ねこバナ。 -812ページ目

第五話 <実話>猫に会う日(37歳 男/43歳 女)


※会話のはじまりはいつも妻

午前7時30分 朝飯を食べながら

「ねえ」
「何?」
「今日何時だっけ?」
「うん?」
「猫貰いに行くの」
「ああ、10時かな」
「10時か...」
「てゆうか、10時にならないと開かないんだよ、動物愛護協会」
「そうか」
「それに、猫がほんとに来るかどうかも判らないからね。来る予定だって言ってただけだから」
「予定は未定?」
「そうそう」

(しばし無言)

「ゴン先生、怒るかな」
「怒りゃしないでしょ。そんなココロは狭くないもん」
「そうだよね、ゴン先生だもんね」
「もう4か月だしさ」
「うん...まだ4か月なんだよね」

(二人してゴン先生の祭壇を見る)

祭壇のゴン先生

「ゴン先生がさ、貰われてきた時って、どんな感じだったの?」
「別に...どうって言われても...。段ボールに入ってさ、私は免許持ってなかったから、友達にクルマ出してもらってさ」
「へぇ...」
「貧乏だったから、何も用意してなかったんだよなあ」
「それに比べて、今度来る子は...」
「いろいろ買っちゃったもんね。キャリーバッグとか、寝床とか」
「もうン万円使ったよね」
「うん(苦笑)」
「ほんとに、いい子がいるといいよね」
「そうだねぇ...」

  *   *   *   *   *

午前9時 某ファミレスにて

「今何時?」
「ちょうど9時」
「まだ早いね」
「ずいぶん早いよ(笑)」
「もっと家で待ってたらよかったね」
「いいよ。どうせそわそわして、何も手に付かないんだから」

(二人、珈琲を飲む)

「ねぇ」
「何?」
「もしさ、何匹もいたらさ、どうする?」
「えー、どうって...」
「一匹だけ選ぶとか出来るかな?」
「うーん、どうだろう」
「あたしは男の子がいいな」
「そう? 私はどっちでもいいや」
「そうなの?」
「うん。それに、例えばさ、二匹だけだったりしたら、二匹とも貰ったっていいよ」
「えー、そう?」
「それこそ、選ぶのが苦しいじゃん」
「そうだよねぇ...」

(しばし無言)

「あ」
「何?」
「今日何曜日だっけ?」
「土曜日」
「忘れた」
「何を?...あ!」
「ゴミ」
「ゴミの日だ!!」
「うわぁ...」
「完全に忘れたあ(爆笑)」
「もう、それどころじゃないんだよ」
「そうだよね」
「キンチョーしてるもん、あたし」
「私もだ」
「ふふふ」
「あはは」

(しばし笑い、無言)

「今何時?」
「9時20分」
「もう出ようか?」
「まだ早いでしょ」
「そう?」
「うん」

(また無言)

「駄目だ、もう行こう」
「まだ早いって」
「えー、行こうよ」
「...うん、行くか」
「やっぱり落ち着かないんでしょ」
「そう(笑)」
「行こ」
「うん」

そして、私達は、マルコと出会った。

マルコとゴン先生


おしまい






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