大奥 | 久蔵

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落語と歴史のブログ

近世には戦のない平和な世があった、江戸幕府第五代将軍徳川綱吉から十代将軍家治と田沼政治のあたりまで

 

江戸城内の大奥

 

この時期は元禄時代とも呼ばれ、その後が文化文政の化政時代となるが明確な区切りはないという

 

綱吉は晩年、生類憐みの令を発し如何なる生き物の殺傷も御法度になったので内戦は起こりえない世相

 

殿中で赤穂藩主が刃傷沙汰を起こし即日切腹、赤穂浪士が吉良邸へ討ち入り、主君仇討ちを果たしその処分も切腹、という血生臭い事件があったくらい

 

現代なら住居侵入器物破損・傷害殺人事件として片付けられるが、武士道忠義を貫いた忠臣蔵の物語として歌舞伎やドラマで今も継承されている

 

歌舞伎や狂言で上演されている忠臣蔵

 

この『大奥』は女の園ではなく男の園、将軍や幕閣や赤穂浪士も女性という男女逆転の物語

 

女八代将軍吉宗の娘の家重の小姓から孫娘の家治の側用人になった田沼意次は優秀な女性官僚に描かれている

 

田沼の金融政策は世界に先駆け、生活に根付いた投資経済政策だったよう

 

印旛沼や蝦夷の地域開発、金銀為替相場や米の先物取引などの金融政策を導入したが、敵対勢力に政治献金汚職で失脚させられた

 

五代将軍綱吉と八代将軍吉宗

 

田沼=賄賂のイメージは強いが、莫大な富を幕府にもたらし財政を再建した功績は、吉宗の改革に勝る金融革命を成し遂げ結果を出したのは史実の通り

 

田沼親子没後は松平定信によって田沼の諸政策は廃止された、定信の寛政の改革はそれまでの幕府の蓄財を食いつぶすことになった

 

戦のない平和な時代に女性が政権をとり、政治することが当たり前になるという過去の物語

 

この物語は三代将軍家光から十代将軍家治までが女将軍で描かれている

 

 

単なる徳川氏系図↑よりビジュアルでストーリーもほぼ史実に合致して分かりやすい↓ただし男女は逆

 

 

誰がどんな政治をしたか?どんなエピソードがあったかなどフィクションを交えて描かれている

将軍家継承の御三家(尾張・紀伊・水戸)と御三卿(田安・一橋・清水)の家系血筋や兄弟姉妹関係そして幕閣

特に当時重要な役割を果たした老中首座や側用人も分かりやすく描かれている、ただし男女は逆

 

政治の表舞台は女性で描かれ、大奥総取締や大奥の正室・側室は男となるのでそこは入れ替えれば教科書の内容は十分満たす

 

 

そして江戸っ子職人の生活などもフィクションとして描かれている、では吉原の花魁はどう描かれているか?吉原で男女逆とは?

 

花魁の役割は?これは史実や落語に出てくる噺とは異なり原作者のオリジナル創作となっている

 

物語では十一代将軍家斉から男将軍となり男女の役割は逆転する、つまり史実通りになる

 

史実では大御所時代の大奥は乱れ、将軍自らも数十人の子ができる、もし女将軍だったらそんなことはありえない

 

吉原の花魁と老中の阿部正弘

 

物語は十三代将軍家定から再び女将軍となりつまり史実とは再び男女逆転し、現代に近い感覚でジェンダーフリーの幕末に向かう

 

史実とフィクションが入り乱れ受験生にはどうかと想うが、一般知識・教養としては分かりやすい漫画、ただし男女は逆転だったり戻ったり