宮沢賢治が生涯をかけて磨きあげた珠玉の作品
『銀河鉄道の夜』
広く知られている「最終形」のほかに、「初期形」が現存していることをご存知ですか?
ますむら ひろし氏が描き出す、宮沢賢治の世界。
ブルカニロ博士の言葉に耳を傾けてみませんか?
- 銀河鉄道の夜―最終形・初期形〈ブルカニロ博士篇〉/ますむら ひろし
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今回、本当に紹介したかったのは、初期形と最終形の双方を掲載した単行本だったんですけど・・・・検索しても見つからないんです。もしかしたら、もう、絶版になっちゃったのかなぁ・・・・
『銀河鉄道の夜』は、世界的にも有名な作品ですから、すでに読んだことがある方の方も多いと思います。でも、この作品、賢治が生涯をかけて磨き続けた作品だった・・・ということはご存知ですか?
初期発表作品が世に送り出された後も、賢治によって幾度か加筆訂正が加えられ、現在の「最終形」に至っています。『銀河鉄道の夜』が「未完の大作」と呼ばれる所以です。もし賢治がもっと長生きしていたら、もっと異なった形の『銀河鉄道の夜』が生まれていたかもしれませんね。
難しい書評は研究家や評論家にお任せするとして、私個人の感想から言わせていただくと、最終形よりも初期形の方が好きです。
心の中に、素直にしみこんでくる・・・とでも言いましょうか。
初期形から無くなってしまった文面は、いわば、賢治にとっては「余分な贅肉」だったのでしょう。しかし、ある意味では、賢治が伝えたかったことをストレートに表現しているように感じられます。
最終形を「磨きぬかれたダイヤモンド」とすれば、
初期形は「ダイヤの原石」。
いずれも、その本質の素晴らしさには変わりありません。
ますむら作品では、登場人物たちが「猫」に姿を変えて登場します。しかし、賢治が描いた世界を全く損なうことなく、忠実に再現してくれていると思います。ビジュアル化してはいるものの、想像で補うべきところはきちんと残されており、その深遠なテーマはそのままの姿で表現されていますので、読後感は素晴らしい
初期形と最終形とを読み比べられるところが、最大の魅力でしょうね。
ますむら氏は、このほかにも、賢治の作品を何点か発表されています。
興味をもたれた方は、ぜひそちらもお試し下さい。
満足できること、請け合いです。
この書籍版のほかにも、1985年に劇場公開されたアニメ映画がDVD化されています。
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映像の美しさは、筆舌に尽くしがたいものがあります。最終形よりも、むしろ、初期形の内容を多く取り入れている感がありますね。
銀河鉄道の車窓から見える景色や、星祭の夜のシーンは、とても幻想的で大好きな場面のひとつです。タイタニック号の被害者が登場するシーンもあります。
また、バックに流れる音楽も、作品にマッチしていて素晴らしかったです。巨匠 細野晴臣氏が手がけた音楽に包まれたとき、賢治ワールドがさらに輝き
を増していきます。
ジョバンニがカムパネルラを呼ぶ声が、しばらくの間心を離れない・・・そんな素晴らしい作品です。
まだごらんになったことがない方は、こちらもぜひ一度お試し下さい。
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遊びに来てくださったついでに
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