」や「希望」
「申し込み」などがあるということ。
その最たる表現が、「△△させて頂く」です。
最近、あらゆるところで多用されているので、私は講座でも
「乱用して目減りさせないように!」 と訴えています。
振り返ると、介護現場で働こうとする人たちに
「『△△してあげる」ではなく『△△させて頂く』の気持で!」
という教育がされ始めて以降、急速に広まったように思います。
これは、言葉の基本から言うと
その△△について、まず「しても良いですか?」という申し込み
(お伺い)があり、許可があって、初めて
「では、△△させて頂きます」ということになるのです。
そのステップが不要な場合は、もっとスマートな敬語表現
(尊敬語でも謙譲語でも)が色々あるのですから
上手に使いたいもの、と思います。
「頂く」で受ける場合の助詞は、「が」という主格ではなく
「に」という目的格であるのは、その人に対して
「依頼」「希望」「申し込み」の意味があるからなのです。
もし
「○○さんが、△△して頂く」と言ってしまうと
○○さんから申し込みがあったことになってしまいます。
ことばは、時代と共に変化するものですから
間違った用法も、多用されるうちに正しくなってしまうかも
しれません。
でも、この誤用は、まだ市民権を得ていないように思いますが
いかがでしょう。
ゆうゆは古い ( ̄ー ̄;?