オリゴメタ 続き | 不良リーマンの気ままな日記 肺がん1Aから3A昇格~再発

不良リーマンの気ままな日記 肺がん1Aから3A昇格~再発

2015年7月(55歳)肺がん右上葉切除。1Aのはずが病理検査の結果3Aに昇進! 
そして、2019年10月の検査で小脳転移。

いつまで続けるかわかりませんが、皆さんのお役にたてるといいですね。それに、自分も励まされてます。

インドネシアから明日金曜の夜便で帰国なのだ。
 
東南アジアの仕事はうまく回らないことが多いのだけど、ここは格別に大変。 その他、いろいろグチばかりの仕事&生活環境で、何回かインドネシアに来てたけど、まったく報告してませんでした。
 
ワンステップでお招きした樋口さんがおっしゃっていた「5つの楽しみ」。
 
2週間休みなし、まわりになにもなくて自分の時間がほとんど取れないときでも楽しみたいもの・・・
 
2つ見つかったのだ。
 
ピアノ。 3オクターブしか出ない小さなキーボードだけど、この曲は最後の数小節を除いて3オクターブにおさまる。 毎日は無理だけど、寝る前に2,30分弾いてみる。
 
 
散歩。 ここは工業地帯で、道路わきの歩道は危険極まりないし、なにせ砂ぼこりと排ガスでとても歩けない。
 
今回はゴルフ場併設のホテル。 交代勤務の時間の関係ですぐに日が暮れてしまうけど、自然の中を歩くのはとてもリラックス。
 
さて、そんなことはともかく、オリゴメタの続き。
 
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もうだいぶ前の記事になってしまったが、記事にまとめたオリゴメタの学会(ワークショップ2)の演題5件はすべて呼吸器外科(4件)または放射線科(1件)の医師によるものだった。
すべての演題がいわゆる後ろ向き(=後出しジャンケン)の研究なのでバイアスがかかっていると言わざるをえない。
さらに、演者に呼吸器内科の先生や腫瘍内科の先生がいない、という、これまたバイアスがかかっている。

そりゃー、外科の先生は切りたいだろうし、放射線科の先生は照射したいだろう、・・・、と言われてもしかたない。

転移したらもう全身にガンがまわっている。 だから、全身化学療法なんですよ。  なんてことは、あちこちで読んだり聞いたような気がする。 

内科の先生はオリゴメタに対して、どう考えているのだろうか?

なんと2016年の肺癌学会の教育講演(だったと思う)で後藤悌先生がオリゴメタについて講演されてたのをネットで発見。 だれでもネットで読むことができるので、簡単にメモってみる。 後藤先生は国がん築地の呼吸器内科の先生。 講演を聞いたり2,3回言葉を交わしたことがあるが、患者思いの先生だと思う。

http://www.haigan.gr.jp/journal/am/2016a/pdf/16a_el010EL1.pdf

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Oligometastases 「直訳すると数少ない転移」 そこには「転移があるのに完治する可能性がある」という魅惑的な意味が含まれている。
(うーん、いきなり、直球。 そう、そこです。 完治するの???)

オリゴメタとは
 「腫瘍は原発部位から連続的に徐々に周囲に拡がっていく」という考え
乳がんの外科手術 ~ 1800年代後半。 乳がん再発の多くが局所だったため、徐々に手術範囲が拡大した。 しかしリンパ節まで郭清範囲を広げても転移のあった患者の予後は悪かった。
1890年頃 「腫瘍は見つかった時から遠隔転移があるのではないか」という説も。

オリゴメタはこの二つの極端な説の中庸をとる。 現在のオリゴメタについての解釈は後藤先生によると
「原発以外には数少ない他臓器への転移があるのみという状態を指す。 また化学療法などの治療によって耐性細胞のみが一部の臓器に限局して残る病態もまたオリゴメタと広く定義されることもある」

オリゴメタの局所治療のデメリット
手術による死亡は極めて低い(周術期死亡0.4%、在院死亡0.8%)。 対象の選択に注意を払えば死亡の確率は十分に低いと思われる。
術後のQOLはどうか。  そもそもQOLの評価方法が確立しているとはいいがたい。 術後早期の運動耐容能などで若干QOLが低下するが大きく悪化しないとする報告が多い。 進行期肺がんの標準治療(全身化学療法)で腫瘍が残存するのと比較してQOLが明らかに劣っているかはわからない。
一方、局所治療をすることで全身治療の開始時期が遅れることは避けられない問題である。

肺がんのオリゴメタ治療
脳転移と副腎転移は局所治療の対象と考えられている。
そもそもオリゴメタの定義が明確に定まっていないが転移の数5個以内、単一臓器やN0(リンパ節転移なし)が望ましい、とされる。また治療後にオリゴな病変だけが残存するオリゴ・リカレンスもありえる。

脳転移の後方視的研究。 2001年、103人の患者を対象。 5年生存率は11%で当時としては良好な成績。
その他複数の報告から、NCCNのガイドラインではT1~2、N0~1、もしくはT3N0で3個以下の脳転移の場合は局所療法に続いて肺原発巣に対する手術を可能とする。

副腎転移の報告は少ないが完治するという報告はいくつかある。

広がりうる(オリゴメタ)の対象
従前の殺細胞性抗がん剤で腫瘍が縮小・消退して一部の病変のみが残存することはかなり稀であったが、分子標的薬による治療により、そのような病状をしばしば経験するようになった。

EGFR阻害薬の治療中に残存病変を摘出するなどの症例報告は散見されるが、その有用性を示した研究はまだない。
(一方で後藤先生はこうも述べている。)
転移病巣を作る時は部位ごとに異なる生物学的特徴も合併する~ 理論的には局所療法を加えられる可能性がある~が、課題が多く実現までは遠い道のりか。

今後の課題として、こう結んでいる。
「局所治療でその後は無治療でいられることが唯一の完治であろう。 課題は多いが、知見を高めることで少しでも完治の可能性が高まることが期待される」

(難しい、ってことですね。 でも内科の先生としても、頭ごなしに否定してるわけではなく、「一定頻度で治ることが証明されていれば挑戦したい患者も多いであろう」と書くあたり、外科だ内科だ、というくくりでなく、患者目線でいてくれてそうです。)

最後に、後藤先生が最近の話題(これは2016年の発表)としてASCOで発表された局所治療のランダム化試験の結果を紹介している。

長くなったので、続きはまた後日。