ウルタールの路地裏から。 -32ページ目

みょん×ソード the final エピローグ

the final ⑤から





 地獄へ至る中有の道。
 その外れで巨大なマシンが駆動する。
 骨を思わせる意匠の装甲に長い手足と骸骨頭の付いた二本の首。
「こいつで店を襲えばイチコロよぉ。しししっ」
 その計器とパイプだらけのコクピットで呟くのは肥満体の男。
「ですねぇ、兄貴」
 その後ろ、サブシートに座って同意するのは先ほどとは逆に痩せ型の男。
「顕界の騒動に乗じて、あたしらも一山当てちまいやしょう」
「おうよ、俺ら兄弟の華々しいデビューだ!!」
『あの~』
「「ん?」」
 突如聞こえてきた少女の声に、二人は顔を見合わせる。
「何か聞こえたか?」
「……あァ~、兄貴。下ですぜ」
 数秒して弟が気づき、機体の頭を下にやる。すると、ぐるりとモニタの景色が動いて機体の足下にちょこんと立つ少女の姿をとらえた。
 少女は白いブラウスの上に緑色のベスト、それと同色のスカートといった出で立ちで、ボブカットの白髪をなびかせる頭にはリングの付いた黒いリボンを付けていた。
 そして腰には大小二本の刀を差し、周囲にはふよふよと大きめの幽霊を漂わせている。
『襲うとか何とか、あんまり大きな声で言わない方がいいですよ? この辺では特に、あの方が来ちゃうんで』
 マシンを恐れる様子もなく、少女は話しかけてくる。白い肌に幼いながらも整った顔立ちが、まっすぐと兄弟に向けられていた。
「嬢ちゃん、俺たちはこれから一仕事しに行くんだ。大人の邪魔しちゃいけねぇな」
「そうでさぁ。とっととお家にかえんなさい」
『ふむ、押し込み強盗が仕事ですか……なら』
 少女は呟くと、右手で大小二本の刀のうちの長いほうを抜刀し、左手に持ち換える。そして右手の指をリボンのリングに通し、左に向かって引っ張った。
 長刀に宿る青い光。
 刀が、天にかざされる。

『この魂魄妖夢、悪党に容赦は致しません!』
 


 そして描かれる「V」の一文字。

 生暖かい初夏の風に、ちりん、と、澄んだリングの音が混じっていった。




MYON×SWORD fin




next adventure……?