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【番外】つなぐために

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マメとトットのきょうだい猫の一匹が亡くなったと知ったのは、ある暑い夏の日だった。


私にとっては大きなショックだった。大病を患ったマメならともかく、それまで健康だと聞いていたきょうだい猫2匹(トットを除く)の一匹がこの世を去るなど、思ってもみなかったのだ。

 

彼らは13年前の秋、とある公園の、機関車の下に捨てられていた。
4匹寄り添って震えているところを、まずマメとトット以外の2匹が保護された。単にのんびり屋さんだったせいもあろうが、先に保護された彼らが、すぐれて魅力的な容姿を誇っていたことは疑いない。
彼ら2匹は、猫を初めて飼うのだという女性のもとで暮らした。
きょうだい仲良く、平穏な日々が続いたと聞いていた。

マメとトットのきょうだい猫は、名をグレ(♀)とグリ(♂)という。
どちらもたいそう器量良しで、グレはマメに似て長毛のおっとりした性格、グリは短毛で少し神経質なところがあるということだった。
1年に何度か、その女性に会って、お互いの保護した猫たちの情報を交換するのが楽しみだった。
そんな日が永遠に、ほんとうに永遠に続くものだと、私は信じて疑わなかったのだ。


もちろん、そんなことがあろうはずもない。


  *  *  *


先日、久しぶりにグリ・グレの保護者を訪ねた際、彼女はどうしても見せたかったのだと、グリの最期のすがたを撮影した画像を、私に見せてくれた。
とても亡くなったとは思えない、とても綺麗な身体のグリは、左腕に虹色のミサンガをつけていた。
虹の橋を無事に渡って、彼が天国へいけますようにと、保護者が願ってつけたものだった。
すやすやと眠っているようなグリの姿を見て、私は、はじめ見るのをためらったことを恥じた。
亡くなったものの身体を好んで見るなど、およそ罰当たりなことに違いない。そう思っていたのだが、スマホを私に向けた保護者の、嬉しさと物悲しさがないまぜになった笑顔を見たとき、これは覚悟して対面せねばならぬと思った。


私は、マルコが亡くなったときに撮影した画像を、後生大事に持っている。
火葬場へ連れていった時の、焼却炉に入れられる寸前の姿も、後生大事に持っている。
それはとても小さく、痩せてこぢんまりとして、でも奇妙にまるくおさまっていた。
これからの旅立ちのことなど、まるで意に介さぬというように。
その画像を、私は他の誰にも見せる気がしなかった。
連れ合いにさえも見せたことがない。
マルコを火葬に連れていくとき、仕事のためにその場に立ち会えない彼女に、ある種のうしろめたさを感じさせるのではないかという、取り越し苦労からそう思うのである。実際どうかはわからないが、その画像を眼にしたときの、彼女の顔が、私には容易に想像できるのだ。
だからこれは、私だけのヴィジュアルとして保存することにした。
今後もきっと、誰にも見せることはないだろう。

だから、グリ・グレの保護者の心持ちを、最初は測りかねたのだった。
しかし、やはり、グリの姿に接して、ああやはり見ることができて幸いだったと思った。そして、勇気を振り絞って...おそらくそうだろうと思うが...私にその姿を見せてくれた保護者の女性に感謝せねばならぬと思った。

いのちはこれからも続く。グレも、マメもトットも、あといくばくかのいのちをつなぐ。そのことを知り、彼らのために私ができることを、いま一度思い直す瞬間を、グレの清らかな姿は、私に与えてくれたのだった。

  *  *  *


2025年が終わろうとしている。
不穏な空気が世を覆うこの時代に、私たちの住まいにささやかないのちをつなぐ彼らを、私はこれからも大切に、ひたむきに守ろうと思う。
それすらできない世の中には、したくないと思う。
狭隘で自己中心的な思想に溺れず、多くの人びととわかりあい、たすけあう世の中でありたいと思う。
これはこの世の命運を握る人間の、最低限の矜持ではないだろうか。

そんなちいさな望みを握りしめて、私はこれからも生きていきたい。
私の暮らしから旅立っていった2匹の猫を思い、いまのんびりと生きている2匹の平穏をつなぐために、私はずるずると這いずりながら、生きたいものである。

  *  *  *


ソファを占領して眠るマメとトットを眺めながら、私はちまちまと仕事する。
年を越すまで、私のささやかな仕事は続くだろう。
未来へちいさな、ささやかな記憶をつなぐために。

 



 


 


2025年があっというまに過ぎてまいります。
みなさまもどうかお元気で。
来年がよい年になりますように。

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